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羊水過少症

妊婦の羊膜中にある羊水の量が極端に少なくなった状態

羊水過少症とは、胎児を包んで保護する羊膜の中にある羊水の量が極端に少なくなった状態。明確な定義ではありませんが、一般に羊水の量が100ミリリットルを下回ることが、目安となります。

羊水は妊娠中、胎児がその中で自由に運動し、伸び伸びと発育することを助ける働きがあります。また一方、胎児が活発に動き回っても、直接母体に強く響くのを防ぎ、外からの刺激から胎児を守る役目も果たしています。

出産の際には、子宮筋の収縮による強い圧迫が直接、胎児に加わることを防ぐとともに、破水した後は胎児が通る道、つまり子宮頸管(けいかん)から膣(ちつ)などの軟産道を潤して滑らかにし、胎児を通りやすくします。

このように胎児にとっても母体にとっても重要な働きをしている羊水の量は通常、胎児が嚥下(えんげ)する量と排尿する量とのバランスで決まります。従って、胎児の排尿量が減少すれば、羊水量は減少することになります。

胎児の排尿量の減少する原因としては、先天異常による腎臓の無形成や尿路閉鎖などの胎児尿産生障害による場合と、それ以外の胎児尿産生量の低下による場合、すなわち胎児発育不全や、胎盤機能不全による胎児低酸素症、過期妊娠(出産予定日から2週間以上を過ぎてもお産にならない状態)、妊娠高血圧症候群、薬剤の使用、感染などの場合があります。また、破水により羊水が子宮外に漏出している場合も、羊水過少症の原因となります。

一卵性双胎児などの多胎妊娠で双胎間輸血症候群を伴う場合には、一児が羊水過多症、もう一児が羊水過少症を呈します。双胎間輸血症候群は、一卵性双胎児が胎盤を共有した状態の時に、共通胎盤上の吻合(ふんごう)血管を通して引き起こされる血流移動のアンバランスによって、両児の循環不全を生じる病態を指します。

羊水過少症は、胎児の発育や健康状態の悪化と関連があり、さらに長期間の羊水過少が続くと、胎児の運動が制限されるために、四肢の圧迫による変形、肺低形成、臍帯(さいたい)の圧迫による胎児仮死なども合併しやすくなります。肺低形成は、肺が小さいため出生直後から呼吸ができないという、新生児における最重症の呼吸障害です。

羊水過少症の検査と診断と治療

産科、産婦人科の医師による診断は通常、分娩(ぶんべん)の前に超音波断層法を用いて行われます。超音波検査により、羊水ポケット(子宮内壁と胎児の間で最も遠い距離)が2センチメートル未満である時、または羊水インデックス(妊婦の腹部を4つの部分に分けて、各部分で最も羊水量が多いところの合計値:AFI〔amniotic fluid index〕)が5センチメートル未満の時に羊水過少症とされます。

羊水過少症の原因となる先天異常がないかについても、超音波で検索します。羊水量が少ないと超音波検査で胎児を観察することが困難になるため、羊水の代用液を子宮内に注入してから検査が行われることもあります。

妊娠後期に羊水過少症が認められる場合には、胎児の健康状態に問題がある可能性があるため、連続胎児心拍モニタリングなどにより胎児の状態を十分に検索し、分娩時期、分娩方法の決定がなされます。胎児発育不全、過期妊娠には羊水過少を伴うことが多く、胎児仮死や子宮内胎児死亡に至ることもあるために、緊急に帝王切開を行う頻度が高くなります。

妊娠のかなり早い時期から羊水過少症が認められる場合には、胎児の先天異常を伴っていることが多く、一般的には有効な治療法はなく、予後不良です。先天異常の種類によっては、胎児手術により救命されることもあります。

前期破水をした場合は、肺低形成の発生を予防するために、胎児の健康状態が悪化していなくても早期に分娩とすることもあります。また、人工羊水の補充療法により肺低形成を予防しようという試みも行われており、生理的食塩水あるいは乳酸リンゲル液を子宮内に注入しますが、必ずしも有効とは限りません。

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