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下部尿路結石
下部の尿路に石ができた結果、いろいろな障害が発生する疾患
下部尿路結石とは、尿路の下位にある膀胱(ぼうこう)と尿道に石ができた結果、いろいろな障害が起こる疾患。
尿の通り道である尿路に石ができる疾患をまとめて尿路結石といい、石がある尿路の部位により腎(じん)臓結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石といい、膀胱結石と尿道結石の下部尿路結石に対して、膀胱より上位にある腎結石と尿管結石は上部尿路結石といわれます。
膀胱結石は腎臓結石がとどまったり、膀胱内で結石ができたりする状態
膀胱結石は、腎臓結石が膀胱まで落ちてきたり、膀胱内でできた状態。石は少なくて1個、たくさんできてしまう人は数10個までできてしまいます。
発症者には、高齢の男性が多いのが特徴です。結石が小さいうちに尿とともに排出されずに、膀胱内で大きくなったことが原因で、その背景には、前立腺(せん)肥大症、膀胱頸部(けいぶ)硬化症、神経性膀胱機能障害、膀胱憩室、尿道狭窄(きょうさく)などの尿路通過障害などの疾患があることが多くみられます。
また、尿路通過障害や膀胱内異物などに合併しやすい尿路感染は、尿素分解細菌の働きによって、リン酸マグネシウムアンモニウム結石などのいわゆる感染結石を作る原因となります。膀胱炎にかかりやすい人では、こうした感染結石が約半数を占めるといわれています。
さらに、膀胱留置カテーテルなどの異物には、結石の基となる結晶が付着しやすいことから、異物を核とした結石の形成がみられることもあります。男性に多い尿酸結石は、生活習慣病である高尿酸血症などの尿酸代謝の異常や酸性尿が関係しています。
排尿後に痛みを感じる、尿が濁る、尿が近くなる、血尿が出る、頻尿が起こる、膀胱部が痛むといった症状が現れます。排尿の途中で結石が膀胱出口をふさいでいると、急に尿が止まってしまうこともあります。中には、無症状な人もいます。
膀胱結石の検査と診断と治療
泌尿器科の医師による診断は、触診や膀胱鏡、X線撮影、超音波などの検査で行います。
泌尿器科の医師による治療としては、膀胱結石を作る原因となる疾患の治療をし、外部から結石を破壊したり、手術をして摘出をします。
膀胱結石の手術による治療法では、経尿道的手術と膀胱切石術が代表的です。
経尿道的手術は、 腰椎(ようつい)麻酔下に、尿道から挿入した内視鏡を用いて結石を摘出する方法です。腹部を切開せずにすみ、回復も早いため、最近ではほとんどの膀胱結石に対して、この治療法が行われます。手術の合併症として、出血や膀胱損傷、尿道損傷のほか、尿路性感染症による発熱がみられることがあります。
膀胱切石術は、 腰椎麻酔下に、下腹部から膀胱前壁を切開して結石を取り出す方法です。大きな結石や数が多い場合、あるいは前立腺肥大症や膀胱憩室の手術とともに行われることがあります。合併症としては、細菌感染による皮膚や膀胱壁の縫合不全が起こることがあります。
尿道結石は腎臓などで作られた結石が、尿道の途中にとどまる疾患
尿道結石は、腎臓や膀胱で作られた結石が、尿の最終的な通路である尿道の途中にとどまる疾患。
膀胱に蓄積した尿が体の外へ出る時に通る管である尿道に結石が詰まると、尿の流れが妨げられます。そのため、トイレにいってもうまく尿を排出することができなくなり、力んでも途切れ途切れにしか出なかったりします。また、昼夜を問わず頻繁に尿意が起こり、排尿後もまだ何となく尿が残っている感じがして、 すぐにまたトイレにいきたくなります。
ひどい場合は、30分〜1時間ごとにトイ レにいくこともあり、最悪の場合は尿の出が完全にストップしたりします。さらに、ふだんはわからなくても、コップに尿を取り、光に透かしてみると尿が白っぽく濁っています。
尿道に詰まった結石が尿道壁を傷付けると、排尿中や排尿の終了後に強い痛みを感じたり、血が混じった赤色の尿が出てくることもあります。
この尿道結石は、女性に起こることは少なく男性がほとんどです。その原因は、男性と女性とでは尿道の長さや形状などがかなり違うことにあります。まず、男性の尿道は長さが15〜16センチほどで細長く、膀胱から前立腺を貫いて陰茎の先端までS字を描くように伸びています。対して、女性の尿道は、長さが3〜4センチほどで男性よりも太く、膀胱から膣(ちつ)の前方を通って外尿道口まで直線的に伸びています。
男性の尿道は長くて細いので、それだけ結石がとどまって詰まりやすいのです。女性の尿道は男性のそれと比べると短くて太いので、結石ができても多くは尿と一緒に流れ出ます。ただし、女性の尿道結石が全くないというわけではありません。ビールの飲みすぎなど、食生活に何らかの問題があれば起こり得ます。
なぜ石ができるのかは尿路感染、代謝異常、ホルモン、薬など原因のはっ きりしているものもありますが、およそ8割は原因不明。石が作られる過程は、尿中の結石成分であるミネラルの濃度が何らかの原因で過飽和状態になり、腎臓に結晶核が生じてきます。その結晶が成長、凝集して結石となると考えられています。
尿道結石は尿道狭窄や前立腺肥大症などの尿の出にくくなる状態の時に現れますので、排尿時の痛み、血尿などの症状が出たら、そのまま放置してはいけません。何の対処もせずにいると、主に大腸菌などの腸内細菌の感染によって膀胱の粘膜に炎症が起こったり、悪化して腎不全や尿毒症を引き起こす可能性もあるからです。
尿道結石の検査と診断と治療
泌尿器科の医師による診断は、触診や尿道鏡、X線撮影、超音波などの検査で行います。
泌尿器科の医師による治療は、尿道狭窄が起きていた場合には、ブジーと呼ばれる棒状の医療器具を挿入して結石を膀胱へ押し込みます。そして、内視鏡を使って超音波やレーザーなどで結石を破砕します。結石が前部尿道にあった場合には、異物鉗子(かんし)と呼ばれる器具を入れて石をつかみ、摘出するという処置が試みられます。
ブジーにより尿道が広げられると、自然に石が出てくることもあります。ブジーによても石が膀胱内に戻らない場合には、麻酔下で開腹手術を行うこともあります。
原因がはっきりしないため、予防には難しい面があります。ただし、尿路結石で最も多い成分のシュウ酸カルシウムに関していえば、食物中のシュウ酸が体内に吸収されて、尿になる時にカルシウムと結合して結石になるため、予防にはシュウ酸の多く含まれた食物を控えるか、腸で吸収されて血液中に入る前に、 腸内でカルシウムと結合させることです。
それには、シュウ酸の多いコーヒー、紅茶にはカルシウムを含むミルクをたっぷり入れたり、結石を溶かす作用があるクエン酸を含む食べ物を取ることです。クエン酸を含む食べ物は、レモン、みかん、グレープフルーツ、いちご、パイナップル、キウイ、梅干し、酢などです。
また、日本で尿道結石が急激に増えてきた背景には、食生活が欧米型になったこともあるようなので、魚や野菜中心の日本型食生活を心掛けることも有効。逆に、ビールにもシュウ酸が多く含まれているので、注意が必要です。
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