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バロニキア

爪の周囲の皮膚が赤くはれる状態

バロニキアとは、爪(つめ)の周囲の皮膚が赤くはれ、うみが出ることもある状態。爪甲(そうこう)周囲炎、爪囲炎とも呼ばれています。

これには、化膿(かのう)性のバロニキアと、カンジダ性のバロニキアのほか、学齢期に発症しやすい稽留(けいりゅう)性肢端(したん)皮膚炎などがあります。

化膿性のバロニキアは、黄色ブドウ球菌、連鎖球菌などの化膿菌が入って急性の炎症を起こすものです。爪囲部のささくれ、小さな切り傷、足では爪切りの際の傷や爪が皮膚に食い込んでいるところなどから感染が起こり、爪囲が赤くはれ上がり、自発痛、圧痛が強くなります。

この化膿性のバロニキアは、ひょうそ、ひょうそうとも呼ばれます。ひょうそという疾患名は、指趾(しし)の化膿性炎症全体に付けられるもので、化膿性のバロニキアから、さらに炎症症状が真皮深層、脂肪織にまで拡大した指の蜂窩織(ほうかしき)炎、あるいは骨、関節部の化膿性炎症が真皮にまで波及した時にも付けられます。

従って、ひょうそという時には、指先全体が赤紫色に強くはれ、痛みが強い状況で、うみが出たり、皮膚が破れ、潰瘍(かいよう)になることもあります。

カンジダ性のバロニキアは、水仕事の機会の多い中年女性や糖尿病などの人に起こりやすいものです。主に、爪の周囲が赤くはれ上がり、押すと圧痛があり、爪と皮膚の間から、うみが出ることがあります。非常に治りにくく、次第に爪も黄白色に濁り、厚くなってきます。これはカンジダ菌という真菌、いわゆるカビの一種が爪と皮膚の間で増殖し、爪にも入っているからです。この疾患は、指間びらん症と合併することもあります。

稽留性肢端皮膚炎は、極めてまれに起こるものです。四肢の末端に紅斑(こうはん)や小さな膿疱(のうほう)を突然生じ、徐々に爪にまで炎症が拡大して、爪が変形してしまいます。文字通り、皮膚炎が肢端(四肢末端)に稽留して(とどまって)しまうという訳です。

現在では、膿疱性乾癬(かんせん)の一種と考えられるようになってきました。原因については不明な点が多く、必ず生じる爪の変形についても、そのメカニズムは現在のところ不明なままです。

バロニキアの検査と診断と治療

バロニキア(爪甲周囲炎)の検査では、細菌培養を必ず行います。慢性に経過し症状の軽い場合は、カンジダ性のバロニキアなどを疑ってカビの検査も行います。

治療としては、軽い化膿性のバロニキアの場合は、抗生物質含有軟こうの塗布で十分です。治りが悪い場合には、抗生物質の内服と、局所の安静が必要となります。 カンジダ性のバロニキアの場合は、抗真菌剤を使用します。

また、化膿が強い場合は、切開排膿が必要となります。糖尿病性のものは、血糖コントロールの悪い時にできやすいので、食事や生活の改善が必要です。

予防法としては、バロニキアは水仕事の機会の多い女性や調理人などがかかりやすく、特にささくれ、小さい傷がある時に菌が入りやすくなりますので、指先に小さい傷がある時には、まめに消毒を行い、水などに指先をつける時には、手袋をして直接、触らないように注意する必要があります。

稽留性肢端皮膚炎の診断を確定するためには、皮膚生検を行う場合もあります。ただし、爪のみに症状が現れる爪乾癬との鑑別が難しいといわれています。

治療には、強めのステロイド外用剤を使用することが多いのですが、十分な効果が得られない場合もあります。ほかには、ビタミンA誘導体であるエトレチナートの内服や免疫抑制剤の内服、紫外線療法などが試みられています。生命に影響を及ぼすことはありませんが、再発を繰り返しやすく、非常に治りにくい疾患です。

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