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鵞足炎

膝の内側で、脛骨の上部に付着している鵞足部分に起こる炎症

鵞足(がそく)炎とは、膝(ひざ)の内側で、脛骨(けいこつ)の上部に3つの腱(けん)が付着している鵞足部分に起こる炎症。鵞足滑液包炎とも呼ばれます。

3つの腱は、半腱様筋腱、薄筋腱、縫工筋腱で、腱がまとまっている状態を後ろ側から見ると、鵞鳥の足のような形をしているところから、この部分を鵞足と呼んでいます。

鵞足炎は、3つの腱や、鵞足部分と内側側副靱帯(ないそくそくふくじんたい)の間にある滑液包が炎症を起こしている状態です。発症すると、膝の内側の鵞足部分から、膝を曲げる時に使う筋肉で大腿(だいたい)部の後ろにある大腿屈筋群にかけて痛みが生じます。

鵞足部分の3つの腱は、膝の曲げ伸ばしをする際に、膝が内側に入る外反動作や、膝から下を外側にひねる外旋動作をした際に、腱と骨、腱同士、または腱と内側側副靱帯がこすれ合います。特に、走りながら方向転換をする際には、これらの動作が行われるので、鵞足部分に炎症が起こりやすくなります。

ランニング動作で脚を後ろにけり出す際や、サッカーのキックでけり出した脚を減速させる際、バスケットボールやラグビーで急な方向転換を行う際などに、特に過度の負担がかかります。急に長い距離を走ったり、使いすぎたりなど、これらの動作を繰り返すと、炎症が起こりやすくなります。

方向転換を伴わないランニングでも、膝を真っすぐにそろえて立つと足首の内側に透き間ができるX脚や、踵(かかと)の骨が内側に傾いているために着地時に足が外返しになる回内足などの骨格異常があると、外反動作と外旋動作が繰り返されることになります。

また、水泳の平泳ぎのキックでも、同様の外反動作と外旋動作が繰り返されるため、平泳ぎは鵞足炎を起こす典型的な動作といわれています。

そのほかにも、足の内側に重心が片寄るような間違った靴選び、衝撃を吸収できないアスファルトのような硬い地面の走行、重心が片寄る坂道の走行なども、痛みの原因となります。

ふだん、スポーツをしていない人が急にランニングなどのスポーツを始めた場合や、成長期の子供の成長軟骨(骨端線)閉鎖前の筋緊張の強い時期などに、鵞足炎の症状が強く出やすいともされています。

通常は運動後に鵞足炎を発症することが多く、初期には膝の曲げ伸ばしをした際や運動を再開した際に痛むのみですが、徐々に進行すると歩行や階段の昇り降りに伴っての痛みが現れます。ひどくなると、じっとして安静にしている時にも痛みを感じるようになり、日常生活にも支障を来します。

鵞足炎の検査と診断と治療

整形外科の医師による診断では、運動時に膝下内側の鵞足部分から大腿屈筋群にかけて痛みがあり、鵞足部を押さえると痛みを生じるなどの特徴的な症状がみられる場合に、鵞足炎と見なします、基本的に痛みやはれといった症状だけですので、膝の不安定性があったり、X線検査で膝関節の他の組織に損傷が認められる場合は、膝蓋靱帯炎、腸脛靱帯炎など別の障害の可能性も疑います。

整形外科の医師による治療では、軽症の場合、膝を使う運動を控えて安静を保つことで、炎症が治まり数週間で自然に治ります。

痛みが強い場合は、安静を保ちつつ患部を冷やすアイシングを行ったり、シップなどの消炎鎮痛剤を使って炎症を抑え、テーピングで固定します。痛みが治まってきたら、鵞足部の筋肉のストレッチングやマッサージをして、筋肉をほぐすのも効果的です。比較的短期間の安静で症状は軽快しますが、再燃のリスクが高いので、安静期間は長めにとることが必要です。

急に痛みが発生した直後は患部を冷やすアイシングを行い、テーピングで固定しますが、症状が長く続いて痛みが慢性化している場合は、患部を冷やしたり、固定・圧迫することは、血行が悪くなり逆効果なので、患部を温めたり、積極的に動かして血行を促進します。

重症時は、痛み止めの注射や電気治療なども行います。

鵞足炎の根本的な原因は、膝の使いすぎ(オーバーユース)と、姿勢や動作フォームの不整です。これらを改善することで、鵞足炎の予防と再発防止に役立ちます。

スポーツ時には急に練習量、運動量を増やさず、自分のレベルに合ったトレーニングを行い、疲労の蓄積を感じたら十分に休養することを心掛けます。

膝への負担を軽減するために、運動前後のウォームアップ、クールダウンをしっかり行います。ふだんから鵞足部やその周辺の大腿屈筋群、膝屈筋群(ハムストリングス)、股(こ)関節内転筋群の筋力トレーニング、ストレッチングを行い、筋力と柔軟性のアップを図ります。

ジョギングやランニングは、できるだけ軟らかい土の地面や平らな道で行います。また、走行時に膝が内側に入っていないか、踵が外を向いていないか確認し、正しいフォーム作りをします。

X脚や回内足などの障害がある人や足の形が悪い人は、シューズの調整や足底板の使用によって重心のバランスを正常に保ちます。障害のない人も、靴のサイズは合っているか、十分な衝撃吸収力はあるか、足底が斜めになっていないか確認しておきます。

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