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摂食回復支援食
摂食回復支援食とは、イーエヌ大塚製薬(岩手県花巻市)が病院食として開発した加工食品を、一般消費者向けに市販している「あいーと」のこと。商品名は、「I eat」(私は食べる)から名付けられました。
味も見た目も普通の料理の「すき焼き」や「焼き魚」なのに、舌の上で崩すとマシュマロのように滑らかに溶ける、とうたって、2010年10月22日から市販されています。
病気の後遺症や高齢により、咀嚼(そしゃく)力の低下など口腔に何らかの問題を抱えて普通の食事が取れない人に適しており、酵素の力で通常の食事の1000分の1に軟らかくなっています。
イーエヌ大塚製薬が愛知県の藤田保健衛生大の東口高志教授(消化器外科)らと開発し、17医療機関での臨床研究に参加して口にした患者や家族から、「家でも食べたい」との声が相次ぎ、市販が決まったという経緯があります。
軟らかさの秘密は、細胞を切り離す酵素。食材ごとに最適な酵素を選び、圧力を変えながら注入する技術を開発し、形が崩れないギリギリの軟らかさで食感も残しました。筑前煮の場合、100~1000分の1に軟らかくなりました。栄養素もほぼ変わりません。
摂食回復支援食「あいーと」として市販されているのは、「すき焼き風寄せ煮」「さばの塩焼き」「チキンカレー」「酢豚風甘酢煮」「 ホタテと野菜のあんかけ」「 ぶりの照焼き」「 鮭の照焼き 柚子風味」「ごはん」など15品。
東口教授は、「心と体はつながっている。口を動かし、ご飯を食べていると実感することで、患者の回復が早まったり、命が延びたりすることもある」と話しています。
調理は蒸し器または電子レンジで温めるだけの手軽さ。また、おかず2品とごはん1品を1食の目安として、3食でおよそ1200kcal のエネルギーを無理なく摂取できる設計です。
当初は地域限定販売で、岩手県、神奈川県、大阪府、広島県、山口県の全国病院用食材卸売業協同組合の加盟店より求められます。また、個人向けにも通信販売で全国発送されています。価格帯は 221 円から 473 円(税込み希望小売価格)。
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