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紅皮症(剥脱性皮膚炎)
全身の皮膚が赤くなり、皮膚表面の角質がはがれる状態
紅皮症とは、全身の皮膚が赤くなり、皮膚表面の角質が細かい糠(ぬか)状に、あるいは、うろこ状にはがれる鱗屑(りんせつ)を伴う状態を指します。疾患名というよりも一種の症候名であり、剥脱(はくだつ)性皮膚炎とも呼ばれます。
通常、かゆみがあります。全身症状として、発熱、悪寒や震えなどの体温調節障害、リンパ節のはれ、全身の倦怠(けんたい)感、体重減少などを伴います。
この紅皮症は、それぞれ原因の異なる皮膚病に続いて発症します。アトピー性皮膚炎、乾癬(かんせん)が悪化して起こることがあるほか、天疱瘡(てんぽうそう)、扁平苔癬(へんぺいたいせん)、毛孔性紅色粃糠疹(ひこうしん)などが全身に広がって起こります。菌状息肉症、セザリー症候群などの皮膚の悪性リンパ腫(しゅ)や、慢性リンパ性白血病でも生じます。
また、薬疹などの中毒性紅皮症もあり、乾燥した皮膚が不適切な治療により、次第に全身の皮膚に変化を起こしていく老人性紅皮症のようなものもあります。
症状や経過は、さまざまです。中毒性紅皮症や老人性紅皮症では、治療によっては比較的短期間に、軽快する場合もあります。悪性リンパ腫などによって起こる場合は、予後が悪くなります。特に、再発を繰り返す場合は、次第に衰弱して合併症を起こし、死亡することもあります。
紅皮症の検査と診断と治療
皮膚科専門医を受診して原因をよく調べ、それに合った治療を受けることが必要です。
皮膚科では、どの疾患がもとにあって紅皮症を発症したのかを調べます。病変部の皮膚を数ミリ切り取って調べる病理組織検査である皮膚生検は、もとの疾患が何かを知る上で有用です。
紅皮症に共通する血液検査所見として、白血球数、好酸球数、LDH(乳酸脱水素酵素)がいずれも増加します。また、紅皮症では有棘(ゆうきょく)細胞がんの腫瘍(しゅよう)マーカーであるSCCが血液中に増加しますが、がんの心配はありません。
紅皮症では全身の皮膚が侵され、症例によっては予後不良になる場合もあるため全身管理が重要であり、原則入院治療が行われます。その上で、湿疹や皮膚炎に続発する紅皮症には、副腎(ふくじん)皮質ステロイド剤の外用と、抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤の内服が有効です。脱水予防のための輸液なども行われます。
乾癬に続発する紅皮症には、エトレチナート(チガソン)の内服、PUVA療法(紫外線照射)、高濃度ビタミンD3含有軟こう(ボンアルファハイ軟こうなど)の外用が行われます。
薬疹による中毒性紅皮症では、原因薬剤を中止し、副腎皮質ステロイド薬の外用、時に内服が行われます。悪性リンパ腫による紅皮症では、PUVA療法や電子線照射が行われます。
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