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塗り薬
患部の皮膚に直接塗る薬で、飲み薬より効き目が早く副作用が少ないのが特徴
塗り薬とは、患部の皮膚に塗る薬で、外用薬の一種。塗布剤とも呼ばれます。
皮膚の効かせたい部位に直接塗ることで、化膿(かのう)、湿疹(しっしん)、痛みなどの炎症を抑えます。皮膚の患部から吸収され、皮膚表面やその近くに効くので、内服薬の飲み薬より、効き目が早く副作用が少ないのが特徴。ただし、薬が体内に吸収されて全身に分布されるのは飲み薬と同じです。
一般に塗り薬といっても、軟膏(なんこう)、クリーム、ローション、ゲル、スプレーなどいろいろな種類があり、その使い方も皮膚病だけに限らず、痛み止めや心臓の病気に使うものまで出回っています。同じ成分の薬を含んでいても、皮膚の状態や使う部位によって、軟膏やクリームなど異なる種類の塗り薬を使い分けます。
この塗り薬には、皮膚の細胞の間を通って吸収される経路と、毛穴から吸収される経路があります。皮膚の厚みによって吸収の程度も違っており、手のひらや足の裏などは毛穴もありませんし、皮膚も厚いので、当然吸収が悪くなってきます。そのために、強めの薬が必要です。頬(ほお)などは皮膚も薄くて、吸収がよいので、塗り薬もそれに応じて選択します。
それぞれの塗り薬の特徴は、以下になります。
軟膏は、半固形の製剤で、構成は有効成分とワセリンなどの油脂性基剤に分かれ、基剤の中に分散して有効成分が存在する形になっています。油脂を基剤としているので皮膚を保護する効果が高くなっていますが、ベタベタして洗い流しにくいという欠点があります。しかし、スムーズに伸びて皮膚を保護する効果が高く、刺激が少ないという利点があります。主に、皮膚の状態が乾燥している時に使用します。
クリームは、皮膚に染み込みやすく、塗り心地もよくて水で洗い流しやすいという利点があります。軟膏にくらべて、刺激は強くなります。
ローションは、頭など、薬を塗りにくい有毛部に多く使われます。ゲルは、塗った部位が膜で被われるので、密封性がよくなって薬の有効成分が吸収されやすくなる。スプレーは、患部が広範囲なものに適しています。
塗り薬を使う時のポイントは、使用前には、入浴や部分浴で患部を清潔にし、よく手指を洗います。塗る量の目安は、患部がしっとりとなる程度で、患部が広い部位には手のひら、狭い部位には指、細かい部位には綿棒を使って塗ります。強くこするとかえって刺激を与えてしまい、悪化させてしまう可能性があります。
薬によっては使い方の説明書が付いている場合もあるので、よく読んでから使用するべきです。また、塗る量や回数などの使用方法は医師によく確認し、指示に従って正しく使うべきです。
内服薬の飲み薬と、外用薬の一種である塗り薬では、薬剤の吸収経路が異なるため、現れる副作用も異なります。一般的には、飲み薬は全身に作用し、塗り薬は局所に作用するものですので、塗り薬での副作用としては主に塗布部などに起こります。
同じ塗り薬を使っていても、塗る部位によって、副作用の起こりやすさは変わってきます。副作用が起きやすい部位としては、性器や、わきの下、顔などがあります。副作用の起きにくい部位としては、足の裏の皮膚などがあります。
代表的な副作用としては、ステロイド外用剤によるものが挙げられます。かなりの長期に渡ってステロイド外用剤を使用した場合には、まれに皮膚委縮が出やすく、静脈が透けて見えたりします。また、皮膚が全体的に薄くなってくるので、ちょっとした刺激ですぐに黒あざのようなものができてしまうステロイド紫斑(しはん)や、顔全体が赤くなるステロイド潮紅(酒さ様皮膚炎)も、成人によくみられます。
さまざまな植物や衣服、下着、金属、革製品などに触れるとかゆくなるなどの症状が現れる接触皮膚炎も、まれに起こることがあります。
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