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突発性発疹
乳児期に多発する急性ウイルス性疾患で、突然の高熱で発症
突発性発疹(はっしん)とは、生後6カ月から3歳まで、大部分は1歳半までにかかる比較的予後のよい急性ウイルス性疾患。突発性発疹症とも呼ばれます。
ヒトヘルペスウイルス6型(HHV6)という水痘(すいとう)と同じグループのウイルスが原因です。一部、ヒトヘルペスウイルス7型(HHV7)やエンテロウイルスによるものも存在します。主な感染経路として、ヒトヘルペスウイルス6型抗体陽性の家族の唾液中のウイルスによる水平感染が考えられています。流行に季節性はなく、ほぼ1年中発症をみます。
約7〜17日の潜伏期間の後、急に39〜40度に達する高熱で発症するのが特徴で、この急な高熱のために、乳幼児では初めてのけいれんを起こすことがあります。発熱時には、安眠しない、食欲不振などのほか、のどの炎症がみられたりしますが、高熱の割にそれほど不機嫌にならないのが特徴で、一般状態は比較的良好です。発熱の時期に、まぶたがむくんだようになったり、頭部の前面にある大泉門(だいせんもん)が盛り上がることもあります。
2〜4日間続いた高熱が下がると同時に、発疹が現れ、全身状態が回復します。経過中に軟便や下痢が続くこともよくあります。
発疹は、麻疹(はしか)や風疹(三日ばしか)に似た淡紅色のもので、主に胴、首、耳の後ろに現れ、顔面や手足には少なめのようです。この発疹は数時間後から薄れて、2〜3日以内に跡も残さず、きれいに消えます。発疹の最もひどい時期には、頭や耳の後ろのリンパ節がはれることがあります。
突発性発疹の検査と診断と治療
小児科の医師による診断に、検査を必要とすることは通常ありません。好発年齢、高熱の割に機嫌が悪くないこと、発熱と発疹の関係、まぶたのむくみなどが診断の手掛かりになります。
高熱の時期には、急性中耳炎、急性腎盂(じんう)腎炎、肺炎、化膿(かのう)性髄膜炎などと間違わないよう、鑑別に注意を要します。客観的に診断を確定するためにはウイルスの分離、または血液中の抗体検査をします。
突発性発疹に有病期間を短縮したり、予防したりする特別な治療法はなく、対症療法だけになります。発熱期間中の解熱剤の投与で十分で、機嫌が悪くないので結果的には使用されないことも多いようです。熱性けいれんの既往があるなどでけいれんを起こす危険性が高いと考えられる場合は、予防的に抗けいれん剤が投与されることがあります。基礎疾患や熱性けいれんの既往がない場合は、抗けいれん剤が処方されることは通常ありません。
隔離しなくても、ほかの乳幼児に感染することはありません。生後初めての高熱のため、母親の驚き、心配は大きいようですが、予後の悪い疾患ではないので、それほど心配はありません。発熱期間中は安静にさせ、脱水予防のため十分に水分を飲ませ、消化のよい流動食か半流動食を与えます。
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