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尿道結石
腎臓などで作られた結石が、尿道の途中にとどまる疾患
尿道結石とは、腎臓(じんぞう)や膀胱(ぼうこう)で作られた結石が、尿の最終的な通路である尿道の途中にとどまる疾患。
膀胱に蓄積した尿が体の外へ出る時に通る管である尿道に結石が詰まると、尿の流れが妨げられます。そのため、トイレにいってもうまく尿を排出することができなくなり、力んでも途切れ途切れにしか出なかったりします。また、昼夜を問わず頻繁に尿意が起こり、排尿後もまだ何となく尿が残っている感じがして、 すぐにまたトイレにいきたくなります。
ひどい場合は、30分~1時間ごとにトイ レにいくこともあり、最悪の場合は尿の出が完全にストップしたりします。さらに、ふだんはわからなくても、コップに尿を取り、光に透かしてみると尿が白っぽく濁っています。
尿道に詰まった結石が尿道壁を傷付けると、排尿の終了時に強い痛みを感じたり、血が混じった赤色の尿が出てくることもあります。
この尿道結石は、女性に起こることは少なく男性がほとんどです。その原因は、男性と女性とでは尿道の長さや形状などがかなり違うことにあります。まず、男性の尿道は長さが15~16センチほどで細長く、膀胱から前立腺(ぜんりつせん)を貫いて陰茎の先端までS字を描くように伸びています。対して、女性の尿道は、長さが3~4センチほどで男性よりも太く、膀胱から膣(ちつ)の前方を通って外尿道口まで直線的に伸びています。
男性の尿道は長くて細いので、それだけ結石がとどまって詰まりやすいのです。女性の尿道は男性のそれと比べると短くて太いので、結石ができても多くは尿と一緒に流れ出ます。ただし、女性の尿道結石が全くないというわけではありません。ビールの飲みすぎなど、食生活に何らかの問題があれば起こり得ます。
なぜ石ができるのかは尿路感染、代謝異常、ホルモン、薬など原因のはっ きりしているものもありますが、およそ8割は原因不明。石が作られる過程は、尿中の結石成分であるミネラルの濃度が何らかの原因で過飽和状態に なり、腎臓に結晶核が生じてきます。その結晶が成長、凝集して結石となると考えられています。
尿道結石は尿道狭窄(きょうさく)や前立腺肥大症などの尿の出にくくなる状態の時に現れますので、排尿時の痛み、血尿などの症状が出たら、そのまま放置してはいけません。何の対処もせずにいると、主に大腸菌などの腸内細菌の感染によって膀胱の粘膜に炎症が起こったり、悪化して腎不全や尿毒症を引き起こす可能性もあるからです。
尿道結石の検査と診断と治療
泌尿器科の医師による診断は、触診や尿道鏡、X線撮影などの検査で行います。
泌尿器科の医師による治療は、尿道狭窄が起きていた場合には、ブジーと呼ばれる棒状の医療器具を挿入して結石を膀胱へ押し込みます。そして、内視鏡を使って超音波やレーザーなどで結石を破砕します。結石が前部尿道にあった場合には、異物鉗子(かんし)と呼ばれる器具を入れて石をつかみ、摘出するという処置が試みられます。
ブジーにより尿道が広げられると、自然に石が出てくることもあります。 開腹手術などを行うこともあります。
原因がはっきりしないため、予防には難しい面があります。ただし、尿路結石で最も多い成分のシュウ酸カルシウムに関していえば、食物中のシュウ酸が体内に吸収されて、尿になる時にカルシウムと結合して結石になるため、予防にはシュウ酸の多く含まれた食物を控えるか、腸で吸収されて血液中に入る前に、 腸内でカルシウムと結合させることです。
それには、シュウ酸の多いコーヒー、紅茶にはカルシウムを含むミルクをたっぷり入れたり、結石を溶かす作用があるクエン酸を含む食べ物を取ることです。クエン酸を含む食べ物は、レモン、みかん、グレープフルーツ、いちご、パイナップル、キウイ、梅干し、酢などです。
また、日本で尿道結石が急激に増えてきた背景には、食生活が欧米型になったこともあるようなので、魚や野菜中心の日本型食生活を心掛けることも有効。逆に、ビールにもシュウ酸が多く含まれているので、注意が必要です。
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