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不活動、低栄養、疾患が原因で、筋肉量が減少し、筋力または身体能力が低下した状態
二次性サルコペニアとは、不活動、低栄養、疾患が原因で、筋肉量が減少し、筋力または身体能力が低下した状態。
筋肉量が減少し、筋力または身体能力が低下した状態がサルコペニア(筋肉減弱症)で、加齢に伴って生じ、加齢以外に明らかな原因がない場合を原発性(一次性)サルコペニア、加齢以外に原因があるものを二次性サルコペニアといいます。
二次性サルコペニアのうち、不活動に関連したサルコペニアは、寝たきり、不活発なスタイル、無重力状態などによって生じます。長期の安静で体を動かさないことにより二次的に起こる廃用症候群(生活不活発病)、筋肉を長い期間使わないことにより生ずる廃用性筋委縮によっても生じます。
低栄養に関連したサルコペニアは、吸収不良、消化管疾患、食欲不振を起こす薬剤の使用などに伴う、エネルギーと蛋白(たんぱく)質の摂取量不足によって生じます。心因性の反応によって食欲不振に陥る神経性食思不振症(神経性食欲不振症、拒食症)や、不適切な栄養管理による飢餓によっても生じます。
疾患に関連したサルコペニアは、手術、外傷、骨折、感染症、熱傷、がん、膠原(こうげん)病、慢性心不全、慢性腎(じん)不全、慢性呼吸不全、肝不全、神経筋疾患などよって生じます。
病院の入院患者では、複数の原因による二次性サルコペニアが多く認められ、3つの悪循環がサルコペニアを進行させると考えられています。
第1に、サルコペニアにより転倒や転落の機会が増加します。その結果骨折を来すと、体動が減少して制限され、サルコペニアが一段と進行します。第2に、体動が減少して制限されるため、摂食能力の低下、低栄養の進行、蛋白合成の障害を来し、サルコペニアはさらに進行します。第3に、アミノ酸プールの減少により、病気や外傷などで蛋白必要量が増加した場合の対応能が低下します。そのため病的状態からの回復が遅延し、サルコペニアはますます進行します。
二次性サルコペニアの検査と診断と治療
整形外科、リウマチ科、膠原病内科などの医師による診断では、筋力または身体能力の低下を調べるため、まず握力と歩行速度を測定します。基準値は、握力が男性26キログラム未満、女性18キログラム未満、歩行速度が秒速0・8メートル以下。どちらか一方でも該当すると、サルコペニアが疑われます。
握力の基準値は、両手で各3回測り、最高値をとります。歩行速度の秒速0・8メートルの目安は、青信号で横断歩道を渡りきれるかどうかです。
確定診断には、X線を用いる特殊な検査法であるDXA法(二重X線吸収法)で筋肉量を測定し、男性7・0(キログラム/平方メートル)、女性5・4(同)の基準値未満なら、サルコペニアとされます。
整形外科、リウマチ科、膠原病内科などの医師による治療では、二次性サルコペニアのうち、不活動に関連したサルコペニアの場合、不要な安静や禁食を避け、少しでも早く離床や経口摂取を行います。
低栄養に関連したサルコペニアの場合、適切な栄養管理を行います。筋肉量が少ないからといって栄養を考慮せず筋力トレーニングを行っても、筋肉量は減少する可能性が高くなります。
疾患に関連したサルコペニアの場合、まず原因となっている疾患の改善を図ります。同時に、適切な栄養管理とリハビリテーションを併用します。疾患の程度によっては、栄養管理を優先し、筋力トレーニングはあえて行いません。機能維持を目標とした関節可動域訓練や座位訓練のみを行い、原因となっている疾患がある程度が落ち着いてから、筋力トレーニングに進みます。
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