第1回 【血圧のクスリ】

グレープフルーツに気をつけて。

 血圧の薬、どんなふうに効いているかご存知ですか?
血圧の薬は、「心臓の負担を減らすタイプ」と「末梢の血管を拡げて血圧を下げるタイプ」に大きく分かれます。1種類だけでは使用量が増え、副作用が現れやすいので、数種類を併用することもあります。副作用で気をつけたいのが、頭痛、動悸、めまいなど。ACE阻害薬には空咳という特徴的な副作用があり、またベータ遮断薬は喘息の方は服用できません。
 気をつけたいのが食べ物との飲み合わせです。特にカルシウム拮抗薬はグレープフルーツに要注意。グレープフルーツの成分により薬が効きすぎてしまう恐れがあり、摂取時間をずらしても避けられません。ジュースやゼリーも避けたほうがいいでしょう。ただし、グレープフルーツ特有の成分によるもので、みかんやオレンジには含まれていないので安心を。
 血圧の薬は飲んですぐに結果が出るものではありません。根気よく続けましょう。

■心臓の負担を減らすタイプ
利尿薬:尿の量を増やし、体内の余分な水分を減らす。トイレの回数が増えるので就寝前の服用は避る。
ベータ遮断薬:交感神経のベータ受容体を抑え、心臓の収縮をゆっくりにして血圧を下げる。副作用はめまい、息切れ、だるいなど。
■末梢の血管を拡げて血圧を下げるタイプ
カルシウム拮抗薬:血管の収縮を抑え、血管を拡げる。副作用は顔のほてり、頭痛、足のむくみなど。
アルファ遮断薬:交感神経のアルファ受容体を抑えて血管を拡げる。作用は、めまい、たちくらみなど。
ACE阻害薬:アンジオテンシン(血圧を上げるホルモン)の生成を抑える。副作用は空咳など。
アンジオテンシン受容体拮抗薬:アンジオテンシンが血管の受容体に結びつくのを防ぐ。副作用はめまいなど。

戻る

第2回【高脂血症のクスリ】

だるさや筋肉痛は副作用のサイン。

 日本に2千万人以上いるとされる高脂血症は、血液中のコレステロールとトリグリセライド(中性脂肪)が異常に多い状態のこと。どちらも生きていくのに必要な成分ですが、増えすぎると体のバランスが崩れ、動脈硬化等を進行する原因になります。薬物療法は、食事療法では効果が認められないときに行うもので、冠動脈疾患の予防および再発予防に有効です。とくにスタチン系は、高脂血症のほか心血管系イベントに対する効果も報告されています。高脂血症の薬の特徴的な副作用に横紋筋融解症があり、だるい、筋肉痛、尿が赤いなどの症状があれば主治医や薬剤師に相談を。主な薬は4種類ですが、まもなく作用のまったく異なる治療薬が登場する予定です。

<主な治療薬>
1)スタチン系 (HMG-CoA還元酵素阻害剤)
肝臓でコレステロール合成に必要な酵素の働きを妨げる。血中のコレステロールを低下させる効果が最も高く、多く使われている。一日一回夕食後に服用すると効果的。
2)陰イオン交換樹脂
小腸でコレステロールの原料となる胆汁酸と結合して排泄を促す。コレステロールの消費を活発にし、総コレステロールを減らす効果も。
3)プロブコール
抗酸化作用によって悪玉コレステロールの蓄積を防ぐ。中程度の悪玉コレステロールの低下作用をもつ一方、善玉コレステロールも強力に低下させてしまうのが難点。
4)フィブラート系
中性脂肪を強力に下げるほか、総コレステロールを下げる作用もある。

戻る

第3回【糖尿病のクスリ】

服用時は低血糖に要注意!

糖尿病の治療の基本は、食事療法と運動療法。これらを十分に行っても、血糖コントロールがうまくいかないときに薬物療法を行います。糖尿病薬では低血糖に要注意。 血糖値が下がり過ぎるとボーッとしてだるくなり、動悸、冷や汗などが現れます。ひどくなるとけいれんを起こしたり意識を失うことも。万が一のため、糖尿病薬を服用していることを書いたカードを身につけるとよいでしょう。低血糖を起こしたら、 すぐ砂糖(10~20g)またはブドウ糖(5~10g)を飲むこと。ブドウ糖を含む清涼飲料水(150~200ml)でもOK。ダイエット系ドリンクは効果がなく、アメでは吸収が遅れます。α-グルコシダーゼ阻害剤を服用している方は砂糖ではなくブドウ糖を飲んでください。

■膵臓に働く主な薬
1. スルホニル尿素剤(SU剤)
膵臓を刺激し、膵臓からのインスリンの分泌を促して血糖を下げます。
2. 速効型インスリン分泌促進剤
作用はSU剤と同じですが、食後すぐのインスリンの分泌を促し、血糖の上昇を抑えます。必ず食直前(10分以内)に服用を。
■膵臓以外で働く主な薬
1. α-グルコシダーゼ阻害剤(α-GI剤)
ブドウ糖の消化・吸収を遅らせ、食後の急激な血糖上昇を抑えます。飲み始めに腹部膨満感や放屁の増加を認めることがありますが、多くは2週間程度で消失します。食直前の服用を。
2. インスリン抵抗性改善剤
筋肉、脂肪組織や肝臓でのインスリンの働きをスムーズにします。むくみに注意。
3. ビグアナイド剤
肝臓で糖が作られるのを抑え、筋肉や脂肪組織でのブドウ糖の利用を高め、血糖を下げます。

戻る

第4回【不眠症のクスリ】

10人に1人が不眠症

 不眠症とは「寝つきがわるい」「夜中に何回も目が覚める」「いくら寝ても寝た気がしない」といった症状が一ヶ月以上続き、生活に支障が出るほどの状態のこと。厚生労働省の調査によれば10人に1人が不眠症を患っており、若い頃はどれだけでも眠れたのに、中年以降に眠れなくなる人も多いようです。
 病院で処方される睡眠薬は、脳に作用して眠りを誘います。種類としては作用の長いものから短いものがあり、不眠症のタイプで使い分けます。睡眠薬というと昔は「癖になる」「服用するとボケる」など悪いイメージがありました。それは服用すると体内に蓄積されやすく、使い続けるうちに効き目がなくなる種類だったためです。しかし最近の睡眠薬の多くはベンゾジアピゼン系というもので、医師の指示に従えば安全で癖になりにくいので安心してください。

睡眠薬の注意点
 必ず寝る準備を調えてから服用しましょう。どの睡眠薬も内服後30分~1時間程度で効き始めます。夜中に目が覚めた時、足元がふらつく恐れがあるので注意してください。睡眠薬は急にやめると逆に不眠が続くことがあり、医師の指示に従って徐々に減らしていくことが大切です。ナイトキャップなどといって睡眠薬代わりに寝酒を飲む人がいますが、一時的に寝つきをよくするだけで、睡眠が浅くなるうえ、眠りが分断されて目も覚めやすくなります。また睡眠薬とお酒を一緒に飲むと、前向性健忘という副作用が起きることもあるので、寝酒はやめましょう。

戻る

第5回【血液をさらさらにするクスリ】

ワルファリン(抗凝固剤)はビタミンKで効き目が弱まる

 今回は、血液サラサラに関する薬のお話です。脳梗塞や心筋梗塞などの予防に使用される薬に「ワルファリン(抗凝固剤)」があります。これは血を固まりにくくし、血栓ができるのを抑えるというもの。薬の構造がビタミンKと似ているため、肝臓でビタミンKが関与して血液の凝固因子をつくる過程に作用して、血液を固まりにくくするのが特徴です。ワルファリンは、他の薬と一緒に飲むと効き目が強くなったり、逆に弱くなってしまうことがあるので気をつけましょう。また、薬だけでなく、ビタミンKによっても効き目が弱くなるので、食べ物との飲み合わせにも注意が必要です。その代表的なものが、納豆、そしてクロレラ食品や青汁といったビタミンKを多く含む食品です。いずれも健康食品として人気の高いものですが、ワルファリンを服用中の患者さんは避けるべきででしょう。
 一方、抗血小板薬といわれるグループの薬は、同じように血液を固まりにくくしますが、納豆、クロレラ食品・青汁との飲み合わせはありませんのでご安心ください。

ワルファリン服用中に注意したい「飲み合わせ」
×納豆
 納豆菌は腸の中でビタミンKの合成を促進するため、納豆を食べるとワルファリンの効き目が悪くなり、72時間たっても回復しないとされます。たとえ、わずか20gの納豆でも影響が出るともいわれているので、食べないようにしましょう。ただし同じ大豆食品でも、豆腐や煮豆には納豆菌が含まれていないので大丈夫です。

×クロレラ・青汁(ビタミンKを多く含む食品)
 ビタミンKは緑黄色野菜に多く含まれ、特にサプリメントで人気の高いクロレラ食品や青汁はビタミンKの含量が多く、摂取を控えることが望ましいでしょう。また毎日、緑黄色野菜や海草類を大量に摂取するのも避けましょう。目安としては緑黄色野菜1日250gを1週間連続して摂取するとワルファリンの効果が減弱するといわれています。これをビタミンKに換算すると、1日250μg-500μgが上限とされています。もちろん普段の付け合わせ程度であればまったく問題ありませんので、バランスのよい食生活を続けることを心がけましょう。

戻る

第6回【皮膚に塗るクスリ】

ステロイド外用剤の誤解をとく

タイプや種類で異なる吸収率
 体内で作られる「副腎皮質ホルモン」という物質を合成した塗り薬で、皮膚の表皮から浸透して炎症部に働きます。ステロイド外用剤は強さによって5段階に分類されます。

  【I群(弱い)】を1~5レベルとすると、
  【II群(中くらい)】は10、
  【III群(強い)】は50、
  【IV群(たいへん強い)】は100、
  【V群(もっとも強い)】は200になります。

I群とIV群では200倍の開きがあり、タイプによって強さが大きく異なることを理解しましょう。

 ステロイド外用剤には、同じ製品でも軟膏・クリーム・スプレー・液体・ジェルと 様々な種類があります。  一般的に、軟膏よりクリームが塗りやすくベトツキがありません。頭皮に使用する場合は液体やジェルが使いやすいでしょう。 軟膏よりクリーム、クリームよりスプレー・液体・ジェルの吸収率は高いため、作用が強く出る傾向にあります。また使用する部位によっても吸収率は大きく異なります。

■吸収率の比較(腕を1.0とする)
 足のうら(0.14)、足くび(0.42)、手のひら(0.83)、腕(1.0)、背中(1.7)、
 頭皮(3.5)、わきの下(3.6)、くび(6.0)、ほお(13.0)、陰部(42.0)

 手や足の裏など皮膚の厚い部分には強めのタイプ、まぶた、陰部など皮膚の薄いところは弱いタイプを選択するといいでしょう。ほおの吸収率は腕の13倍のため、 腕と同じものを塗ると作用が強く、副作用が出やすくなります。また陰部は腕の42倍の吸収率なので、医師の指導を受けて使用しましょう。 乳児は皮膚表面の防衛機能が未熟なため吸収率が高く、特に注意が必要です。

ステロイドの副作用とは?
 これまでステロイドは注射や飲み薬による強い副作用で「恐い薬」という印象を与えることがありました。しかし近年は、ステロイドに対する使用方法などが確立し、 使い方と選び方を間違えなければ、比較的安全に使うことができます。ただし作用の強いステロイド外用剤を広範囲に長期間使用すると、次のような副作用が起きる場合があります。

皮膚が委縮して薄くなる
皮膚の赤みが増す
皮膚の感染症(たむし、おできなど)にかかりやすくなる
紫斑(皮膚の内出血)ができやすくなる

 全身的に現われる副作用は、大量長期投与が問題です。最も強い群に属する外用剤を1日10g以上使用した場合、 副腎機能に抑制がかかり、全身的な副作用が生じるといわれます。いずれにしても医師の指導をきちんと受けることが、ステロイド外用剤の鉄則です。
戻る

第7回【痛風のクスリ】

予防が大事!「痛風の薬」

 痛風は、2000年以上前から知られている古い疾患のひとつで、 栄養豊富な食べ物をとっていた人が多く罹患したため、「帝王病」と呼ばれていた時代もありました 1)。 1960年以降、患者数は年々増加し現在では約60万人の痛風患者がいると推定されています。 女性ホルモンが尿酸排泄を促進する関係から,高尿酸血症と痛風は男性に圧倒的に多く、99%が男性といいます。
1) Johns Hopkins Arthritis article on Gout http://www.hopkins-arthritis.som.jhmi.edu/other/gout.pdf

 健常者の生体内には、通常1200mgの尿酸が貯蔵されています。1日700mg産生し、 このうちの約500mgが尿中に排泄され、約200mgが消化液、汗などに排泄されます。 痛風発作は血液中の尿酸濃度の高い状態である高尿酸血症が持続した結果、 関節液中に尿酸塩を析出することで関節炎がおきるものです。 通常、足の関節、特に足の親指のつけ根の関節に多く発症します。 高尿酸血症の状態を放置すると、痛風発作の慢性化だけでなく、腎臓に尿酸塩が沈着し、 腎機能が低下するおそれがあります。 そのためには、生活習慣の改善と必要によって薬物療法を行います。

A. 生活習慣の改善
 食事療法が中心で摂取カロリーの制限やプリン体の摂取制限が基本ですが、 食事療法を長続きさせるためには、蛋白質を多く含む食品の過剰摂取や 肉汁や内臓肉の摂取を控えたり、アルコール類の過剰摂取を控えたりすることがコツです。 日本酒では1日1合まで、ビールでは1日500mlまで、ウィスキーは1日1杯が目安です。 また、アルカリ性食品 (海藻類・野菜) や1日2000ml以上の飲水をしっかり心がけることが重要です。



2) 財団法人 痛風研究会 http://www.tufu.or.jp/

B. 痛風発作・高尿酸血漿の治療
1. 痛風発作に対する治療
1) コルヒチン
 痛風発作の前兆期に少量予防的に使用します。 副作用として腹痛や下痢などがあります。

2) 非ステロイド抗炎症薬 (NSAIDs)
 発作極期の痛み止めとして使用します。 この痛み止めが無効の場合や使用できない場合にはステロイドを使用することがあります。 痛風発作時に血清尿酸値が変動すると発作が増悪するため、発作中は尿酸降下薬を使用しません。

2. 高尿酸血症に対する治療
 血清尿酸値が、7mg/dLを越えて、痛風発作や痛風結節がある場合には 薬物療法を開始します。一方、無症状の場合は9mg/dL以上、腎障害や尿路結石、 高血圧のある場合は、8mg/dL以上で薬物療法を開始します。 血清尿酸値は6mg/dL以下を目標にします。尿酸降下薬は尿酸生成抑制薬と 尿酸排泄促進薬があります。
1) 尿酸生成抑制薬 (アロプリノール(アロシトール、ザイロリックなど))
体内で尿酸が過剰に生成されている場合に使用します。腎機能によって投与量の調節が必要になります。 副作用に味覚異常があります。カフェインを含む食品 (コーヒー、紅茶、チョコレートなど)との飲み合わせがあり、カフェインの血中濃度が上昇し、頭痛・動悸などが出現することがあります。

2) 尿酸排泄促進薬 (ベンズブロマロン (ユリノームなど)、プロベネシド (ベネシッドなど))
体内からの尿酸の排泄が低下している場合に使用します。 腎結石がある人や高度の腎障害の人には使用できません。 副作用をチェックするため肝機能や血液検査をしながら使用します。 ベンズブロマロンでは光線過敏症という副作用があり、 野外での作業が多い人は注意が必要です。

3) 尿アルカリ化剤 (重曹、ウラリットU、ウラリット錠)
尿酸排泄促進薬を使用する場合は、尿をアルカリ側 (pH: 6.0-7.0) に維持して尿路結石を予防します。 ウラリットU (散剤) では塩味 (人によっては酸味) が強く飲みにくい場合には、水に溶解して服用してもかまいません。

 尿酸発作や高尿酸血症に使用する薬は、脳梗塞や心筋梗塞の予防薬として使用するワルファリンの作用を強めることがあるので注意が必要になります。

戻る

第8回【帯状疱疹のクスリ】

発症初期に飲めば、一週間ほどで治癒

■隠れていたウイルスが復活
 「帯状疱疹」は身近な病気で、つづらご、はくじゃ、おびくさ、胴まきなど、日本各地でさまざまな呼び方があります。
 原因は、水ぼうそうを起こすものと同じ水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスです。水ぼうそうは多くの人が子供の頃にかかり、  1週間程度で治ります。しかしウイルスが消滅したわけではなく、体の神経節(神経の細胞が集まった部分)に潜伏しているのです。  そして、過労やケガ、大きなストレス、病気、手術、免疫抑制薬の使用や高齢化などにより、免疫力が低下するとウイルスが復活します。  活動を再開したウイルスは、皮膚に帯状の水ぶくれを作ります。これが「帯状疱疹」です。

■放置すると後遺症の心配も
前兆として、1週間ほど前から違和感やぴりぴりした痛みを感じることがあります。 水ぶくれは左右どちらかの半身だけに出ることが特徴です。 放置すると神経痛などの後遺症に悩まされることがあるため、早期治療が必要です。適切な治療をすれば、 1週間ほどで水ぶくれはかさぶたになり治癒します。

■治療は飲み薬が基本
治療の基本は抗ウイルス薬の服用。軽症の場合は外用薬のみで、症状が重いときは点滴薬を使用します。
・ 抗ウイルス薬
【ゾビラックス(アシクロビル)、バルトレックス(バラシクロビル)】
 ウイルスの遺伝子DNAに作用します。ゾビラックスは1日5回、 バルトレックスは1日3回に分けて飲みます。発症初期(皮疹出現から72時間以内) に使用するのが早く治すコツ。効果が現れるのは1~2日後からで、2~3日で服用を止めると、 治りが遅くなったり悪化したりする場合があるため、最低でも5~7日間は飲み続けましょう。 副作用は少ないほうですが、下痢や吐き気などの胃腸症状、頭痛、めまいなどがあります。 特に、腎臓の悪い人やお年寄りは量を減らす必要があります。

【アラセナA(ビダラビン)軟膏】
 抗ウイルス薬を含む軟膏で、初期の使用が効果的です。

・ その他の飲み薬
 帯状疱疹の痛みには、痛み止めの薬で対処します。帯状疱疹後の神経痛には、メキシチールやテグレトール、または抗うつ薬のトリプタノールを用いることがあります。ビタミンB12のメチコバールは、末梢神経の働きを改善する作用があるとされます。

戻る

第9回【更年期障害のクスリ】

貼り薬でエストロゲンを補充

<エストロゲンの減少が原因>
女性の更年期に正確な定義はありません。通常は、閉経前後の40~60歳を指すことが多いようです。この期間は、卵巣の機能低下によって女性ホルモンのエストロゲンが急激に減少するため、身体や心にさまざまな症状が現れることがあります。周りの人の理解を得ながら、この時期を上手に乗り切りましょう。

<更年期障害の症状>
クスリは症状に合わせて
更年期障害の症状はさまざまで、顔のほてり、のぼせ、異常発汗、動悸、めまいなどが代表的です。このほか、憂うつ、不眠、頭重感、腰や手足の痛み、肩こり、疲労感などが現れることもあります。

<主な治療薬>
日常生活に支障をきたすような場合には、以下のような薬物療法が有効です。

1 ホルモン補充療法
更年期障害の原因がエストロゲンの減少であるため、エストロゲンの補充が有効です。今までは飲み薬が一般的でしたが、最近は貼り薬も使用できるようになり、血栓などの副作用の心配が軽減しました。貼り薬は皮膚から直接血中に吸収するため、胃腸や肝臓への負担も抑えられます。

2 抗不安薬、抗うつ薬、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
憂うつや頭重感などの症状が強い場合に使用します。飲み始めに吐き気などの副作用が目立ちますが、効果が得られるまでに2週間程度必要とするため、根気よく飲みましょう。

3 漢方薬
体質により使い分けます。効果が得られるまでに最低1ヵ月は必要とします。桂枝茯苓丸、加味逍遥散、当帰芍薬散などがよく使用されます。

4 睡眠導入薬
寝つけない、熟睡感が得られない、眠れないといった睡眠障害のタイプにより睡眠導入薬を使い分けます。

5 食生活やストレス解消
大豆製品にはエストロゲンと似た分子構造をもつイソフラボンという植物性エストロゲンが含まれています。食事にバランスよく取り入れましょう。
また、ストレスが加わると症状をより強く感じることがあります。自分なりのストレス解消法を見つけてリラックスを心がけましょう。

戻る

ホームへ戻ります ページのトップへ戻ります

人気ホームページランキング

ホームへ戻ります ページのトップへ戻ります


Copyright 2003-9 kenkosozojuku Japan, Inc. All rights reserved.