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中心性網膜脈絡症

網膜中心部の黄斑がむくんだり、はれたりする眼疾

中心性網膜脈絡症とは、網膜の中心部の最も対象物が見える黄斑(おうはん)に、円形のむくみ、はれが生じる疾患。

黄斑とは、光を感じる神経の膜である網膜の中央に位置し、物を見るために最も敏感な部分であるとともに、色を識別する細胞のほとんどが集まっている部分。網膜の中でひときわ黄色く観察されるため、昔から黄斑と呼ばれてきました。黄斑に異常が発生すると、視力に低下を来します。また、黄斑の中心部には中心窩(か)という部分があり、ここに異常が発生すると、視力の低下がさらに深刻になります。

この黄斑に円形のむくみ、はれが生じる中心性網膜脈絡症は、網膜とその外側の脈絡膜との間に位置し、水分を通さない膜である色素上皮細胞層に小さな裂け目ができ、ここを通って脈絡膜からの水分が網膜の下にたまることで、発症します。

30歳代、40歳代の目をよく使う男性に多くみられ、片目に多く起こります。その大部分は、過労、睡眠不足、情緒不安などの後に発症するのが特徴。

症状が現れた目だけで対象物を見ると、真ん中が丸く黒い影になって見えなくなったり、小さく見えたり、あるいは大きく見えたり、ゆがんで見えたり、ぼけて見えたりします。

この中心性網膜脈絡症で失明したりすることはありませんが、再発しやすく、むくみ、はれのひいた後も、網膜にシワができて物が多少ゆがんで見えることがあります。

中心性網膜脈絡症の検査と診断と治療

まず、心身の過労を避け、睡眠を十分にとり、規則正しい生活をすることが必要です。生活の摂生を守らないと、症状が悪化したり、治癒が遅れたりします。再発しやすい疾患なので、眼科の専門医を受診します。

医師による検査としては、眼底検査、蛍光眼底検査などが行われます。眼底検査は、眼底にある網膜の状態を詳しく調べるために行われます。検査の前に目薬をさして、瞳孔(どうこう)を開きます。まぶしくて近くが見えない状態が約3時間続きますが、自然に元に戻ります。

蛍光眼底検査は、網膜や脈絡膜の血液の流れを把握する目的で行われ、腕の静脈に蛍光色素を注射してから眼底写真を撮ります。蛍光色素によって血管だけが浮き彫りになりますから、水分が漏れている色素上皮細胞層の裂け目から蛍光色素が漏れてくるのがわかります。

そのほか、主として脈絡膜の血液循環を調べるための特殊な造影検査もあります。

医師による薬物療法としては、消炎剤、血液循環ホルモン、副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド剤)や、栄養剤などの内服、または注射があります。

むくみ、はれが強い場合や、再発を繰り返す場合には、蛍光眼底検査で見付けた水漏れ部分に、光凝固療法を行います。この治療は、水漏れ部分にレーザー光線を当てて病変部を固め、水漏れの広がりを止めるものです。一般的に3週間程度で、むくみ、はれがひきます。しかし、光凝固療法も、検査の結果水漏れ部分が黄斑部の中心窩に近い場合には、行うことができないこともあります。

完治するには、数カ月から1年程度かかりますので、日常生活は規則正しく無理をしないようにします。また、定期的に眼底検査を受けるようにします。

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