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足底腱膜炎

加齢や使いすぎにより、足の裏の縦アーチを支えている足底腱膜に炎症が起こる疾患

足底腱膜(そくていけんまく)炎とは、足の裏の縦アーチを支えている足底腱膜に炎症が起こる疾患。足底筋膜炎とも呼ばれます。

足の土踏まずの部分は、縦のアーチと横のアーチによって作られており、その2つのアーチがクッション役となって、体重を支えたり歩いたりしています。縦のアーチを支える重要な役割を果たしているのが足底腱膜で、足の5本の指の付け根から踵(かかと)まで、足の裏に膜のように張っている腱組織です。

足底腱膜炎を発症すると、その足底腱膜に炎症が起き、小さな断裂を起こして痛みを生じます。X線(レントゲン)写真を撮ると、踵の骨の前の部分に、踵骨棘(しょうこつきょく)という棘(とげ)状の骨が見られることが多く、ひどくなると踵骨付着部での剥離(はくり)骨折を起こすこともあります。

初期は朝の起床時、歩き始めの数歩で、踵の骨の内側前方が痛んでうまく歩けないものの、少しすると痛みは軽くなって普通に歩けるようになります。日中はあまり痛みを感じません。

立ったり歩いたりしている時には足のアーチはいつも緊張していますが、眠っている間は足のアーチの負担がなくなり、その間に足底腱膜の断裂した部分が、少し修復されていきます。しかし、朝起きて立ち上がると、再び負担がかかって足底腱膜に小さな断裂が起こり、痛みを発するのです。

進行すると、1時間ぐらい座った後の歩き始めなどでも痛くなり、重症になると踵の痛みのため、歩行困難になります。

40~50歳代の男性に多く、5人に1人は一生に1度は経験するといわれます。加齢に伴って、足底腱膜の柔軟性が失われ、組織が弱くなるために、足底腱膜に負担がかかり、引き伸ばされて、炎症、断裂を起こしやすくなります。足のアーチを支えるのに役立っている、ふくらはぎの筋肉などが弱まることも、足底腱膜への負担を増し、炎症を起こしやすくします。

若い世代では、ランニングや歩きすぎ、立ち仕事などによる足の使いすぎや、外傷によって起こることがあります。体重の増加によって足にかかる負担が大きくなり、起こることもあります。

3週間以上も痛みが続いたり、強くなったりして日常生活に支障を来す場合は、整形外科を受診することが勧められます。

足底腱膜炎の検査と診断と治療

整形外科の医師による診断では、足底腱膜に沿った痛み、特に踵の下に圧痛があれば見当は付きますが、念のためX線(レントゲン)検査を行います。X線写真で、踵の骨の下に踵骨棘が認められることもあります。

整形外科の医師による治療は、通常、痛みを和らげる湿布が基本となります。日常の歩行時に痛むようなケースでは、ヒールカップというクッション材や、アーチサポート、足底板を靴の踵や土踏まずの部分に敷いて、痛みを和らげます。ヒールカップは市販されていますが、アーチサポート、足底板は医師の処方により義肢装具士が足に合わせて作製する装具です。

さらに痛みがひどい場合は、局所にステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン)と麻酔剤を注射しますが、この注射は数週間おきに数回にとどめます。炎症が取れれば、痛みはなくなります。痛みが消えても、一度できた踵骨棘はなくならず、その後の大きさにも変化はありません。

こうした治療とともに、日常生活では足底腱膜を伸ばすストレッチを行うと効果的。ストレッチは、立った姿勢で踵を少し上げ、足先にゆっくり体重をかけていきます。この時、足の指を曲げて足首を反らし、足の裏を5~10秒、十分に伸ばすようにします。左右交互に行い、少なくとも1日各30回、できれば100回行うと理想的です。

まれに、内視鏡下で足底腱膜を切り離す手術を行うこともあります。この手術は、保存的な治療を受けてから数年経過しても、歩行に比例して痛みがひどくなり、日常生活に支障を来す場合に行われます。

また、近年では一部の医療機関で、尿管結石を破砕するために広く使われている体外衝撃波結石破砕装置を、足底腱膜炎の治療に応用しています。主な対象は、保存的な治療を6カ月以上受けても効果を示さない難治性の足底腱膜炎で、低出力の衝撃波を患部に集中的に照射することで痛みを取り去ります。

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