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弱視

視力が生来弱く、眼鏡で矯正できない状態

弱視とは、単に視力が悪いだけでなく、眼鏡やコンタクトレンズを用いても十分に視力を矯正できない状態。乳幼児の視力の発達過程における、何らかの器質的病変、機能的障害によって生じます。

裸眼視力が0・1以下であっても、眼鏡などで矯正すると視力が1・0以上出る場合は、細かい物を見る力は完成していると考えられ、弱視とはいいません。眼鏡などで完全矯正しているにもかかわらず、視力が出ない状態が弱視です。

弱視にはさまざまな原因がありますが、主なものとして形態覚遮断弱視、斜視弱視、屈折性弱視が挙げられます。

形態覚遮断弱視は、先天性白内障や、まぶたの腫瘍(しゅよう)、眼瞼(がんけん)下垂などの疾患がある場合、あるいは3〜7日ほど眼帯をつけたりした場合に、視覚入力が妨げられ、物を見る訓練ができないことによって起きる弱視。新生児にこのような要因が働くと、数日間でも弱視化することがあり、注意が必要です。

斜視弱視は、斜視があって目が正面を向いていない場合に、網膜で最も感度の高い黄斑(おうはん)部に像を結ばなくなり、視機能の発達が妨げられることによって起きる弱視。斜視があると、両眼視ができないため物が二重に見えます。物が二重に見えると、脳が混乱するため、正常な目のほうが優位に働き、斜視になっている片方の目が弱視になる場合があります。先天性の弱視が原因となって、斜視になる場合もあります。

屈折性弱視は、強度の遠視、乱視、近視などが原因となる弱視。遠視といえば「遠くがよく見える」というイメージがありますが、視力は近くを見ることにより発達するため、近くにピントの合わない強度の遠視では、視機能の発達が妨げられて弱視が起きます。強度の乱視も同様。近視の場合は、病的な近視でない限りは近くにピントが合うため弱視にならないことが多いものの、片目のみ強度の近視である場合には弱視が起きます。

弱視の検査と診断と治療

乳幼児の弱視は、保護者が注意していてもわからないことがままあります。テレビを前の方で見る、目を細める、いつも頭を傾けて物を見るなど、いかにも物を見にくそうにしている場合には、注意が必要です。特に、片方の目だけが弱視の場合、よいほうの目で普通に見ているため気が付かないことが多くなりますので、片目を隠してカレンダーや時計を見せてみます。

弱視の目は、疲れやすいものです。乳幼児の間はあまり不便を感じないとしても、学校にいくようになると、長く教科書を読むことがつらくなったり、勉強に集中することができないかもしれません。大人になって不便を感じるようになったとしても、目の成長が止まってしまった後では手の施しようもありません。両目ともある程度の矯正視力がなければ就けない職業もまだありますし、健全なほうの目に何かあった時には悪いほうの目だけで生活することになるのです。最悪の事態も考慮に入れて、できる限りのことをしておきます。

弱視は早期に治療を開始すれば効果が大きいため、少しでも異常に気が付いた時には眼科を受診します。また、 3歳児健診の視力検査を必ず受けるようにし、異常が疑われた場合は早い時期に精密検査を受けます

治療では、低年齢であればあるほどよい結果が期待でき、3歳くらいまでに見付かると治る可能性が高くなります。人間の視機能の感受性は出生後上昇し、3カ月くらいでピークを迎えて1歳半ころまで感受性が高い時期が持続しますが、それ以後は徐々に下降し6〜8歳くらいでほぼ消失します。治療は6歳までに終えておくのが理想的で、10歳くらいから弱視の治療を始めても、視機能の感受性がほとんどないため効果が得にくいといえます。

弱視を治す治療法としては、遠視、乱視、近視などの屈折異常があれば、眼鏡かコンタクトレンズなどを使って屈折矯正して、網膜にピントをきちんと合わせ、鮮明な像を脳に送り、視機能の発達を促すことが基本となります。

片方の目のみが特に視力が悪い場合には、健全なほうの目を1日数時間、アイパッチと呼ばれる大きな絆創膏(ばんそうこう)のようなもので遮閉(しゃへい)したり、同じく健全なほうの目にアトロピンなどの目薬を点眼して故意に見えにくくした上で、悪いほうの目に完全矯正した眼鏡をかけて無理に使わせ、視力の発達を促す方法も多く行われます。この方法は病院だけではなく、家庭でもずっと行わないと意味がありませんので、家族の協力が必要となります。

屈折異常が原因の場合は、原因に適切な対処をすることにより、視力の改善が望めます。斜視弱視の治療は、まず弱視の治療を行い、視力が出た段階で、斜視の治療を行います。また、病院により、4歳児以上では視能訓練士による機械を利用した訓練を行います。

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