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睡眠時遊行症

就寝中に起きて歩き回るなど、まるで目的があるような行動を起こす症状

睡眠時遊行(ゆうこう)症とは、就寝中に起きて歩き回ったりするなど、まるで目的があるような行動を起こす症状。睡眠時随伴症のうちの覚醒(かくせい)障害の一種で、夢遊症、夢遊病、夢中遊行症とも呼ばれます。

症例としては、毛布やシーツをきちんと直す、電気をつける、歩き回る、服を着る、ドアを開ける、トイレに行って排尿する、何かを食べる、外出するなどの行動をします。

うつろな表情で視線を動かさず、いくら呼び掛けても反応しません。数分で目を覚ますことがありますが、大抵の場合は30秒~30分程度の行動の後に再び眠り続け、翌朝、目が覚めた時には、本人には行動した記憶がまったくありません。

通常、深い眠りのノンレム睡眠の時に睡眠時遊行症は起こり、就眠後1時間前後に認められます。見ている夢と関係していると思われがちですが、夢とは関係なく起こります。

原因は現在、はっきりと解明されていませんが、過度のストレスや疲労、大量のアルコール摂取により脳が興奮状態になると、ノンレム睡眠中に運動抑制機能の働きが低下し、症状が起こると見なされています。脳内のセロトニンの不足が原因という説もあります。

この睡眠時遊行症は、幼児期~青年期前までに起きやすく、だいたい約3割が4歳から8歳くらいまでに発症します。大半の子供は遅くても思春期までに、ほどんど自然に消失します。約1パーセント程度は大人になっても、睡眠時遊行症の症状を持ち続けるといわれます。

対処法は、歩き回って本人が転倒したり、壁などにぶつかってけがなどしないように、周りを片付けて危険を回避することです。よほどの危険な状態にならない限り無理に起こすことはよくありませんので、静かに布団まで連れていくか、別の場所で横にさせることが望まれます。問題は自宅以外で寝泊りする場合で、幼稚園や小学校の外泊時には、事故を起こさないよう注意する必要があります。

大人になっても睡眠時遊行症の症状を持ち続けている場合は、無理に起こしたり制止しようとすると、危害を加えられる恐れがあり、過去には殺害事件も起きています。危険がない限りそっとしておくか、危急の場合は警察や救急車を呼んで対処することが望まれます。

子供では、てんかんなどの他の疾患による場合もあることに注意が必要で、症状がひどい場合には小児科、神経内科、精神科の医師に相談することが勧められます。

医師による治療では、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬による薬物療法が行われます。抗不安薬は睡眠時の緊張を緩和させることから、睡眠薬として利用されたり、抗てんかん薬として利用されたりする場合もあります。

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