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強膜炎、上強膜炎
眼球の外側の白い壁である胸膜に、炎症が起こる疾患
強膜炎、上強膜炎とは、眼球の外側の白い壁である強膜に、炎症が起こる疾患。強膜の深い部分に炎症が起こるのが強膜炎で、強膜の表面に炎症が起こるのが上強膜炎です。
この強膜という組織は、白目の部分を覆う眼球壁です。つまり、眼球壁のいちばん前の5分の1の部分が透明な角膜で、眼球壁の後ろ5分の4の部分が白い不透明な強膜であり、角膜の周囲の強膜の上には半透明の結膜が張っています。
強膜炎、上強膜炎の症状としては、目の痛みが強いことが特徴で、睡眠や食欲が妨げられます。まぶしい、涙が出るといった症状が出ることもあります。充血してくるため、白目の部分が鮮紅色になり、はれてきます。この部分の充血は、強膜炎によるのか、結膜炎によるのか見分けるのは困難なものの、結膜炎による充血は血管収縮薬を点眼すると消えるのに対して、強膜炎による充血は消えないことで区別できます。はれた部分を押すと、痛みます。
上強膜炎では、充血が強いものの、それ以外の症状は軽度です。強膜炎では、上強膜炎より強い充血を示し、痛みも強く、範囲も広くなります。目の後ろ側の強膜にも炎症が及ぶと、後部強膜炎となり、視力もかなり低下します。
強膜が溶ける壊死(えし)性強膜炎では、強膜の組織が薄くなって、中のぶどう膜という濃い茶色の部分が透けて見えるようになるため、白目に黒いところが出てきたように見えます。
また、角膜が濁り、虹彩(こうさい)炎を合併することもあります。
症状は片目だけに現れる場合も、両目に現れる場合もあります。比較的まれな疾患ですが、30歳〜50歳の女性に最も好発し、再発しやすい特徴もあります。
多くは原因不明で、目の疾患の中で最もその実態がわかっていない一つです。結核アレルギーやリウマチ、ハンセン病、梅毒、サルコイドーシス、痛風などの全身性の炎症性疾患、免疫反応が自己の組織を攻撃する自己免疫疾患、局所の感染症などが、原因として挙げられています。
強膜炎、上強膜炎の検査と診断と治療
強膜炎、上強膜炎は睡眠や食欲が妨げられ、速やかな治療を要する疾患ですので、目に強い痛みを覚えた時はすぐに眼科を受診します。
医師による診断は、まず臨床的に細隙灯(さいげきとう)顕微鏡検査で行われます。原因となる疾患を検索するために、血液検査や胸部X線検査も行われます。また、局所の感染が疑われる場合は、炎症を起こしている部分や涙の中に、細菌や真菌(かび)、ヘルペスウイルスなどがいないかどうか検査する場合もあります。
目の後ろ側まで炎症が広がっていることが疑われる場合は、目の超音波断層撮影を行って奥の後部強膜がはれていないか、また、眼底検査を行って網膜剥離(はくり)を伴っていないかを調べます。
治療としては、局所の感染による場合は、その原因微生物に対する薬物を投与します。局所の感染でない場合は、重症度に応じて炎症剤、副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド剤)、抗生物質などの点眼や結膜下注射を行います。
上強膜炎の場合は、点眼で比較的容易に軽快します。強膜炎の場合は、多くは全身投与が必要です。もちろん、原因となる疾患が判明した場合は、その全身性の炎症性疾患などに対する治療を並行して行います。
壊死性強膜炎と、その原因となるリウマチなどの全身性の炎症疾患とを有する場合は、免疫抑制薬の全身投与を行います。眼球穿孔(せんこう)の危険に対し、強膜移植が行われることもあります。壊死性強膜炎の重症例では、眼球摘出に至ることがあり、10年以内の死亡率も50パーセントにも上ります。
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