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膣閉鎖症

女性性管の膣が閉鎖、あるいは狭窄を来した状態

膣(ちつ)閉鎖症とは、先天性あるいは炎症や外傷などによって、女性性管の膣が閉鎖あるいは狭窄(きょうさく)を来した状態。

先天性のものは、胎児期における腟の発生段階の形成異常で、一部が損なわれた状態です。軽度の処女膜閉鎖症から、腟閉鎖症(腟横隔)、膣狭窄症まで、程度はさまざまです。

処女膜閉鎖症は、腟口部を取り囲むヒダ状のもので通常、中央部は開いている処女膜が、完全にふさがっている状態。そのために閉鎖した腟内や子宮、卵管に月経血、分泌物などがたまり、下腹部痛を起こしたり、しこりを生じたり、腰痛を起こしたりします。また、膀胱(ぼうこう)刺激症状や排便痛を起こすこともあります。

腟閉鎖症(腟横隔)は、ほとんどが膣の上部3分の1と膣の下部3分の2との境界部に好発し、腎臓(じんぞう)の奇形を合併することもあります。処女膜閉鎖症と同様に、月経が起こっても、流出路が閉鎖しているために月経血が排出されずに腟内や子宮、卵管にたまり、月1回、定期的にかなり強い下腹部痛を起こします。

月経血の貯留が高度となると、下腹部にしこりを感じ、排尿障害、排便障害、持続的な腹痛が起こることもあります。大量の貯留が長期間放置されると、子宮や膣が過伸展、変形して、後に不妊症の原因となることもあります。

膣狭窄症は、胎児期におけるミュラー管という組織の発生障害によって生じる先天性のものと、小児期のジフテリアや、はしか(麻疹〔ましん〕)などによる膣炎の後遺症として生じた癒着による後天性のものとがあります。狭窄の程度によって全く症状を欠く場合もありますが、高度の場合は月経血の排出障害、分泌物の貯留を起こしたり、膣炎が起きたり、異常な下り物があることもあります。膣が狭いために、性交渉に問題を抱えます。

いずれも思春期に初経がこないため婦人科を受診し、発見される例がほとんどです。

腟閉鎖症の検査と診断と治療

婦人科、産婦人科、あるいは小児科の医師による診断は、内診を中心に、超音波検査やCT検査で腟や子宮に液体がたまっていないかどうかを検査します。血液中ホルモン検査、腎臓と尿管の検査などを行うこともあります。

医師による処女膜閉鎖症、腟閉鎖症(腟横隔)の治療は簡単で、閉鎖部位を切開して、月経血や分泌物などの通り道を作れば解決し、後遺症もなく治ります。軽度の処女膜閉鎖症では、簡単な十字切開手術ですみます。膣閉鎖症では、膜様閉鎖では切開のみで問題ありませんが、閉鎖部が厚い場合には輪状切開を行います。この輪状切開を行った場合には、手術後の瘢痕(はんこん)性委縮に注意する必要があります。

処女膜閉鎖症、膣閉鎖症の場合には、閉鎖している部分を切開して完治するので性交渉も可能になります。卵巣および子宮は正常なので、その後の月経も含めて問題はなくなり、正常な妊娠、出産も可能になります。ただし、長期間放置して診断が遅れた場合には、卵管卵巣の壊死(えし)や破裂による腹膜炎を来すことがあります。

膣狭窄症の治療は、程度に応じて頸管(けいかん)拡張器による膣腔(ちつくう)の拡大、狭窄部の小切開、さらに全体的膣形成までさまざまな手術が行われます。

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