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第5中足骨基部骨折

足の甲の部分に位置する第5中足骨の足首に近い基部に起こる骨折

第5中足骨(ちゅうそくこつ)基部骨折とは、足の第5趾(し)(小指)の根元、足の甲の部分に位置する長い骨である第5中足骨の足首に近い基部に起こる骨折。

第5中足骨基部はよく骨折を起こす部分で、骨折しても歩けることも多く、足首をひねった捻挫(ねんざ)と同じ形で受傷するので捻挫と思われがちですが、痛みのある部分や、はれのある部分が違いますので、よく観察すると区別が付きます。

骨折による症状は、足の甲の外側や小指の付け根の痛み、はれ、押すと痛む圧痛、歩行障害です。

骨折を起こす部分により、下駄(げた)履き骨折とジョーンズ骨折に、第5中足骨基部骨折は大きく分けられます。2つの骨折部の違いはわずか1センチほどですが、治療法や予後は大きく異なります。

下駄履き骨折は、ジョーンズ骨折より足首に近い基部での骨折で、かつて高下駄(げた)を履いている時に足をひねるとよく生じていました。現在は下駄を履く機会があまりありませんので、なくなったかというとそうではありません。下駄は履かなくても、裸足やサンダル履きの時、普通の靴を履いている時にも足をひねると発生することがあります。特に、厚底靴やハイヒールを履いている時は要注意です。

しかし、骨折に至っても、周辺に靭帯(じんたい)や腱(けん)が残存していて骨片の動きが少ないため、ある程度以上ずれることはあまりありません。比較的よく治り、ギプスがいらないこともあります。骨癒合しないこともありますが、動きがほとんどないため、関節部ではないのに関節のようになる偽関節になっても、症状を来すことはほとんどないとされます。

一方、発見者の名前に由来して称されるジョーンズ骨折は、下駄履き骨折より小指に近い第5中足骨基部での骨折で、前足部でみられる骨折の中でも難治性であるといわれています。サッカーやラグビーなど、カットプレーやステップターン、サイドステップやスワーブを行うスポーツをする人によくみられます。

つま先立ちの姿勢で足をひねり、一回の外力でこのジョーンズ骨折が生じる場合もありますが、一般には疲労骨折であると考えられています。カットプレーやステップターンなどで足の外側に体重がかかり、それを繰り返すことによって、第5中足骨基部にストレスがかかり、折れてしまうと考えられています。

中足骨は真っすぐな骨ではなく、丸くアーチ状になっていて、第5中足骨基部には3方向のストレスが常にかかります。最も足の外側にあるために地面からの力を直接受けやすいという条件下にあり、カット動作などを行う時、アーチがたわみ、ストレスがさらにかかり、針金が何度も曲げられると折れてしまうように、骨が疲労骨折してしまいます。

偏平足の人やアキレス腱の硬い人などがジョーンズ骨折を生じやすいといわれていますが、擦り減ったシューズを長年使用していたり、床が硬いところでプレーを続けることでも生じます。

疲労骨折は症状が急激に現れるのではなく、少しずつ痛みが慢性化していき、発生当初はレントゲンにも映らないため、痛みがあるままスポーツを続ける人も多くなってしまいます。

痛みがあるままプレーをすることで、疲労骨折が完全骨折になってしまったり、偽関節になってしまうこともあるので、痛みが続く場合は原因となるスポーツをしばらく休むことが必要です。

また、疲労骨折の場合は癒合に時間がかかる上、ジョーンズ骨折が生じる部分は血行が他の部分に比べて少ないので、骨が癒合しにくく、治りにくくなります。

第5中足骨基部骨折の検査と診断と治療

整形外科の医師による診断では、第5趾の中足骨の根元に明らかな圧痛を認め、内反ストレス(内返し)を加えると激痛を生じます。レントゲン検査の前後像と斜位像の2方向撮影で、確定診断されます。

しかし、ずれ(転位)のないケースでは、受傷した足部の状態を再現したストレスレントゲン撮影を行わないと、骨折が発見できないことがあります。従って、自覚症状と診察所見で第5中足骨基部骨折が疑われる場合は、必ずストレスレントゲン撮影を行うことが大切です。

整形外科の医師による治療では、下駄履き骨折の場合、骨折部のずれが少ないか亀裂(きれつ)骨折であるため、実際に手術の対象となる場合はまれです。ずれがなく痛みやはれが少ない場合は、湿布と弾力包帯だけを使用することもあります。厳重に固定をしなくても、骨折部の骨膜や靭帯の連続性が保たれているため、骨折部のずれが大きくなることはほとんどありません。

骨折の状態によって、ギプス療法や装具療法で経過観察します。ギプス装着の期間は1~4週間と状態によって異なり、また、取り外しができる足部だけの簡単なシーネなどで固定することもあります。 シーネやギプスをしない場合の注意事項は、痛みの出る動作を極力しないことです。一般的には、痛みがほぼなくなるには約1カ月、はれがなくなるには2~3カ月を要します。

ずれが著明なケースでは、経皮的骨接合術や内固定術などの骨接合術を検討します。

ジョーンズ骨折の場合、骨癒合が悪い部分であるため、保存治療を行っても治りにくい場合には、骨接合術を行うことがあります。

骨癒合や症状の状況に応じて、ストレッチング、筋力増強訓練なども行われます。治療後にサッカーやラグビーなどのスポーツを続ける人には、外側縦アーチを守るため、足底板をシューズに入れることを勧めることもあります。アーチを支える構造になっている足底板は、外側縦アーチにかかるストレスを小さくすることができます。足全体で体重を支えることを目的として、親指側にも足底板を追加することもあります。

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