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介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

介護老人福祉施設とは、介護保険法に基づいて施設介護サービスを提供する介護保健施設の一つで、都道府県知事が指定する介護施設のこと。特別養護老人ホーム、特養とも呼ばれています。

介護保健施設には、この介護老人福祉施設を始め、介護老人保健施設(老人保健施設、老健)、介護療養型医療施設の3つがあり、介護保険3施設と呼ばれています。

介護老人福祉施設は、常に介護が必要だが入院の必要はない、満65歳以上の高齢者を対象としています。また、満40歳以上満65歳未満で、政令で指定された15の特定疾病が原因で要介護度1以上の認定を受けた人も対象としています。介護保険法では介護老人福祉施設と呼ばれ、老人福祉法では特別養護老人ホーム(特養)と呼ばれていますが、実質的には同一です。公的ホームとも俗称されています。

厚生労働省が定める老人福祉法においては、入所する要介護者に対し、入浴、排泄(はいせつ)、食事などの介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行うことを目的とする施設とされています。

施設数は全国で約6000と、介護施設において最多です。施設の設置、運営は、地方自治体(都道府県・市町村)と社会福祉法人に限定されています。職員は医師、看護職員、介護職員、介護支援専門員、生活指導員、栄養士などの配置が義務付けられていますが、医師は常駐していなくてもよいことになっています。

施設サービス費は、介護保険の適用により1割負担となります。介護老人福祉施設は他の介護保険施設に比べ低額ですが、トータルの費用は施設により多少異なっています。居住費や食費については、厚生労働大臣によって定められた基準費用額が目安となるものの、月額の総費用は要介護度と利用日数、そしてさまざまなサービスの利用に応じて、施設との契約によって決められるためです。

ちなみに、低所得者には居住費、食費の負担限度額の減額申請を行うことができるという軽減制度が用意されています。

介護保険の給付の対象から外れる居住費、食費、日常生活費のいわゆるホテルコストが、自己負担となります。また、個室の場合には、個室利用料は介護保険の対象外であり、同様に自己負担となります。そのため、あえて既存の相部屋タイプを希望する人も少なくないようです。

とりわけ、洗濯代や理美容代などの日常生活費が、要介護の度合いに応じて想定以上にかさみ、最終的に結構な金額になる場合も多いので、注意する必要があります。

申込みは希望者が自由に行えることになっていますが、入居希望者、待機者が非常に多く、数年待ちというケースも珍しくありません。現在、入所者数が約40万人であるのに対し、入所希望の待機者もほぼ同数の40万人ほどいるといわれています。

入所に当たっては、申込順ではなく介護の優先度順となっており、要介護度、介護者の状況、その他緊急性の判断などにより地方自治体、施設が定めた入所基準に基づいて、待機者名簿が作成されています。従って、入所基準は地域や施設によっても異なることになります。

その名簿をもとに、施設長、介護職員、ケアマネジャーらから構成される入居判定委員会での合議により、入所の優先順位が決められることになります。

福祉型の施設であることから、可能な限り在宅生活への復帰を念頭に置いて、施設サービス計画に基づいた入浴、食事などの日常生活の世話、機能訓練、健康管理などを行います。

在宅での日常生活が可能になったら、本人や家族などの希望などを踏まえて、スムーズな退所のための支援を行うことになっています。現実には、介護保険3施設の中で介護機能に最も重点を置いた施設ではあるものの、入所期間も特に決められておらず、入所者も80歳以上の高齢者の人が過半を占める現状もあって、退所できないままにみとられる入所者も、相当数に達しています。

低価格で入れる介護老人福祉施設は、建設に当たって地方自治体に多額の補助金が支給される反面、建設に行政の指導が入ることから、どうしても全国的に一律の画一的な建物の造り、個性のないサービス内容になっています。

個室もあるものの、全体の7割は4人程度の相部屋となっており、低額で入所できるというメリットがある反面、プライバシーがなく、生活の質が低いまま放置されている点が指摘されています。

現在は、10人を一まとまりに介護するユニット型といわれる個室タイプでなければ、新たに介護老人福祉施設を設置できなくなっていますが、現状ではまだユニット型の普及率は、全国ベースで全体の4分の1程度にとどまっています。加えて、建設費用の4分の3をまかなっていた国の補助金が2005年に廃止され、介護老人福祉施設の新設そのものにブレーキがかかっているということもあり、今後のユニット型への移行や個室部屋の増加は期待薄とされています。

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