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アルベルス・シェーンベルク病
全身の骨が大理石のように著しく硬く、もろくなり、折れやすくなる疾患
アルベルス・シェーンベルク病とは、全身の骨に著しい石灰化が起こり、骨が硬化する疾患。大理石骨病、大理石病とも呼ばれます。
骨は硬く安定した組織に見えますが、実際には皮膚などと同じように新陳代謝を繰り返しており、古くなった骨が破骨細胞により分解(骨吸収)され、新たな骨が骨芽細胞によって作製(骨形成)されるサイクルが繰り返されることで、丈夫さやしなやかさが維持されています。
健康な状態では骨吸収と骨形成のバランスは均衡しており、骨の量は一定に保たれていますが、加齢や閉経などの要因でバランスが崩れ、骨吸収が骨形成を上回ると骨が空洞化して骨粗鬆(こつそしょう)症になったりします。逆に、骨形成が骨吸収を上回ると骨が大理石のように硬くなりすぎて、中央部にある空洞がなくなり、骨端部が棍棒(こんぼう)状に肥厚するアルベルス・シェーンベルク病を引き起こします。
アルベルス・シェーンベルク病は、比較的まれな遺伝性疾患で、遺伝子の変異が原因となる破骨細胞の先天的な機能不全により、骨の構築および再構築に異常が生じ、全身的に無構造な骨硬化を示します。
生後まもなく発症する早発型(乳児型、悪性型)と、少年ないし成人になってから発症する遅発型(成人型、良性型)とに、主に分けられます。
早発型のアルベルス・シェーンベルク病は、常染色体劣性遺伝し、重症で予後不良のため多くは死亡します。遅発型のアルベルス・シェーンベルク病は、常染色体優性遺伝し、軽症であるためほぼ正常な社会生活を送ることができます。
早発型のアルベルス・シェーンベルク病の初期の症状としては、発育不全、自然にできる挫傷(ざしょう)、異常出血、貧血が挙げられます。後に、脳神経のまひと、肝臓と脾(ひ)臓が大きくなる肝脾腫(しゅ)を起こします。骨の過成長は骨髄の機能障害の原因となって骨髄不全に陥り、非常に重篤な肺炎などの感染症、または出血による死亡が通常、生後1年以内に起こります。
遅発型のアルベルス・シェーンベルク病は、小児期、ないし青年期、若年成人期に発症します。通常、全体的健康状態は損なわれませんが、年齢が進むにつれて骨硬化が明らかになっていき、骨が硬くなりすぎるため、まるでチョークを折るような特有の骨折を起こすことがあります。
血液を作る働きを持つ骨髄の入っている骨の空洞が狭くなるために、血液を作る働きが悪くなる結果、貧血を起こしやすくなります。骨髄は血液を作るほかにも、免疫に働く細胞も作るため、骨髄の減少に伴って感染症にかかりやすくなることもあります。
疾患が進むと、骨髄まで骨化して、脳神経孔や脊椎(せきつい)管が石灰化のために細くなり、視神経委縮や顔面神経まひ、難聴などの神経障害を合併する場合もあります。歯牙(しが)の発育が遅れて虫歯になりやすい傾向や、感染によって歯周炎を起こしやすい傾向もみられます。
アルベルス・シェーンベルク病の検査と診断と治療
小児科、整形外科の医師による診断は、X線検査を基に行われます。アルベルス・シェーンベルク病(大理石骨病)の場合は特徴的な画像所見を示し、骨髄腔(こう)には石灰化像が広がり、骨硬化像と管状骨端部の棍棒状の肥厚像を示し、脊椎は水平な帯状模様を示します。
医師による治療は、アルベルス・シェーンベルク病に根本的な治療法がないため、骨折その他の症状に応じた対症療法だけを行います。
骨折の治療は、ほとんどの場合は手術が行われます。しかし、普通の人よりも治りにくいとされています。ビタミンD製剤の大量使用、低カルシウム食によって、骨の過剰な骨化を防ごうとする治療も行われます。
骨の過成長によって、顔面に重度のゆがみをもたらす場合もあり、歯の不正咬合(こうごう)によって専門的な歯科矯正処置が必要になることもあります。
頭蓋(ずがい)内圧高進を軽減するためや、圧迫された顔面神経、聴神経を解放するために減圧手術を行うこともあります。一部の患者では、貧血の治療のために輸血や脾臓の摘出を要します。
重症の貧血や、感染症に対しては、小児期までに骨髄移植が行われることもあります。
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