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寝違え
就寝中の首の不良姿勢によって起こる急性の痛み
寝違えとは、前夜まで何ともなかったのに、朝起きると首が痛くて回らない状態。ただし寝違えという医学用語はなく、頸部(けいぶ)周囲の靭帯(じんたい)や筋肉の急性炎症による頸痛の総称といえます。
就寝中の頸部の不良姿勢によって起こります。通常は頸部に痛みが生じたり違和感を覚えた場合には、目が覚めたり無意識のうちに首の姿勢を変えますが、疲労や睡眠不足あるいは泥酔状態で就寝すると、これらの反応がなくなり、不自然な姿勢で眠り続けることがあります。または、窮屈なソファーで寝たり、椅子に座ったまま不自然な姿勢で寝てしまった時に、頸部周囲の靭帯や筋肉の一部分への負担が大きくなって炎症を起こします。
また、強い精神的ストレスを受けたり、内臓の不調があったりと、必ずしも頸部周辺に原因があるわけではないケースもあります。寝違えを繰り返しやすい人の中には、慢性的な肩凝りの悪化が関係しているケースもあります。結果的に、頭を支え、動かす際に働く筋肉が過緊張したり、関節に負荷がかかり、周辺の組織が痛むといった状態になるのです。
寝違えの症状は、起床時にある一定の姿勢をとった時、首から肩、背中の上部辺りに痛みが生じます。軽度の場合は、顔を向けられる範囲がいつもより多少狭く、動かすに連れて痛みが増していきます。重症な場合は、顔を真上へ向けて天井を見る、真下へ向けて床を見る、左右に傾ける、左右を振り向くといった動きすべてが制限され、少しでも動かすと激痛が走るようになります。
痛みとともに、手足などの末端器官のしびれ症状などを併発している場合は、神経系の障害が原因となっていることもあります。例えば、頸椎椎間板(けいついついかんばん)変性症といって頸椎のクッション役を果たしている椎間板が薄くなったり、変形性頸椎症といって椎体に骨のとげができたり、椎体の後ろを走っている後縦(こうじゅう)靱帯が骨化しているような、いわゆる老化現象による神経系の障害が、背景の原因となっていることも少なくありません。
軽度の寝違えの場合、その症状はほとんど一時的なもので、数日もすれば局所の炎症が治まって自然に治ります。寝違えの症状があまりにも長引くような場合は、神経系の障害や、骨のほかの疾患が疑われることもあるので、念のために整形外科の医師の診察を受けるとよいでしょう。
寝違えの検査と診断と治療
医師の診察では、腱(けん)反射などのチェックが正常であった場合に、通常の寝違えと判断します。逆に、腱反射などが鈍かったり、反応しない場合は、神経系の障害が原因と考えます。寝違えの症状と神経系の障害の症状は酷似しているので、正しい見極め、判断が重要です。
通常の寝違えの治療は、消炎鎮痛剤や筋弛緩(しかん)薬の内服、パップ剤の張り付け、電気刺激やレーザー照射による鎮痛処置、局所注射、神経ブロックなどを行います。また、首用のカラーをつけて頸椎を固定することも効果があります。
注意点としては、炎症が起きて痛みが発生している初期段階で、マッサージなどを行わないことです。マッサージを行うと血行が促進され、炎症を拡大させて症状の悪化を招くケースが大半だからです。マッサージなどの処置は、炎症が治まった回復期に入ってから行うようにします。
なお、手足などのしびれ症状がある場合は、各部位よりも頸椎損傷を確認します。頸椎の神経は人体のさまざまな部分に関与しているため、頸部のダメージであっても体の各部に症状が現れるのが、特徴となっています。頸椎損傷の原因は、突発的な外力による負担だけが原因とは限らず、慢性的な姿勢などによる神経の圧迫などが原因である場合もあります。そのため、日常生活の見直しから治療を始めます。
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