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唾液腺がん

唾液を作る臓器である唾液腺のうち、耳下腺などの大唾液腺に発生するがん

唾液腺(だえきせん)がんとは、唾液を作る臓器である唾液腺のうち、大唾液腺に発生するがん。

唾液腺には、大唾液腺と小唾液腺とがあります。大唾液腺は、耳の前から下に存在して、おたふく風邪の際にはれる耳下腺、あごの下に存在する顎下(がくか)腺、舌の裏に存在する舌下腺に分けられます。一般に、食事が口に入った時に分泌される唾液は耳下腺から、安静時、特に睡眠中に分泌される唾液は主に顎下腺からと考えられています。

小唾液腺は、口腔(こうくう)粘膜、咽頭(いんとう)粘膜に無数に存在します。

頭頸(とうけい)部がんの中でも、唾液腺がんは5パーセント程度と少なく、そのほとんどは耳下腺と顎下腺に発生し、舌下腺がんは極めてまれです。一般に頭頸部がんは粘膜上皮から発生することが多いため、扁平(へんぺい)上皮がんという組織がほとんどですが、唾液腺は複数の細胞が集まっていますので、唾液腺がんの病理組織も多彩であることが特徴で、世界保健機関(WHO)の分類で18種類。

また、病理組織型により悪性度も異なります。耳下腺腫瘍(しゅよう)の80パーセントは良性なのに対して、顎下腺腫瘍では50〜60パーセントが悪性です。

唾液腺がんができやすいのは、50歳以降の年齢層で、男性が女性の約2倍となっています。若い年齢層にも、決してまれではありません。

初期症状は、耳下腺や顎下腺、舌下腺がある部位に腫瘤(しゅりゅう)を認めるだけです。進行すると、首のリンパ節がはれたり、耳下腺がんでは顔面神経まひが起こったり、口が開けにくくなったりするような症状を伴ってきます。顎下腺がんでは痛みが伴うことがあります。

一般に進行は遅いものの、急速に進行して腫瘤が急激に大きくなることもあるので、あまり大きさが変わらないからといって、良性とは判断できません。

唾液腺がんの検査と診断と治療

唾液腺がんの診断は、視診、触診、細い針で腫瘍細胞を吸引して検査をする吸引細胞診や組織生検で行われます。さらに、耳下腺や顎下腺の開孔部から造影剤を注入してX線撮影する唾液腺造影法、CT検査、MRI検査、超音波検査などで、進展範囲、頸部リンパ節転移、遠隔転移の程度を調べて病期分類を決定し、進行度を判定します。

唾液腺がんの治療の基本は、手術になります。がん手術は腫瘍周囲の安全域を含めて切除することが基本なので、腫瘤自体が小さくても顔面神経や皮膚、下顎骨と近い場合は、これらも一緒に切除することもあります。

神経を切除した場合は、神経を移植してまひの程度を軽くします。下顎骨を切除した場合には、咀嚼(そしゃく)に不便を感じることが多いものの、嚥下(えんげ)や会話は可能。近年では、肋骨(ろっこつ)、腸骨、腓骨(ひこつ)、 肩甲骨などを用いて下顎骨を再建するようになってきているため、手術後の障害は大幅に解消されつつあります。

手術前に遠隔転移があったり、全身状態が不良な場合は、手術以外の方法を選択することもあります。しかし、唾液腺がんのうち、耳下腺がんでは放射線や化学療法は一般的な治療ではありません。放射線治療単独では根治は望めないものの、手術後に放射線治療を加えることはあります。未分化がんや、腺がんの一部には、手術に加えて抗がん剤による化学療法を行う場合もあります。

頸部のリンパ節に明らかな転移があれば、転移のあるリンパ節のみならず、頸部のリンパ節を周囲の組織も含めてすべて摘出します。がんの病理組織型によっては、予防的にリンパ節を摘出する場合もあります。 摘出手術後には、首から肩にかけての知覚および運動機能の低下が問題になりますので、積極的に肩を動かしてリハビリテーションを行う必要があります。

唾液腺がんの生存率についての全国的なデータはありませんが、いくつかの病院が調査したデータによると、5年生存率は50パーセント程度とみられています。

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