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ノロウイルス食中毒

カキなどの貝類を介してノロウイルスが感染し、引き起こされる食中毒

ノロウイルス食中毒とは、ノロウイルスが水や貝類などの食品を介して感染して引き起こされる食中毒。ノロウイルスが食品を介さずに人から人に感染する場合は、感染性胃腸炎と呼ばれます。

ノロウイルスはカキなどの二枚貝の中腸腺(せん)に蓄積されやすく、貝類を生あるいは十分に加熱しないで食べることで主に感染し、人間の小腸粘膜で増殖して食中毒を引き起こします。また、感染性胃腸炎は、ウイルス感染者の糞便(ふんべん)や嘔吐(おうと)物から大量に排出されたノロウイルスが食品、調理器具、手指に付着し、 食事の際や手指が口に触れた際に侵入して感染を引き起こします。

食中毒、感染性胃腸炎のどちらも1年を通して発生しますが、ノロウイルスが乾燥や寒さに強いことから、冬場の11月から3月にかけて最も多く発生します。特に、保育園、幼稚園、学校、老人福祉施設などで発生した場合は、集団発生につながることがあります。

ノロウイルスは2002年8月、国際ウイルス学会で命名されましたが、元はSRSV(小型球形ウイルス)と呼ばれていました。ちなみに、ノロとは発見された地名に由来しています。

非常に小さい球形の生物で、直径0.03マイクロメーター前後の蛋白(たんぱく)質でできた球の中に遺伝子(RNAリボ核酸)が包まれた構造をしています。近年、新しい検査法(PCR法)の普及によって、食品からのウイルスの検査が可能になり、100粒子以下の少量で感染するなど食中毒との関係が明らかになってきました。 多くの遺伝子型が存在しますので、一度感染したからといって次に感染しないとは限らず、何度でも感染します。

感染しても全員が発症するわけではありませんが、24~48時間の潜伏期間を経て発症した場合の主症状は、吐き気、嘔吐(おうと)、水のような下痢、腹痛、38℃以下の発熱で、風邪に似ています。普通の成人は発症しても軽症ですみ、通常3日以内で回復します。免疫力の低下した高齢者や乳幼児では、少量のウイルスを摂取することで発症し、死亡することもあります。

ノロウイルス食中毒の検査と診断と治療

ノロウイルス食中毒、感染性胃腸炎を発症した場合、すぐに医療機関を受診し適切な処置を受けます。自己判断で下痢止めの薬などを飲むと、回復を遅らせることもあります。

医師による診断に際しては、検便によってウイルスの保菌状況を確認します。

効果のある抗ウイルス剤は現在のところありませんので、治療法は通常、対症療法しかありません。高齢者や乳幼児では脱水症状や体力の消耗を引き起こすこともあるため、水分と栄養の補給を十分に行います。普通の成人は発症から1~2日程度、3日以内には治癒します。

なお、糞便からのウイルスの排出は下痢などの症状がなくなっても、 通常では1週間程度、長い時には1カ月程度続くことがありますので、症状が改善した後も、 しばらくの間は直接食品を扱わないこと大事です。

予防法としてはまず、カキなどの貝類は中心部まで十分に加熱してから食べることです。湯通し程度の加熱では、ウイルスは死にません。次に、トイレの後や食事の前、調理前によく手を洗うことです。逆性せっけんや消毒用アルコールは効きませんが、十分な手洗いでノロウイルスを洗い流せます。

また、タオルや調理器具、容器も清潔なものを使用するよう心掛けます。ノロウイルスに感染した人の嘔吐物や糞便などを片付ける際にはビニール手袋、マスクなどを使用し、衣類は消毒します。

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