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入眠障害

眠ろうとしてもなかなか眠れないため、苦痛を感じるタイプの不眠症

入眠障害とは、床に就いて眠ろうとしてもなかなか眠れないという、寝付きの悪さを特徴とするタイプの不眠症。不眠症と判断される目安となるのは、就床後30分から1時間以上眠れないという症状が週に2回以上、かつ1カ月以上続いており、本人が苦痛を感じている場合です。

例えば、明日重要な試験や会議があるために緊張して眠れないというような状態は、単なる一過性の不眠です。試験や会議が終われば、きちんと眠れるようになるからです。ところが、不眠症の場合は夜中に何度も目が覚めたり、よく眠ったという気がしないなど頻繁に睡眠に関する問題が起きており、入眠障害では眠りに入る時に問題が起きています。

入眠障害の原因は、2つあるとされています。まず1つの原因は、精神生理性不眠(神経症性不眠)と呼ばれるもので、精神的ストレスが問題を引き起こします。明日のことが不安で眠れない、今日あったことを思い出してしまって眠れないなど、人によって眠れない理由はさまざまですが、その背後には精神的ストレスが隠れています。最初は一過性の不眠なのですが、眠れるだろうかと不安になってくると不眠症の症状となってきます。

精神的ストレスが原因となっている場合には、イライラや緊張を鎮めてリラックスできるように就寝30分~1時間前から照明を落としたり、音楽を流したりと工夫をするのがお勧めです。眠りやすい環境を作ることを心掛け、騒音や温度調整をするのもよいでしょう。

入眠障害のもう一つの原因は、床に就くのが早すぎることにあります。高齢者になって時間にゆとりができると、早く床に就いてしまいがちになりますが、人間の体内時計による自然な眠りの準備が整っていない状態なので、なかなか眠れなくなってしまいます。人間の体内時計のタイマーは、朝起きて太陽の光を浴びたところから14~16時間後に眠くなるようにセットされているのです。

この原因の場合は、眠気を感じていないのに布団に入って、なかなか眠れないと焦ってしまうより、眠気を感じるまで布団に入らないという改善方法があります。ただし、眠気を感じるまでの間、テレビを見たり、パソコンやゲームに時間を費やしてしまうと、脳が興奮してしまうので避けましょう。

そのほか、入眠障害の原因には、夜間の睡眠時などに下肢を中心に不快な感覚が起こり、むずむずする不穏な運動を生じて、慢性的に寝付けない病状を示す、むずむず脚症候群などの疾患が隠れている場合もあるので、注意が必要です。

生活面での工夫をしても入眠障害が続くようであれば、不眠症専門の外来や、神経科、心療内科を受診することが勧められます。

医師による入眠障害などの不眠症治療では、精神的な療法を行ったり、薬による治療を行うことになります。一般的には睡眠薬による治療ですが、人それぞれ原因も違ってきますから、睡眠薬の服用については医師に相談しながら治療を進めていくことが大切です。

最近の睡眠薬は、安全性が高くなりました。以前はバルビツール酸系の薬が主に用いられていましたが、依存しやすいという問題などから最近は比較的安全なベンゾジアゼピン系が多く使われています。ただし、疾患を併せ持つ人が他の薬と併用する場合は副作用などの恐れもあるため、使用には医師の診断が必要で、症状に合った薬を処方によって服用します。

すべての薬にあるように、睡眠薬にも副作用はあります。最大の特徴は、薬が効いている間に布団から起きてしまうと、効果がすべて眠気、ふらつき、頭重感などの副作用に変わってしまうこと。従って、服用したらすぐ布団に入ること、増強作用のあるアルコールと一緒に服用しないこと、用量用法は医師の指示を守ること、突然、服用を中止すると症状が悪化する場合もあるので、医師と相談しながら漸減することなどが必要となります。

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