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騒音性難聴
騒音の出る職場で長期にわたって過ごすことが原因になって起こる難聴
騒音性難聴とは、騒音の下で長時間就業することにより起こる難聴。職業性難聴とも呼ばれます。
騒音性難聴を引き起こす騒音の大きさは80デシベル以上と定義されており、就業期間が長くなるとともに、難聴の症状も進行することになります。
騒音の激しい工事現場、機械の作動音の大きい工場、機械音や音楽に満ちたパチンコ店、あるいはカラオケ店などで働く人は、長年繰り返して騒音を聞き続けることで騒音性難聴になることがあります。騒音性難聴になるかどうかは個人差が大きく、同じような状況下にいても難聴になる人とならない人がいます。
また、ヘッドホンやイヤホンでいつも音楽を聞いている人や、オーケストラや吹奏楽などでトロンボーンの直前にいる奏者が、騒音性難聴になるといったことも起きています。
異なる周波数の音が混じった騒音の下で就業した人を比較すると、疾患の初期には4000ヘルツ付近の高音部を中心とする類似した聴力低下を示します。従って、騒がしく、大きな音により内耳の蝸牛(かぎゅう)内の限られた部位に感覚器障害が発生することが、疾患の発生原因と考えられています。感覚器を障害するのは、同じ大きな音でも、低音よりも3000ヘルツを超えるような高音のほうが強いといわれています。
しかし、初期には4000ヘルツより低い日常会話音域は問題なく聞き取れるため、異常に気付かない人も多くなっています。
そのまま騒音を聞き続けると、高音部から低音部も聞こえにくくなり、会話音域の500〜2000ヘルツまで聴力低下が及んだ時に、初めて難聴を自覚することになります。
異常に気付いた時には取り返しがつかなくなっているという例が、後を絶ちません。また、発症者の中には、耳鳴り、めまいなどの症状を訴える例も多くなっています。
騒音性難聴は左右両側の耳に起こることが多く、両側の耳が同程度の難聴になります。
騒音のある職場では特殊健康診断が行われており、難聴が発生した場合には、その障害の程度に応じて労働者災害補償保険法による補償が行われています。申請書類の記入のために耳鼻咽喉(いんこう)科への受診が必要です。
騒音性難聴の検査と診断と治療
耳鼻咽喉科の医師による診断では、難聴の程度を調べるために純音聴力検査を行います。疾患の初期には、4000ヘルツ付近の高音部を中心に特徴的なC5dipと呼ばれる聴力低下像がみられ、比較的容易に診断できます。
しかし、進行すると老人性難聴や薬剤性難聴と似た聴力像を示すようになります。従って、騒音下での作業の職歴の有無が、職業性難聴の診断には極めて有用です。
耳鼻咽喉科の医師による治療では、慢性の難聴のため、現時点では有効な治療手段はありません。対症療法として、循環改善薬やビタミン薬などが用いられる場合もあります。
難聴を自覚した時には、すでに疾患はかなり進行しており、元に戻すことは困難です。従って、騒音の下で長時間就労する場合には、耳栓、イヤーマフなどの防音具の装着による予防が必要です。騒音過多の職場の環境を変えることができれば、何よりの予防になります。
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