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眼瞼けいれん

眼輪筋が自分の意思に関係なく、けいれんする疾患

眼瞼(がんけん)けいれんとは、目を取り囲む筋肉である眼輪筋が自分の意思に関係なく、けいれんする疾患。眼輪筋は、まぶたを開閉する筋肉です。

軽度な眼瞼けいれんは寝不足や疲れでも起こりますが、重度の眼瞼けいれんは40〜70歳の中高齢者で発症することが多く、男女の比率はほぼ1対2で女性に多くみられます。

症状は、まばたきが増えたり、まぶしさを感じたりすることから始まり、症状が重くなるとまぶたが開かなくなって、目が見えない状態にまで進んでしまうこともあります。まぶしい光やストレスは、これらの症状を悪化させます。また、活動や緊張によって症状がひどくなり、休息により軽減します。

症状の進行はゆっくりしているものの、そのまま放っておいて自然に治る疾患ではありません。多くの場合は、次第にけいれんの回数が増し、日常生活や仕事に大きな支障を来すことになります。

両眼性の眼瞼けいれんと片眼性眼瞼けいれんがありますが、多くは両眼性です。

眼輪筋を含めて顔の筋肉は脳から出る顔面神経によって制御されており、両眼性の眼瞼けいれんの原因は、顔面神経に指令を与える脳の深部の大脳基底核の異常とされます。一方、片眼性の眼瞼けいれんの原因は、脳を離れた後の顔面神経が眼輪筋へ至る走行経路の途中で、血管や腫瘍(しゅよう)などに圧迫されるためとされます。

片眼性の眼瞼けいれんは、中高齢者の男女ともにみられ、同じ側の唇のけいれんを伴い、流涙を自覚します。

眼瞼けいれんの検査と診断と治療

眼科の医師による診断は、診察時にけいれんが生じていれば容易です。診察時にけいれんが生じていなければ、誘発を試みます。例えば、強くまぶたを閉じたり、唇を横に伸ばしたりを何度もやってみます。また、強い光を目に当てたりします。

眼科の医師による治療では、肉体的、精神的安静を取るようにします。まぶしさを感じる場合は、サングラスをかけます。

この疾患を完全に治す方法は、ありません。生活に不都合がないように症状を抑えることを目的とした対症療法として、眼輪筋へのボツリヌス毒素の注射があります。食中毒の原因として知られているボツリヌス毒素は筋肉の収縮を抑制する神経毒であり、薄めたボツリヌス毒素を注射することによって、一時的に注射部位のけいれんを消失させます。

ほかに、人工涙液を点眼したり、抗コリン製剤、抗うつ薬などを内服します。また、難治症例では眼輪筋の切除術が行われます。

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