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セリン
体内で合成できる非必須アミノ酸の一つで、肌の潤いと脳の機能を維持する栄養素
セリンとは、体内で合成できる非必須(ひっす)アミノ酸の一つ。細胞膜の構成成分であるホスファチジルセリンの原料として、重要なアミノ酸です。
セリンは1865年に、絹糸の成分である水溶性蛋白(たんぱく)質の一種、セリシンの加水分解物から初めて単離されました。セリンはセリシンの主要構成成分で、絹の滑らかさを醸し出す役割を持っています。
また、セリンは肌の水分量を保つために重要な保湿成分の一つで、角質層では最も多いアミノ酸成分で、肌の潤いを維持するためには欠かせません。セリンは同じく肌の保湿成分であるグリシンの原料ともなります。
セリンは神経伝達物質であるアセチルコリンの原料ともなり、アセチルコリンは外部刺激を脳のシナプスに伝える役割を持っています。同じく、セリンが原料となるホスファチジルセリンは、脳細胞のエネルギー源となるブドウ糖の吸収を促進させる効果があり、記憶力、集中力を高めたり、認知症、アルツハイマー病の進行を阻止する効果があります。
セリン自体も脳細胞を構成する神経細胞の材料となっているため、脳の機能を維持するためにも摂取すべきアミノ酸となっています。最近の研究では、睡眠前にセリンを摂取することで睡眠の質が向上し、不眠症の改善に効果があることがわかっています。
セリンを過剰摂取しても、代謝で消費され続けるため蓄積されないと見なされています。ホスファチジルセリンをサプリメントなどで多量に摂取すると、腹痛や胃痛を起こす恐れがあります。
セリンの摂取が不足すると、同じ非必須アミノ酸であるグリシンから合成して補われます。そのグリシンはコラーゲンから合成されるため、セリンの不足はグリシンとコラーゲンの不足と関連して、肌荒れ、シワなどの形になって現れてきます。
また、セリンの不足からくる脳細胞へのブドウ糖の供給の阻害などは、認知症、アルツハイマー病を進行させる恐れがあります。
若いうちはセリンの不足はさほど影響を与えないものといえますが、中年以上になるとセリン不足は健康面に大きな影響を与える危険性が高まるため、摂取不足に陥らないように心掛けるべきです。
セリンを多く含む食品としては、牛乳、大豆、高野豆腐、イクラ、カツオ節などが挙げられます。特に牛乳は、主成分となる蛋白質であるカゼインがセリンで構成されているため、セリンを摂取するには最適の食品といえます。
よく「眠れない時にはホットミルクを飲むとよい」といわれるのは、心を落ち着かせるカルシウムと、睡眠を改善するセリンの相乗効果によるものなのです。
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