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多趾症
足の指の数が6本以上となる先天性疾患
多趾(たし)症とは、足趾(そくし)、つまり足の指の数が6本以上となる先天性疾患。足趾多趾症とも呼ばれます。
完全に先天性のもので、後天的な発生はありません。第5趾(小指)の外側に過剰な足指が発生することが多く、第1趾(親指)の外側などほかの足指にみられることもあります。
ほぼ完全な形の過剰な足指が存在する場合から、痕跡(こんせき)的なものや、紐(ひも)状の皮膚でつながった浮遊状のものもあります。隣接した足指と皮膚性に癒合して合趾(合指)を伴うことも、多くみられます。
多くの場合は、特定の原因は不明ですが、足の発生にかかわる遺伝子の変異が関係する可能性があり、染色体異常が原因のことがあります。妊娠中の喫煙などの環境因子との複合作用も、原因として考えられています。
胎児期に足指が分離形成される段階で、1本の足指が2本以上に分かれて過剰な足指が形成されますが、染色体異常に伴う多趾症や、さまざまな身体的異常を引き起こす先天異常症候群に伴う多趾症は、体のほかの部分の先天異常を合併する場合があります。
生後すぐ、あるいは胎児期の超音波検査で、足指の数の過剰は認められます。足の先天性疾患としては比較的多く、2000人に1人の頻度でみられます。
左右の足に、足指の数の過剰が同時に発生する場合、片方の足だけに、足指の数の過剰が発生する場合とさまざまで、 左右差がある場合もあります。
症状の程度も、軽い場合と重い場合があります。過剰な足指の基部が末節骨に存在し、かつ骨成分を含まないものでは、関節や骨の変形が少なく、機能障害はほとんど存在しません。過剰な足指の基部が基節骨や中節骨に存在し、かつ関節や骨がほかの指と共有されているものでは、機能障害が生じ、足指の正常な屈曲、伸展に支障を来します。
生後すぐ、多趾症は産科で気付かれることが多いため、足指以外に内臓疾患の合併がないか、小児科でも診てもらうことが勧められます。また、整形外科などでも診てもらい、美容的、機能的な観点から手術を行うべきかどうか相談することが勧められます。
多趾症の検査と診断と治療
整形外科、形成外科、ないし足の外科の医師による診断では、視診で容易に判断できます。骨の状態をみるためには、X線(レントゲン)検査を行います。
整形外科、形成外科、ないし足の外科の医師による治療では、浮遊状の過剰な足指である場合、糸で結紮(けっさつ)して壊死(えし)に陥らせて切除します。
それができない場合、過剰な足指を外科的に切除します。一般的に、過剰な足指の基部が末節骨に存在し、関節や骨の変形が少なく機能障害の少ない場合は、生後6カ月以降が手術時期の目安となり、過剰な足指の基部が基節骨や中節骨に存在し、機能障害の改善が重要な意味を持つ場合は、1歳以降が手術時期の目安となります。
過剰な足指が小さく、機能障害の少ない場合の手術では、切除を行うのみで十分です。機能障害の改善が重要な場合の手術では、過剰な足指を切除した後、残した足指の向きを金属ピンや靭帯(じんたい)縫合などを用いて矯正したり、関節形成を行います。骨の変形を矯正するため、骨切り術を行うこともあります。
合趾(合指)を伴う場合は、隣接した足指との分離を同時に行います。分離する際には、足指の側面の皮膚が欠損するために、足の内くるぶし付近の皮膚を採取し植皮を行います。
手術後は治療内容により前後しますが、約4週間のギプス固定を行います。その後も、テーピングなどを行う場合もあります。機能的な問題があれば、リハビリテーションを行います。
靭帯縫合や関節形成を行った場合、成長とともに変形が出現する場合があるため、外来にて手術後も定期的にチェックを行います。出現した変形を矯正するために、再度手術を行う場合もあります。
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