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第1中手骨基底部骨折

母指の中手骨の根元にある母指CM関節で関節内骨折が起こり、脱臼も生じる外傷

第1中手骨(ちゅうしゅこつ)基底部骨折とは、母指(親指)の先端部から根元に向かって強い力が加わったことにより、母指の中手骨の根元にある母指CM関節で関節内骨折が起こり、脱臼(だっきゅう)も生じる外傷。ベネット骨折、母指CM関節脱臼骨折とも呼ばれます。

ボクシングやけんかでパンチを出して自らの母指の先端部に衝撃が加わった時や、野球でボールが母指の先端部に当たった時、スキーでストックを握った状態で手を突いた時、自転車やバイクのハンドルを握ったまま転倒して母指の根元を打撲した時などに発生します。

母指CM関節は第1手根中手骨関節とも呼ばれ、母指の手前の甲の骨である第1中手骨と、母指の手根骨で手首にある第1手根骨(大菱形骨〔だいりょうけいこつ〕)の間にある関節で、母指が他の指と向き合って、物をつまんだり、握ったりなどの動作をする上で、大きな働きを担っています。

第1中手骨基底部骨折が発生すると、関節周辺に、はれや痛みが起こり、母指を動かしにくくなります。さらに、第1中手骨の根元に連結する筋肉である長母指外転筋が、母指を手首の方向に引っ張るので、第1中手骨の根元が外側に脱臼してきて、母指が変形してきます。

適切に治療せずにほうっておくと、脱臼を繰り返したり、関節の変形を生じたり、不安定性が残って痛みの原因となることがあります。けがで母指の根元に、はれや痛みが起こったら、早めに整形外科、ないし手の外科を受診することが勧められます。

第1中手骨基底部骨折の検査と診断と治療

整形外科、ないし手の外科の医師による診断では、症状から第1中手骨基底部骨折と判断し、X線(レントゲン)検査を行って確認します。

整形外科、ないし手の外科の医師による治療では、手で徒手整復して骨を元の位置に戻し、整復した状態が維持できる場合は、母指(親指)と示指(人差し指)を離した格好でギプス固定を施します。ギプス固定期間は、約4~5週間となります。

痛みに対しては、消炎鎮痛剤の内服、ステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン)の関節内注射を行います。

整復した状態が維持できず、骨折部がずれたり、関節内の骨片が安定しない場合は、鋼線と呼ばれる金属で骨を固定する手術か、金属のネジで骨を固定する手術を行います。その後、ギプス固定を施し、骨折が治癒した後に固定具の鋼線、ネジを除去します。

痛みが強く、脱臼、亜脱臼を伴う高度な関節の変形が見られる場合には、第1手根骨(大菱形骨)の一部を取り除いて関節を作り直す関節形成術、関節を動かないように固定する関節固定術、人工関節を使う人工関節置換術などの手術を行います。

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