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下垂体腺腫

脳の下垂体前葉にできる腫瘍で、ほとんどは良性

下垂体腺腫(せんしゅ)とは、いろいろなホルモンを分泌している下垂体(脳下垂体)前葉の腺細胞が増える腫瘍。腫瘍のほとんどは、良性と見なされています。

脳腫瘍全体の16〜18パーセントを占め、頻度の高いもので、成人に発生し、小児での発生はまれです。その発生原因は不明。大きく、ホルモン産生性の下垂体腺腫と、ホルモン非産生性の下垂体腺腫に分けられます。

ホルモン産生性の下垂体腺腫では、その細胞がもともと産生していたホルモンが過剰に分泌されるため、分泌されるホルモンによっておのおの異なる特有の症状を呈します。 従って、腫瘍がまだ小さいうちにホルモン過剰の症状で発見されることが多いのですが、ホルモン非産生性の下垂体腺腫では、腫瘍が大きくなって上方で視神経交叉(こうさ)を圧迫し、視野の障害や視力低下の症状が出て、初めて発見されることが多くなります。

ホルモン産生性の下垂体腺腫では、プロラクチン産生腺腫、成長ホルモン産生腺腫、副腎(ふくじん)皮質刺激ホルモン産生腺腫、甲状腺刺激ホルモン産生腺腫の順に頻度が高くなっています。

プロラクチン産生腺腫ができると、プロラクチンというホルモンが過剰に分泌され、月経異常、無月経、出産もしていないのに母乳が漏出する乳汁分泌、性欲減退、インポテンツなどが現れます。成長ホルモン産生腺腫ができると、成長ホルモンが過剰に分泌され、末端肥大症を来して手足が大きくなったり、指が太くなる、唇が厚くなる、あごが前に突き出るなどの症状が現れるほか、高血圧、糖尿病なども現れます。

副腎皮質刺激ホルモン産生腺腫ができると、副腎皮質刺激ホルモンが過剰に分泌され、肥満、色素沈着、多毛、高血圧などが現れます。甲状腺刺激ホルモン産生腺腫ができると、甲状腺刺激ホルモンが過剰に分泌され、甲状腺機能高進症の症状を来します。

ホルモン非産生性の下垂体腺腫では、腫瘍が大きくなると目の奥や額に重い感じや鈍い痛みを感じることがあります。腫瘍がさらに大きくなると、下垂体の上にある視神経と呼ばれる目からの情報を脳に伝える神経が下から圧迫され、目で見える範囲が狭くなります。

見えない範囲は、外側の上のほうから徐々に拡大してきます。「最近、斜め前から来る人にぶつかりやすくなった」、「赤信号で停止していたら後ろからクラクションを鳴らされ、信号を見上げると青になっていた」などの症状が出現します。

そのほか、下垂体腺腫の種類によっては、下垂体からのホルモンの生成が抑えられる症状が現れることもあります。

下垂体腺腫の検査と診断と治療

内科、眼科、脳神経外科の医師による診断では、頭部MRI検査が有効です。下垂体の中でどこに腫瘍ができたか、周囲の神経を圧迫しているかどうかなどがわかります。さらに、下垂体の近くにできた腫瘍と下垂体との関係を診断することも可能で、下垂体腺腫以外の腫瘍も確定診断できます。

また、採血によって血中の下垂体ホルモンを測定する内分泌検査も重要です。場合により入院して、早朝に下垂体ホルモンを刺激したり、抑えるような薬物を投与して、その後連続して採血が行われることがあります。

プロラクチン産生腺腫の治療には、薬物療法と手術の選択肢があります。手術で腫瘍をきれいに摘出できれば、それで治癒することができますが、プロラクチン産生腫瘍には、ブロモクリプチン、テルグリド(テルロン)、カベルゴリン(カバサール)などの有効な薬があるため、薬で治療することもできます。 これらの薬は服用を中止すると腫瘍が大きくなるので、かなり長期間の継続した内服が必要です。

薬の効果がない場合、あるいは薬の副作用のために内服が困難な場合などは、手術による治療が必要になります。ガンマ・ナイフによる放射線療法も、選択肢の一つになりますが、プロラクチン産生腫瘍に対して用いられるケースは少ないと思われます。

成長ホルモン産生腺腫の治療は、手術により腫瘍を摘出する方法が第一選択です。ほとんどの場合は、経蝶形骨手術と呼ばれる、鼻のほうから腫瘍に到達し、顕微鏡や内視鏡で見ながら摘出する方法が選択されます。補助的に行われる薬物療法では、オクトレオチドの皮下注射、またはブロモクリプチンの内服があります。そのほか、放射線治療が追加される場合があります。

その他のホルモン産生腺腫やホルモン非産生性の下垂体腺腫の治療でも、手術が第一選択です。経蝶形骨手術により腫瘍の摘出が可能ですが、腫瘍が大きい場合には手術を2回に分けたり、開頭による手術を追加する必要があります。

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