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アルミニウム

アルミニウムとは、アルミノ珪酸(けいさん)塩として岩石、土壌中に存在する元素。地殻を構成する元素の中で、酸素、珪素について3番目に多い元素であり、約8パーセントを占めています。

自然界ではアルミニウムはいろいろな化合物の形態になっており、鉱物や土壌、水、空気、植物、動物などに含まれています。そして、食べ物や飲み物、水や空気などを通して、人間は毎日アルミニウムを摂取しています。また、食品添加物や医薬品、飲料水の浄化剤などにも、アルミニウムは広く使用されています。

金属材料として使われる場合は、目で見てアルミニウムであることがよくわかります。建築のサッシや外壁、自動車部品、容器や包装材、調理器具などに使われ、日常的に出合うことができます。

このアルミニウムの取りすぎになってしまうケースが、幼児がホットケーキやパウンドケーキを週に1個食べるだけで発生することが、東京都健康安全研究センターの2010年の調べでわかりました。アルミニウムを含む膨らし粉(ベーキングパウダー)が原因と見なされ、神経系などに影響を与える可能性があるため、摂取量を減らす対策が必要とされています。

東京都健康安全研究センターは、市販されているホットケーキミックス粉6種、クッキー、ドーナツなどの焼き菓子57種など107の製品を検査。ミックス粉3種、焼き菓子27種からアルミニウムを検出しました。これらの製品には、膨張剤やベーキングパウダー使用と表示がありました。

ミックス粉では1グラム当たり最大0.53ミリグラム、焼き菓子ではパウンドケーキやスコーンで最大0.37ミリグラムでした。この場合、ホットケーキ1枚(粉で約50グラム)にアルミ約27ミリグラム、パウンドケーキ一切れ(粉で約50グラム)でアルミ約19ミリグラム含まれる計算になります。

世界保健機関(WHO)などが定める1週間の暫定耐容摂取量(PTWI)は、体重1キロ当たり1ミリグラムで、体重16キロの幼児では16ミリグラムになり、ホットケーキ1枚で1.7倍になります。ただし、似たような製品でも含有量に大きな差があり、検出されないものもありました。使っている膨張剤の成分の違いによると見なされます。

アルミニウムの人間への影響はまだわかっていませんが、動物実験では生殖器や発達中の神経に変化が現れるなどの影響が出ています。

WHOなどは2006年に、これまでの想定より少ない量で影響が生じるかもしれないという調査結果に基づき、PTWIを7ミリグラムから現行の1ミリグラムに引き下げています。

日本では、アルミニウムは食品衛生法で食品添加物として認められています。水道水で1リットル中0.2ミリグラム以下とする基準がありますが、食品にはなく、食品衛生法では膨張剤の成分やアルミニウム含有量の表示は義務付けられていません。

しかし、最近は「アルミフリー(不使用)」と明記した膨張剤やミックス粉も販売されており、通販や自然食品を扱う店などで買えます。ベーキングパウダーのほか、プロセスチーズ、ピクルスなどでは、アルミニウムを含む添加物が多く使われています。日本人になじみの深い漬物にも、アルミニウムを含んだみょうばんを利用したものが昔からあります。

食べ物や飲み物と一緒に体に入ったアルミニウムは、約99パーセントが吸収されずにそのまま大便中に排出されることがわかっています。また、わずかに残った分の大部分は腸管を通して吸収された後、腎臓(じんぞう)を通って尿とともに排出されます。

一般に、人体内には35〜40ミリグラムのアルミニウムが安定した状態で存在しているといわれ、主に肺、骨などに分布し、わずかに血液、脳などにもあります。アルミニウムの体内の働きについては、はっきりと解明されていないのが現状です。

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