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機能性子宮出血(機能性出血)
性ホルモンの濃度の変化によって起こる、子宮からの不正出血
機能性子宮出血とは、器質的な異常も血液の疾患もないのに、子宮から不正出血が起こる状態。機能性出血とも呼ばれ、月経以外で発生します。
この不正出血は、性器に腫瘍(しゅよう)や炎症、妊娠など器質的な異常がなく、また出血傾向を起こすような血液疾患もないような人に起こるもので、妊娠可能年齢の初期と末期にみられることが多く、その20パーセントは思春期の女子にみられる思春期出血、50パーセント以上は45歳以上の女性にみられる更年期出血です。
原因は、卵巣から出ている2種類の卵巣ステロイドホルモン、エストロゲンとプロゲステロンの濃度の変化。卵巣ステロイドホルモンの分泌は、脳、下垂体、甲状腺(せん)、副腎(ふくじん)などの内分泌器官によって調節されているので、これらの部位に異常が起きれば卵巣の働きが異常になってホルモンの濃度が変化し、機能性出血が起こることになります。
例えば、受験の失敗、失恋、家庭内のトラブルなどは、脳に影響し、脳から出る下垂体調節ホルモン分泌に異常が起こり、排卵が障害されるために不正出血が起こります。
この機能性子宮出血には、エストロゲンの濃度が高くなった時に起こる破綻(はたん)出血と、エストロゲンの濃度が低くなった時に起こる消退出血に分けられます。よく起こるのは破綻出血で、エストロゲンの濃度が高いとプロゲステロンの濃度とのバランスが取れず、排卵が起こりません。その結果として、子宮内膜が厚くなった後、内膜は不完全かつ不規則にはがれて出血を起こします。
また、排卵周期に起こる排卵性機能出血と、排卵のない時期に起こる無排卵性機能出血に分けられます。
年齢との関係でみると、性腺機能の未熟な女子に起こる思春期出血は無排卵性機能出血が多く、破綻出血によるものがほとんどです。月経が始まって数年間、卵巣の働きがまだ完成されていないために、ちょっとした精神的ストレスで排卵が障害されて起こりやすくなります。繰り返し起こる場合や、長く続く場合は、貧血を起こし、根気がなくなったり、疲れやすくなり、また心臓にも負担がかかるので、早期治療が必要です。
この思春期出血の75パーセントは、対症療法をするだけで治り、成人してからの結婚や出産にも差し支えのないものです。しかし、25パーセントくらいに多膿胞(のうほう)卵巣症候群などの治りにくい異常があり、これは早く治療を始めないと、不妊症になったり、早くに閉経してしまうという異常が残ります。
45歳以上の女性にみられる更年期出血においては、性腺機能の低下に伴う機能性子宮出血が多くなります。これは排卵障害が原因ですが、破綻出血、消退出血いずれのパターンもあり得ます。
思春期出血、更年期出血のほかに、月経の1週間くらい前に起こる出血も、機能性子宮出血のものが多く含まれています。この場合は排卵はあるのですが、黄体ホルモンが不足すると起こります。
排卵の時期に一致して出血する、いわゆる中間期出血も機能性子宮出血のものです。これが毎月連続して起こったり、量が多ければ、ホルモン療法の対象になります。
機能性子宮出血の検査と診断と治療
機能性子宮出血が疑われる症状がある場合は、産婦人科を受診します。子宮がんを始めとしてさまざまな重い疾患が隠れている場合もありますので、検査を受けることは大切です。
医師は、基礎体温表の評価、血液検査による卵巣ステロイドホルモンならびに脳下垂体ホルモンの測定により、排卵の有無と卵巣機能を評価します。思春期の女子では、血液疾患などの全身性の出血傾向を伴う疾患ではないことを確認します。子宮がんなどの器質的疾患ではないことを確認するためには、内診、超音波断層法などの画像診断、子宮内膜細胞診、子宮内膜組織診などの病理学的検査が行われます。
機能性子宮出血と診断されるのは、子宮からの出血があり、他の原因がすべて除外された場合です。
発症者が苦痛を訴えている場合や、貧血などが合併している場合に治療が必要になりますが、軽度のものは経過観察だけです。治療では、投薬や注射によるホルモン療法、排卵誘発薬、止血剤、消炎鎮痛薬 経口避妊薬などが、機能性子宮出血の原因や状態に応じて用いられます。
薬物療法でも改善がみられない場合は、子宮内膜の表面を引っかくようにして剥離(はくり)させる子宮内掻爬(そうは)を行うことがあります。大量出血でショックを起こした場合は、輸血をすることもあります。
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