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チロシン

非必須アミノ酸の一つで、神経伝達物質を作るために必要な栄養素

チロシンとは、人間の体内で合成できる非必須(ひっす)アミノ酸の一つ。必須アミノ酸であるフェニルアラニンやトリプトファンとともに、芳香族アミノ酸とも呼ばれます。

このチロシンはフェニルアラニンを原料として人間の体内で合成され、神経伝達物質であるアドレナリン、ノルアドレナリン(ノルピネフリン)、ドーパミン、代謝を左右する甲状腺(こうじょうせん)ホルモン、毛髪や皮膚の黒色色素であるメラニンなどの原料として体内で消費されます。

神経伝達物質は、脳や神経の働きを活発にして、記憶力や集中力を高めるといわれています。興奮とともに分泌されるアドレナリンとノルアドレナリンは、運動能力を引き出す助けとなります。リラックス状態で分泌されるドーパミンは、学習能力の向上にかかわります。甲状腺ホルモンは、代謝活動を活発化させます。メラニン色素は、細胞組織を紫外線から守る役目を持っています。

そのほか、チロシンはストレス下の気分の改善や、うつ病、認知症、パーキンソン病の予防と回復に効果があるといわれ、細胞の老化を抑えたり、高コレステロール改善の働きも持ちます。

チロシンの過剰摂取については、体に悪影響を与えるという報告例はないものの、日焼けによる変色を起こすメラニン色素の原料であるため、摂取しすぎると肌のシミ、ソバカスが発生しやすくなります。

逆にチロシンの摂取不足になると、甲状腺ホルモンや神経伝達物質の分泌量が減少して、代謝活動の減退や無気力状態に陥る恐れが強くなります。具体的には、食欲のコントロール機能が低下して食べすぎ、肥満を引き起こし、感情の起伏を促すアドレナリンとノルアドレナリンの分泌量が減少することで、気力減退につながります。

メラニン色素の減少は、白髪の原因になります。また、成長著しい乳幼児がチロシン不足になると、脳機能障害や成長障害を起こすリスクが高まります。

チロシンを多く含む食品としては、レバー、チーズ、果物、タケノコ、大豆、ピーナッツ、たらこ、しらす干し(ちりめんじゃこ)が挙げられます。バナナやアボガドといった果物には、苦味成分としてチロシンが多く含まれています。リンゴに含まれているチロシンは、空気に触れるとメラニン色素を生成して、身を褐色にする働きを持っています。また、水煮のタケノコの断面によくみられる白い粉末は、チロシンの結晶であり、結晶化するほど多く含んでいます。

チロシンは糖分と一緒に摂取すると吸収効率がよくなるため、果物で摂取するのが効率よい摂取方法となります。

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