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インスリノーマ
膵臓のベータ細胞が腫瘍化し、インスリンが過剰分泌されて低血糖症状を起こす疾患
インスリノーマとは、膵臓(すいぞう)のランゲルハンス島(膵島)という細胞群の中にあるベータ細胞が腫瘍(しゅよう)化し、インスリンが過剰分泌されることで低血糖症状を起こす疾患。インスリン産生膵島細胞腫とも呼ばれます。
発生する腫瘍は、直径1センチ程度と小さいものが多く、ほとんどが1つだけの単発性腫瘍で良性腫瘍ですが、まれには2つ以上の腫瘍が認められる多発性腫瘍や悪性腫瘍もあります。全体の90パーセントは良性腫瘍で、悪性腫瘍の割合は10パーセント以下です。
多発性内分泌腺(せん)腫瘍症1型の部分症としてインスリノーマが発生した場合は、多発性腫瘍の可能性が高くなります。
インスリンは血液中の糖分を正常に保つ重要な働きを持っており、正常なベータ細胞は血液中の血糖値が低下するとインスリンの分泌をやめます。しかし、ベータ細胞が腫瘍化してインスリノーマになると、血糖値に無関係にインスリンを分泌し続けるために、低血糖症状を起こします。
低血糖になると、毎食前や夜間などの空腹時に、目がかすむ、複視、発汗、脱力感、動悸(どうき)、頻脈、手の震え、めまい、体熱感、不安感などが出現します。これらは、自律神経が低血糖に反応して興奮するためと考えられています。
さらに血糖が低下すると、脳への糖分の供給不足により、思考能力低下や、錯乱、異常行動が出現します。このまま放置されると、けいれんが起こり、意識混濁、意識消失、昏睡(こんすい)状態となり、生命の危険をもたらすこともあります。
不安感、思考能力低下、異常行動、けいれん、意識消失、昏睡を起こすことから、精神障害、神経疾患、てんかんなどと区別が難しいことがあります。小児の場合は、主にけいれんや昏睡を引き起こし、これが長期にわたると脳細胞に障害が残り、記憶障害、知能低下、精神障害を来すことがあります。
インスリノーマの発症者は、経験的に空腹になると調子が悪くなることを感じていて、食べることにより症状が出現するのを無意識に防いでいることがあります。この場合は、体重が増加して肥満が進行します。
不安感、めまいなどの軽い症状から、錯乱、けいれん、意識消失など重い症状に変化することもありますから、インスリノーマに気付いたら、内科、消化器内科、あるいは内分泌代謝内科を受診し、適切な診断と治療を行ってもらうことが勧められます。
インスリノーマの検査と診断と治療
内科、消化器内科、内分泌代謝内科の医師による診断では、低血糖発作時に血中インスリンが高値であれば、インスリノーマを疑います。
この際、インスリン注射薬や糖尿病内服薬の不適切な使用による人為的低血糖でないことを確認します。また、抗不整脈薬やキノロン系抗菌薬の中には、低血糖を偶発的に起こさせるものがあるので、使用中の薬剤を確認します。
診断を確定するためには、絶食試験を行います。最長72時間まで食事を接種せず水分摂取のみで過ごしてもらい、採血を繰り返します。途中で大まかな目安として50mgdl以下の低血糖が誘発されれば終了で、この時の血中インスリンおよびCペプチドという膵臓で作られたインスリン量を反映する物質が低下不十分であれば、インスリノーマと確定します。インスリノーマの場所の特定には、内視鏡的超音波断層検査、腹部超音波検査、CT(コンピュータ断層撮影)検査、選択的血管造影などを行います。
また、選択的動脈内刺激物注入試験(SASIテスト)と呼ばれるカテーテル検査を行うこともあります。大腿(だいたい)動脈に注入用のカテーテル、大腿静脈に採血用のカテーテルを1本ずつ挿入し、膵臓に流れ込むいくつかの動脈のうち、どの枝にインスリン分泌刺激物であるカルシウム液を注入した時に、最も高濃度のインスリンが膵臓から肝臓を通って流れ出てくるかを比較します。
内科、消化器内科、内分泌代謝内科の医師による治療では、外科手術で腫瘍であるインスリノーマを切除するのが第一選択になります。
高齢だったり、先天性の心臓疾患などの理由で外科手術に耐えられない場合や、複雑な部位に発生したために切除できない場合などには、低血糖治療薬のジアゾキシド(アログリセム)の内服により、インスリン分泌の低下を図ります。酢酸オクトレオチド(サンドスタチン)の注射も、有効なことがあります。
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