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手指の変形性関節症

手指の関節軟骨が擦り減って、周囲の骨が変形する疾患

手指の変形性関節症とは、手の指の関節軟骨が擦り減って、周囲の骨が変形する疾患。指曲がり症とも呼ばれます。

手指の先端の第1関節(DIP関節)に生じる変形性関節症はへバーデン結節と呼ばれ、手指の中央の第2関節(PIP関節)に生じる変形性関節症はブシャール結節、親指の付け根の第1手根中手骨(しゅこんちゅうしゅこつ)関節(母指CM関節、MP関節)に生じる変形性関節症は母指CM関節症です。

一番多いのがヘバーデン結節で、指が節くれ立って、しかも第1関節のところで曲がってくる疾患。約200年前に、英国の医師ヘバーデンが初めて報告しました。

かつては珍しい疾患でしたが、最近は日本でも患者が増えています。しばしばリウマチと間違われますが、実体は変形性関節症です。

程度の差こそあれ、親指から小指にかけてどの指も、第1関節の部分が節くれ立ちます。また、その関節で変形し、横に曲がります。変形の型は屈曲変形、側方への曲がりと多様で、変形の程度もいろいろです。

痛みを伴うこともあり、第1関節の動きも悪くなります。また、痛みのために強く握ることが困難になりますが、ある時期になると、痛みがなくなります。

同時に、第1関節の背側に骨の変形によってできる盛り上がりである結節ができ、時に柔らかいはれを伴うことがあります。それぞれ骨棘(こっきょく)、粘液のう胞(ミューカスシスト)とも呼ばれています。

原因は不明です。一般に40歳代以降の女性、特に更年期後の女性に多く発症します。男女比は1対10と圧倒的に女性に多く、男性には発症の平均年齢が高くなる傾向があります。

手をよく使う人には、なりやすい傾向があります。遺伝性は証明されてはいませんが、母や祖母、姉妹がヘバーデン結節になっている人は、体質が似ていることを考慮して、指先に負担をかけないように注意する必要があります。

全身の関節に変化が起きることがあるリウマチと違って、ヘバーデン結節がほかの部分の関節に波及することはありません。

手指の中央の関節である第2関節に生じる類似の変形性関節症がブシャール結節で、はれ、痛み、こわばり、変形などの症状が現れます。

長年の指の使用や繰り返される過度の負担のために、加齢に伴って第2関節の軟骨が擦り減って、周囲の骨が変形するために、ブシャール結節を発症します。

進行すると、手指の曲げ伸ばしができなくなったり、手指が横に曲がった状態で固まってしまったりします。同時に、指関節の背側の一部がこぶのように盛り上がってしまうことがあります。ぞうきんを絞ることができなかったり、字を書くことが不便になったりすることもあります。

通常、ブシャール結節は一つの手指から始まり、次第に両側の手指の第2関節に広がっていく特徴があります。

中高年、特に女性に多く発症します。また、手指の第1関節に現れるへバーデン結節の20パーセント程度に合併して、ブシャール結節が現れます。

手指の第2関節のはれ、痛み、こわばり、変形が続く場合には、関節リウマチやほかの膠原(こうげん)病の可能性もあるため、整形外科を受診し、関節リウマチなどと見分けた上で、対処することが勧められます。

さらに、親指の付け根の第1手根中手骨関節に生じる変形性関節症が母指CM関節症で、関節軟骨が擦り減り、骨同士が直接ぶつかり合うことで痛みを覚える疾患。

第1手根中手骨関節は、手指の手前の甲の骨である第1中手骨と、手首の小さい骨である大菱形骨(だいりょうけいこつ)の間にある関節で、親指が他の指と向き合って、物をつまんだり、握ったりなどの動作をする上で、大きな働きを担っています。

そのぶん使いすぎや老化に伴って、関節軟骨の摩耗が起きやすく、進行すると関節がはれ、第1中手骨の基部が外側に亜脱臼(あだっきゅう)してきて、親指が変形してきます。

母指CM関節症を発症すると、物をつまむ時や瓶のふたを開ける時など親指に力を必要とする動作で、親指の付け根付近に痛みが出ます。進行すると、この付近が膨らんできて、親指が横に開きにくくなります。また、親指の指先の関節が曲がり、手前の関節が反った白鳥の首と呼ばれる変形を示してきます。

ひどくなると安静時にも痛かったり、変形が気になるようになってきます。

中高年女性に多く見られ、手芸や園芸など手をよく使う趣味を持つ人だけでなく、特に何もしていない人でも発症します。近年は高齢化により、発症者数は急増しています。

手指の変形性関節症の検査と診断と治療

整形外科の医師による手指の変形性関節症の一つであるヘバーデン結節の診断では、手指の第1関節の変形、突出、痛みがあり、X線(レントゲン)写真で関節の透き間が狭くなったり、関節を形成する軟骨が壊れたり、骨棘があることが認められれば、へバーデン結節と確定できます。

整形外科の医師によるヘバーデン結節の治療では、保存的療法として局所の安静や固定、投薬、局所のテーピング、温熱療法、運動療法などが行われます。急性期では、局所の固定、非ステロイド消炎鎮痛剤の投与、軟こう塗布、少量のステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン)の関節内注射などが行われます。

保存的療法で痛みが改善しない時や、変形がひどくなったり関節の動揺性がひどくなって日常生活に支障を来す場合は、第1関節を固定する手術、骨棘と粘液のう胞を切除する手術が行われることもあります。

対処法としては、第1関節が痛む時は安静を心掛けます。痛くても使わなくてはならない時は、テーピングがお勧めです。ふだんでも、指先に過度な負担が生じることを避けます。

整形外科の医師による手指の変形性関節症の一つであるブシャール結節の診断では、手指の第2関節のはれ、痛み、こわばり、変形、盛り上がりがあり、X線(レントゲン)検査で関節の透き間が狭くなったり、関節を形成する軟骨が擦り減ったり、骨棘があることが認められれば、ブシャール結節と確定できます。

関節リウマチやほかの膠原病との鑑別のために、血液検査を行う場合もあります。関節リウマチでは、手指の第2関節のほか、手首、肘(ひじ)など全身の関節に症状が現れます。

整形外科の医師によるブシャール結節の治療では、ヘバーデン結節の治療と同じく、保存的療法として局所の安静や固定、投薬、局所のテーピング、温熱療法、運動療法などが行われます。急性期では、局所の固定、非ステロイド消炎鎮痛剤の投与、軟こう塗布、少量のステロイド剤(副腎皮質ホルモン)の関節内注射などが行われます。

保存的療法で痛みが改善しない時や、変形がひどくなったり関節の動揺性がひどくなって日常生活に支障を来す場合は、手術療法として、第2関節の固定をする関節固定術や、骨棘を切除して関節を整える関節形成術などを行うこともあります。

対処法としては、第2関節が痛む時は指を動かさないように安静を心掛けます。痛くても使わなくてはならない時は、テーピングがお勧めです。ふだんでも、指先に過度な負担が生じることを避けます。

整形外科の医師による手指の変形性関節症の一つである母指CM関節症の診断では、X線(レントゲン)検査を行います。X線写真で、第1手根中手骨関節の透き間が狭く、関節軟骨が擦り減って骨が直接ぶつかり合った部位に、小さな突起である骨棘があったり、時に亜脱臼が認められると、確定できます。

区別しなければならない疾患には、手首の親指側の腱鞘(けんしょう)炎であるドケルバン病や、リウマチによる関節炎があります。

整形外科の医師による母指CM関節症の治療では、痛みが軽いうちは消炎鎮痛剤入りの湿布剤などの外用薬を用います。関節保護用の軟性装具を着けるか、固めの包帯を親指から手首にかけて8の字型に巻いて動きを制限することもあります。

それでも不十分な際は、消炎鎮痛剤の内服、ステロイド剤(副腎皮質ホルモン)の関節内注射を行います。

痛みが強く、亜脱臼を伴う高度な関節の変形や親指の白鳥の首変形が見られる際には、大菱形骨の一部を取り除いて関節を作り直す関節形成術、関節を動かないように固定する関節固定術、人工関節を使う人工関節置換術などの手術を行うこともあります。

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