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ヘルペス性歯肉口内炎
単純へルペス1型ウイルスの感染で、乳幼児に起きる口内炎
ヘルペス性歯肉口内炎とは、単純ヘルペス1型が初めて感染することで、口の中に炎症が起きるウイルス性口内炎の一種。へルペス性口内炎とも呼ばれます。
生後6カ月以降から3歳までの乳幼児に多く発症し、口唇ヘルペスと呼ばれる潰瘍(かいよう)が数個から多数まとまって、口や唇、皮膚などに現れます。単純ヘルペスウイルスは、ウイルスを持つ人が洗顔や歯磨き後に使うタオルや、食器、唾液などに触れることで、感染が起こるとされています。ヘルペスウイルスを持っている母親が子供にキスをして、移してしまう場合もあります。飛沫(ひまつ)感染もあります。
単純ヘルペス1型ウイルスに初感染すると、普通は4~10日の潜伏期間をへて発症します。歯茎の炎症や口の中の強い痛み、かなりの高熱、頚部(けいぶ)リンパ節がはれるなどの症状が現れます。口の中に水疱(すいほう)ができ、それが破裂すると、潰瘍となります。歯を磨いた時に、歯茎から出血することもあります。
痛みは5~7日、発熱は2~5日、症状全体は7日〜14日続き、治癒します。
乳幼児がヘルペス性歯肉口内炎になると、口内炎ができる前に口の中がチクチクと痛むので、不快感を訴えて泣きますが、症状が見えないため、親は疾患に気が付かない場合もあります。口内炎になると口の中が痛いために、よだれが増え、食事や水分を受け付けずに、脱水症状になることもあるので、注意が必要です。
また、もともと慢性湿疹(しっしん)があって副腎(ふくじん)皮質ステロイド軟膏を塗っている乳幼児が、このヘルペス性歯肉口内炎にかかった場合、湿疹部にヘルペスウイルスが広がって、ヘルペス性湿疹に進行して重症化しますので、特に注意が必要です。
ヘルペス性歯肉口内炎は乳幼児に多い疾患ですが、成人になってから起こすこともあります。この場合、乳幼児の時に発症するよりも重症になるケースが多くみられます。
ヘルペス性歯肉口内炎の検査と診断と治療
乳幼児がヘルペス性歯肉口内炎(ヘルペス性口内炎)を起こした場合、適切な処置をすれば比較的早くよくなりますので、口腔外科や内科などで治療を受けます。
医師による治療は、単純ヘルペスウイルスを抑えるゾビラックスという抗ヘルペスウイルス剤を1日4回服用で、数日間続けます。発熱やのどの痛みといった症状を和らげるために、解熱鎮静剤や痛み止めの薬、ビタミン剤が使われることもあります。発熱は数日で落ち着きますが、口内炎など症状全体は治るまで1週間~10日ほどかかります。
家庭での食事に関しては、口内の痛みが強く、食べたがらないことが多いので、口当たりのよいプリンやゼリー、アイスクリーム、豆腐などを与えます。何回かに分けて、少量ずつ与えるのも一つの方法です。硬い食べ物、熱い食べ物、あるいは刺激のある味付けは、痛みを強めるので避けます。食後は、ぬるめのお湯やイソジンなどでうがいをし、口の中を清潔にします。
食事ができない時は、脱水症状を起こさないように十分に水分を与えます。牛乳、お茶、イオン飲料などがよいでしょう。食べなくても、水分をしっかりとれていれば大丈夫です。乳酸菌飲料やジュース類は痛みを増すことがあるので、与えないほうが無難です。
唾液などから移りますので、タオル、食器は別にします。入浴は熱がある場合でも、特に具合が悪そうでなければかまいません。
熱が下がって普通の生活ができるようになるまで、学校や幼稚園、保育所などは休み、外出も控えます。完全に治っていないと、他の子供に移してしまう可能性があります。
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