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起立性調節障害
長時間立っていたり、急に立ち上がる際に、気分が悪くなって倒れたりする疾患
起立性調節障害とは、小中学校の朝礼などで子供が長時間立ち続けていることなどが原因で、気分が悪くなって倒れたりする疾患。起立性低血圧症ともいわれ、俗称で脳貧血ともいわれています。
起立性調節障害は、貧血とは異なります。貧血は血液中の赤血球(ヘマトクリット)の数が減少したり、赤血球の中に含まれているヘモグロビン(血色素)の量が減少した状態をいいますが、起立性調節障害の場合は血液を調べても正常で、問題はありません。だから、あくまでも一時的なもので、貧血のように治療を行わなければ治らないというものではありません。
小学校高学年から中学生の子供が気分が悪くなって倒れてしまうのは、立ち続けていると重力によって血液が足のほうへ下がってしまい、脳までうまく血液が循環せずに脳が酸素不足を起こすためです。
人間が立っている時に、血液が一番たまるのは足の静脈です。もともと静脈には血液を送り出す力はほとんどなく、血管周辺の筋肉の収縮を利用するなどして静脈血を上に循環させています。しかし、成長過程にある小中学生では、そのような筋肉がしっかりできていなかったり、血管の弾力性に乏しかったります。
そのような子供が長時間立ち続けていると、足にたまった静脈血を脳まで押し上げてやることができなくなるのです。筋肉がしっかりと形成された大人では、子供の時のような起立性調節障害は起こりにくくなります。
起立性調節障害の症状は、立ちくらみや、めまい、顔色や皮膚が青白くなる、冷や汗をかく、手足が急に冷たくなる、寒気がする、脈が遅く、弱くなるなどです。このような症状が出たら、すぐに横になるようにしましょう。仰向けに寝て、深呼吸をするようにします。
起立性調節障害は、長時間立ち続けているほか、急に立ち上がった時などに起こります。突然意識を失って倒れてしまいますので、頭を打つ可能性もあり、大変危険です。
意識を失って倒れてしまったら、足を高くして横にさせます。安静にして、吐きそうな様子を見せたら顔を横に向けて、気道を確保しておきましょう。倒れてしまっても、5~6分で治まりますが、回復するまで時間がかかるようであれば、内科、ないし小児科を受診し、診察を受けたほうがいいでしょう。
また、起立性調節障害の子供には、自律神経がうまく働かずに血圧も低くなり、朝起きるのがつらく、食欲も不振で、倦怠(けんたい)感もあり、自然と学校にゆきたくてもゆけない状況になってしまう傾向もあります。
しかし、一般に夕方になると症状が回復することがほとんどで、下校時刻ころには元気になるため、学校にゆかないことを怠けや仮病と誤解されることもあります。子供の起立性調節障害には、家庭での理解はもちろん、学校関係者の理解も必要とされます。
一方、起立性調節障害は、最近では高齢者に多い症状であるといわれています。朝、目を覚ましていざベッドから出ようと立ち上がる時、または布団から出て立ち上がる時、めまいや立ちくらみが伴う場合は、起立性調節障害であることもあります。
大人の起立性調節障害とは、通常の低血圧とは違って、起床時などの起立時に血圧が21mmHg以上変化する症状をいいます。
重度の場合は失神したり、倦怠(けんたい)感を伴い、何をするにもだるさを感じ、午前中いっぱいは寝て過ごす人もいます。めまいや立ちくらみなど起立時の症状は、午前中に現れやすく、特に食後や運動後に増悪することがあります。高齢者では特に食後に一過性の失神をすることがありますが、その原因として、食後に血液が内臓にたまることが、全身の血管抵抗を減少させているとされています。
起立性調節障害の検査と診断と治療
内科、小児科の医師による診断では、問診に加え、血圧や心拍数を測定することもあります。起立時のみに症状が現れる場合、起立時に血圧測定を行う起立試験により、起立性調節障害の精査を行います。起立した時に血圧が明らかに下がり、横になると正常に戻ることが確認されれば、診断が確定します。
内科、小児科の医師による治療では、生活習慣を変えることから始めます。まず、急に座ったり立ったり、長時間立ったままでいないよう気を付けるべきです。早寝早起きを心掛け、だるくても日中は体を横にしないようにします。
血液循環をよくするためには、下半身の筋力をつけて静脈の血液が心臓、脳へと戻る力を強くすることが有効なので、軽い全身運動やウオーキングなども心掛けます。弾力性に富んだストッキングをはくことで、脚の静脈内に血液をたまりにくくすることもできます。さらに、水分は1日1・5〜2リットル補給し、塩分もふだんより多めに10〜12グラムを目安に補給します。
子供で軽症なら、生活習慣を変えることで、おおむね数カ月以内で改善します。
子供で週に1〜2回の遅刻や欠席がある場合、血圧を上げる薬を処方することもあります。一方、不登校を伴う重症の場合、復学まで長期間かかることもありますが、家族が子供を信じて見守る姿勢が症状の改善にもつながります。
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