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チョコレート

栄養価が高く、リッラクス作用や動脈硬化の予防作用がある食品

チョコレートとは、カカオの実を発酵、焙煎(ばいせん)、粉砕したカカオマスに、砂糖、粉乳などを加えて精錬し、調温して固めた食品。略してチョコ、仏語読みをとってショコラとも呼ばれます。

原料となるカカオは中南米原産の栽培種であり、中世の中南米においては固形チョコレートの製造技術が発明されておらず、カカオマスにハーブ、香辛料を混合して飲用にしていました。このため、現代でも飲用のものを含めてチョコレートと呼んでいます。

飲用のチョコレートは、スペインによってヨーロッパ中に広まり、貴族の間で流行すると洗練された飲み物になりました。ティーカップ、コーヒーカップより一回り小さい、ショコラカップなどというカテゴリーもあります。

20世紀になってから、スイスの技術で細かくカカオの実を磨砕し、砂糖を加えて固形チョコレート化し、食べやすくなったことから、爆発的に広まりました。このころから口当たりがよくなったため、製菓でも盛んに使われるようになりました。

カカオは現在では、中南米のほか、西アフリカ、東南アジアの熱帯地方で栽培されています。カカオの実の味は産地、フォラステロ種やアリバ種といった種類、気候などによって異なるため、チョコレートメーカーはそれらをブレンドながら、いろいろな味や種類のチョコレートを作っています。日本のメーカーではガーナ産、欧米のメーカーではコートジボワール産を主ベースに使用しています。ちなみに、ココアもこのカカオの実からできています。

チョコレートは栄養価が高く、ポリフェノールやカフェインを多く含み、ほろ苦い香り成分に相当するテオブロミンによる食べた際のリラックス作用や、カカオの香りをかいだ際のドーパミン分泌作用などから、かつては媚薬(びやく)とされていました。

チョコレートやココアの主成分であるカカオには、タンパク質、アミノ酸、脂質、糖分、炭水化物、食物繊維、テオブロミン、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ビタミンEなどたくさんの栄養素が豊富に含まれています。

中でも最近注目されているのは、抗酸化作用のあるカカオポリフェノール。抗酸化作用とは、老化の原因などになる活性酸素を除去する働きのこと。ポリフェノールとは、植物の光合成によってできた苦味成分、渋味成分のことで、主要なものだけでも300種類以上あるといわれています。そのうちの一種が、チョコレートの主成分であるカカオに含まれているカカオポリフェノールであり、含まれる量は赤ワインをはるかにしのいでいます。

カカオポリフェノールには、動脈硬化を引き起こす原因である血中の悪玉コレステロールを除去したり、活性酸素による動脈硬化の進行を防ぐ作用があります。動脈硬化は生活習慣病に直結する病気でもあるので、広い意味で生活習慣病の予防にも役立ちます。

カカオポリフェノールの抗酸化作用は、細胞ががんになるのを防いだり、がん細胞の増加を防いだり、免疫力を強化します。さらに、身体的ストレスにうまく適応したり、ストレスによって増加するホルモンの分泌を抑えたり、精神的なストレスに対する抵抗力を強めることができます。

そのほか、カカオポリフェノールには、アレルギー症状を引き起こす活性酸素の過剰な発生を抑えたり、抗体や炎症を起こす物質を作らないような作用があります。花粉症対策にも最適です。

意外なことに、チョコレートの主成分であるカカオは、肥満の予防にも効果を発揮します。確かにチョコレートそのものは高カロリーなのですが、脂肪分解酵素リパーゼの働きを抑え、脂肪が血液中に残るのを防ぐため、結果として体脂肪率は上がりにくくなります。

また、チョコレートに含まれるカカオバターは脂肪の吸収率がよいため、同じカロリーのものなら、チョコレートを食べたほうが肥満につながりにくいといわれています。食前にチョコレートを食べると、血糖値が素早く上昇し、食欲が抑えられることでも肥満の予防につながります。

大腸菌や赤痢菌、O-157やサルモネラ菌、胃がんや胃炎の原因となるピロリ菌、あるいは歯周病などに対する殺菌作用も認められています。ほかにも、チョコレートに含まれるテオブロミンには、集中力や記憶力を高める作用や、疲労回復効果、血圧の上昇を防いだりする作用があります。

チョコレートといえば、「甘い」とか「お菓子」というイメージがありますが、実は栄養バランスが取れ、たくさんの効果がある総合食品といえます。チョコレートの原料はカカオ豆であり、豆類には健康効果がたくさんあるのですから、チョコレートも健康食といっていい存在なのです。

ただし、肥満の予防やダイエット効果を期待する場合は、カカオ含有量が70パーセント以上で、甘みが少ないチョコレートを選ぶようにし、食べすぎには注意する必要があります。

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