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ボーダーライン

対人関係や情緒の不安定、衝動性に特徴を持つ人格障害

ボーダーラインとは、思春期または成人期に生じる人格障害。境界性人格障害、境界型人格障害、境界性パーソナリティー障害、境界例などと呼称されることもあります。

もともとは精神分析治療の場から生まれてきた概念で、当初は神経症と精神病の中間領域にある病態を指していましたが、次第に概念が明確になり、1980年代に入ってから一般的な診断の対象として普及してきた障害です。

疫学調査では人口の1~2パーセント程度にボーダーラインが存在するといわれ、最近は増加傾向にあります。ほかの人格障害と比べても発症者が多く、決して珍しい障害ではありません。男性よりも女性に多く、年齢は20~30歳代がピークになります。これには、女性ホルモンの影響による気分変動の起こりやすさが関係していると考えられています。なお、年齢を重ねると、状態は落ち着いていく傾向が認められます。

原因としては、遺伝的要因と環境的要因の相互作用により現れてくると推定されています。遺伝的要因には先天的な脳の脆弱(ぜいじゃく)性、環境的な要因には幼少期の身体的虐待、性的虐待、過干渉、機能不全家庭などの経験があります。

ボーダーラインの人の特徴として、慢性的抑うつ感、空虚感、情緒不安定性、対人関係の不安定さ、衝動性などが挙げられ、現れる症状はさまざまです。一定の感情を保持することが難しいため、元気でいたかと思うと急に落ち込みます。怒りに対する耐性が低いこともあって、対人関係は非常に不安定で、衝動に駆られて激しい怒りを身近な人にぶつけたり、ほめていた相手を急にこき下ろしたりします。

また、愛する人や大事な人に見捨てられるという不安を絶えず抱えていて、 不安感を解決させるために、自我の内部で自己の評価を上げることもあります。対人関係の不安定さを回避しようと、引きこもりのような状態になることもあります。窃盗や万引き、過度の買い物などで、不安感を消そうとする行動に出る場合もあります。手首を切る、大量服薬するなどの自殺企図も、多々みられます。

アメリカ精神医学会による診断基準DSM−IV(「精神障害のための診断と統計のマニュアル」第4版)の診断基準では、ボーダーラインは以下9項目のうち5つ以上を満たすこととなっています。

1、見捨てられ不安。2、理想化とこき下ろしに特徴付けられる不安定な対人関係。3、不安定な自己像または自己感にみられる同一性の障害。4、自己を傷付ける可能性のある衝動性。5、自殺企図。6、感情不安定。7、慢性的な空虚感。8、怒りの制御の困難。9、一過性の妄想様観念または解離性症状。

ボーダーラインの検査と診断と治療

ボーダーライン(境界性人格障害)の症状が自分に該当する場合は、早めに信頼できる治療者を見付け、治療を継続していくことが大切となります。まずは、治りたいという気持ちを持つことが必要で、自分自身が変わりたいと思わないと治療はうまくいきません。周囲の人が無理やり受診させても治療がうまくいかないことが多く、通院も続きません。

医師による診断では、発症者の状態、成長過程での変化などをみていきます。家族に立ち会ってもらったり、心理テストを行ったりすることもあります。また、発症者自身が障害とその治療について勉強することも大切です。医師や薬への依存だけでは根本的に回復しないということを理解し、しっかりと治療への動機付けを行う、治療目標を設定する、最低限のルールを決めるといったことが必要になります。対人関係の面で医療スタッフと衝突することもあり、あらかじめルールを決めることで、できないことをはっきりさせ、発症者の欲求のままの行動や治療の混乱を防ぎます。不適切な行動がみられた場合は、やむなく治療の中断や入院治療へ切り替わることなどがあります。

ボーダーラインの治療には数年、あるいはそれ以上の長期間を必要としますが、今日では外来通院や、デイケアなどの中間施設の利用、および短期の入院が治療の主流で、長期の入院治療は重篤な症例を除き行われなくなってきています。一般に、30歳を過ぎると社会適応は改善する場合が少なくなく、この年齢まで自殺を予防し、生存を確保することが、治療上重要とされます。

ボーダーラインの実際の治療では、精神分析的精神療法、認知行動療法などの精神療法を主体とし、薬物療法が併用されます。不眠や不安、急激な怒りなどを薬によってある程度抑えることはできますが、向精神病薬はあまり効きません。あくまでも、精神療法が治療の柱となります。

精神療法では、心の内面を探り、問題の在りかと解決策を探ります。自分の気持ちをコントロールし、もっと楽に人間関係を築けるようにすることが目的です。まずは、治療の具体的な目標を定めます。ここでは、学校に行く、仕事に就くといった具体的な行動を定めることが大切です。

そして、なぜ問題行動が起こるのか、問題行動によって不安や恐怖から逃れることができたのかどうか、を本人に考えてもらいます。その時の気持ちを自分の言葉で表すことで結果を振り返り、問題行動が何も解決しないということを認識します。また、よい自分、悪い自分、大人の自分、幼い自分など、どんな自分も本人の大切な一部であると考えられるようにします。そのことで、ほどほどの感覚が身に着き、自分を受け入れられるようになります。

病院での精神療法は、週1回程度、1回につき30分~1時間程度かけるのが一般的です。精神分析的精神療法は性格の育て直しや自己洞察のために、行動療法やリミット・セッティングは行動を変えていくために、認知療法は物の考え方を変えるために、グループ精神療法は人間関係の改善のために行われ、人によっては大変有効ながら、有効でない人も少なくありません。最近では、認知行動療法を修正した弁証法的行動療法(DBT)が、自殺や衝動行為の制御に有効性が高いという報告もあります。

うつ、感情のコントロールの悪さ、気分の変動、不安、衝動の強さ、不眠といった症状を和らげるために、対症的に薬物療法が用いられることは少なくありません。実際、9割以上の人は、薬による治療を受けているといわれています。薬の種類や量は、発症者の状態によって異なります。薬には副作用がありますので、必ず医師の指示どおりに服用します。

抗精神病薬は、 焦燥感や怒りの感情を静める効果があり、衝動性を抑えるのに役立ちます。代表的なものにリスペリドン、オランザピン、クエチアピン、ペロスピロンなどがあります。SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)は、シナプス内のセロトニン濃度を選択的に上げる薬で、うつがある時に使用されます。代表的なものにフルボキサミン、パロキセチン、セルトラリンなどがあります。抗けいれん薬も、衝動性の抑制のためにしばしば使用されます。

生活の仕切り直しを目的に、短期の入院治療も行われます。自傷行為や自殺企図などの問題行動が激しい時、うつなどがひどくて治療に通えない時、暴力などで家族の負担が重い時、発症者自身に休息が必要な時などに入院治療が適応になります。病院に押し込めるというイメージがありますが、発症者だけでなく家族にとっても入院が望ましいこともあるので、肯定的に捕らえるようにします。入院生活では、定期的に医師の診察を受け、薬の調整などを行って生活します。状態がよくなれば、医師や本人、家族と相談して退院を考えます。退院後のことも、入院中にしっかりと話しておきます。

家族が積極的に治療に関わることで、治療の結果も異なります。発症者と家族が一緒に面接を受ける、発症者と家族がそれぞれ面接を受ける、数家族が集まって行うグループミーティングに参加するなど、家族が治療に関わることでよい結果が生まれやすくなります。家族も現状を理解し、対応を見直すことで、発症者と程よい距離を保ち、発症者本人にとって良い環境を作ってあげることが大切です。

発症者が社会復帰を図るためには、病院やクリニックなどで行われるデイケアなどの社会療法も、有効な手段と考えられています。発症者が対人関係でトラブルを抱えるのは、適切な社会的行動が取れていないからです。発症者が集い、一緒にさまざまな活動をすることによって、実社会に戻る練習ができます。ある程度落ち着いてきたら、デイケアの利用も考えられます。

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