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健忘症

一定期間内の記憶の一部または全体が想起できない状態

健忘症とは、一定期間内の記憶の一部または全体が想起できない状態。記憶障害の一つで、健忘の健は「甚だ」の意味です。

多くの健忘症は、脳の働きと何らかの関係があり、いくつかのパターンに分けられます。交通事故や激しいスポーツなどで頭を強く打った際に脳しんとうを起こし、それ以降の記憶が途切れているような場合もあれば、逆にそれ以前の記憶を失う場合もあります。前者を前向健忘と呼び、後者を逆行健忘と呼びます。

脳血管障害や脳腫瘍(しゅよう)、認知症(痴呆〔ちほう〕症)など脳の損傷が原因で起こる器質性健忘症の場合、非常に進行が早いケースもあれば、比較的ゆっくりと進行するケースもあります。

また、脳に損傷を受けて健忘症がひどくなった場合には、自分の記憶がそっくりなくなっている場合と、途切れ途切れに忘れている場合とがあります。全部を忘れる場合は全健忘と呼び、途切れ途切れの場合は部分健忘と呼んで区別しています。

器質性健忘症の場合、脳炎、てんかん発作を繰り返した時、糖尿病の人が血糖のコントロールを誤って低血糖となった時、尿毒症、アルコール中毒、一酸化炭素中毒、薬物中毒、睡眠薬の使用を誤った時などにも発生することがあります。

記憶には脳の多くの機能がかかわっているため、どのような種類の脳の損傷であっても、記憶を失うことがあります。損傷が重症でない場合は、ほとんどの健忘症は数分から数時間で、特に治療をしなくても自然に症状が消えます。脳の損傷が大きい場合には、症状は恒久的に続きます。

本当に健忘症がひどい場合には、一度専門医によく調べてもらい、原因とその病気を確かめて治療をすることが必要です。器質性健忘症とは別に、神経症(ノイローゼ)で自分自身で記憶力が悪くなったと感じているだけの場合もあります。

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