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筋肥厚性幽門狭窄症

胃の出口の幽門の筋肉が先天的に厚くなり、胃の内容物が停滞する疾患

筋肥厚性幽門狭窄(ゆうもんきょうさく)症とは、胃と十二指腸の境界部にある幽門の幽門輪という部分の筋肉が先天的に厚くなっていて、新生児の母乳やミルクの通りが悪くなる疾患。肥厚性幽門狭窄症、先天性肥厚性幽門狭窄症とも呼ばれます。

新生児の2000人に1人の割合でみられ、新生児が飲んだ母乳やミルクを噴水状に嘔吐(おうと)するケースもあります。

筋肥厚性幽門狭窄症の原因は、胃の出口で十二指腸につながる幽門の異常です。通常は食道から胃に食べ物が届くと、幽門を通って十二指腸に運ばれます。しかし、幽門の幽門輪の筋肉が厚くなって幽門が狭くなると、食べ物は先へ進めず逆流します。

なぜ幽門に筋肉が作用してしまうのか、根本的な理由はまだはっきりしていません。筋肉の肥厚は先天的な理由とされていますが、確定していません。統計的には男の子、特に第一子の男の子に多くみられるとされています。

筋肥厚性幽門狭窄症の症状は、生後2~3週ころから1カ月にはわかるようになり、母乳やミルクを欲しがって飲んでも吐くようになります。最初はダラッと戻す程度ですが、嘔吐は治まらず、やがて口や鼻から噴水のように勢いよく吐き出します。

胃で消化する時間もないまま吐いてしまうので、空腹でまた飲みたがり、そして、母乳やミルクが胃にいっぱいたまったら嘔吐するという繰り返しを続けます。

結果、どんなに母乳やミルクを与えても、栄養を摂取できずに脱水します。栄養不足から体重も増加せず、元気がなくなってしまいます。

嘔吐が徐々にひどくなったり、顔色が土色になる、尿量や排便量が減ってくるなどの症状がみられたら、すぐに小児科、ないし小児外科の医師を受診しましょう。

これらの症状を発見できずにいると、胃にたまった内容物が胃拡張を引き起こす恐れもあります。症状が軽いと、生理的な嘔吐と見分けが付かず、噴水状に吐き出して初めて筋肥厚性幽門狭窄症に気が付くこともあります。

また、噴水のような嘔吐が目立たないケースもあります。嘔吐量や鼻からもミルクが戻ってしまうことも、医師の診断ポイントです。授乳時の様子に少しでも違和感を感じた時は、早急に医師に相談すると安心です。

新生児が栄養を摂取できずに嘔吐を繰り返すと、低カリウム血症の恐れが出てきます。筋肥厚性幽門狭窄症での激しい嘔吐により、体内のカリウムが消化液とともに吐き出されます。カリウムが欠乏すると、嘔吐や倦怠(けんたい)感が増します。

低カリウム血症は悪化すると、全身の至る個所に不具合が生じます。重症に陥ると、不整脈や四肢まひを引き起こします。

筋肥厚性幽門狭窄症の検査と診断と治療

小児科、小児外科の医師による診断は、比較的容易であり、最近では超音波検査で幽門筋の肥厚の程度まで測定することができます。

小児科、小児外科の医師による治療は、新生児の吐き方の程度が著しくて食べ物が摂取できない場合には、輸液で栄養を補給してから、手術(ラムステット手術)をすることが基本になります。

まず点滴をして、体液のバランスを改善します。点滴と母乳やミルクの経口摂取を中止すれば、次第に嘔吐は治まります。次に胃の幽門の筋肉に切り込みを入れて、狭くなっている部分を広げます。手術は1時間くらいで終わり、入院は1週間から10日くらいすることになります。この疾患による後遺症などの心配は、ありません。通常の手術は1回だけで済み、手術後は母乳もミルクも飲めるようになります。

また、近年は内視鏡を使って幽門筋を広げる鏡視下手術を行ったり、アトロピン(硫酸アトロピン)という薬を静脈内に注射することにより、幽門筋を弛緩させて治療する方法を使うこともあります。

低カリウム血症に対する治療は、原因となる筋肥厚性幽門狭窄症を改善することが有効ですが、新生児が自力で回復できない場合はカリウムを補充します。

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