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疣贅(いぼ)

ウイルスの感染や老化現象によって、皮膚にできる出来物

疣贅(ゆうぜい)とは、ヒトパピローマウイルスウイルスの感染や皮膚の一種の老化現象によって、皮膚にできる出来物。普通、いぼと呼ばれます。

ヒトパピローマウイルスの感染によって起こるものは一般的にウイルス性疣贅と呼ばれ、尋常性疣贅、青年性偏平疣贅、水いぼ(伝染性軟属腫〔しゅ〕)があります。ほかに、ウイルス性ではない老人性疣贅があります。

◆尋常性疣贅

普通、いぼといわれるものの多くは、この疣贅です。手足や顔によくみられ、皮膚面から盛り上がって、表面がザラザラしています。他人には簡単に移りませんが、自分の皮膚では移っていきやすいものです。いじっているうちに、数が増えてきます。

また、足の裏にできると、魚の目と間違いやすい状態になりますが、疣贅は押しても痛みはないので区別ができます。

◆青年性偏平疣贅

思春期前後の男女の顔や手の甲によくみられる疣贅で、皮膚面からほんのわずかに盛り上がり、表面は平らで褐色調をしています。この疣贅も、かくことによって自分の皮膚に移っていき、線上に並ぶこともあります。

◆老人性疣贅

ウイルス性ではなく、皮膚の一種の老化現象として現れます。褐色、または黒色の軟らかい疣贅で、表面に脂性の光沢がみられます。

◆水いぼ

幼児に多いウイルス性の疣贅で、半球状に盛り上がり、中央にへそのようなくぼみがあります。でき初めは水っぽく見えるので、水いぼという名前があります。

自分の皮膚に移って広がるだけでなく、温水プールなどで他人にも移りやすい疾患です。

疣贅(いぼ)の検査と診断と治療

青年性偏平疣贅と老人性疣贅は、治療を必要としませんが、よく似たものでがんに発展するようないぼ状の疾患もあるので、皮膚科などの専門医に診てもらいます。水いぼ(伝染性軟属腫)は、長い間には自然に治ることもあります。治療は家庭で簡単にでき、ピンセットで水いぼをつぶし、その後消毒するだけですから、早めに治しておくとよいでしょう。

尋常性疣贅の家庭での治療としては、スピール膏(こう)を使用します。スピール膏を健康な皮膚にはみ出さないよう、疣贅の形に切って皮膚に張り、上から絆創膏(ばんそうこう)で固定します。2~3日たってから、白くふやけた個所をナイフかはさみで削り取ります。

皮膚科の医師による治療としては、液体窒素による凍結療法、電気焼灼(しょうしゃく)などがあり、疣贅の数や発生部位に応じて行います。ほかにも、はと麦の種を成分とする漢方薬ヨクイニンの内服が効果があるとされていますが、個人差が大きいと見なされています。

凍結療法は、液体窒素で患部の凍結、融解を繰り返す方法です。疣贅の部分を超低温で瞬間的に凍結させ、部分的にやけどの状態を起こすことで、皮膚内部の疣贅の芯(しん)を表面に押し上げ、徐々に縮小させます。処置そのものにかなりの痛みを伴うほか、場合によっては水膨れが発生し、処置後も患部に激痛が伴うこともあります。 また、場合によっては水膨れ内部に出血が発生し、黒く変色することもありますが、この状態になると激痛こそあるものの、治りは早くなります。

通常、凍結療法は4~7日が効果のピークであるために、定期的に通院しなければならず、効果に個人差こそありますが、およそ数週から2カ月以上と長い日数が必要とされます。

電気焼灼は、レーザーメスや電気メスで疣贅を焼く方法です。液体窒素による凍結療法と違って一度で治るものの、麻酔が必須です。凍結療法などと異なり、保険適応外でもあります。

なお、通常、疣贅は痛みを伴わないので、特に何の治療もしていない疣贅が痛み出す時は、細菌感染などが疑われます。疣贅が広範囲に急速に広がる時は、免疫力が低下する基礎疾患がある可能性があります。

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