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腸捻転

腸管が回転して、ねじれ、内容物の通過障害などを起こす状態

腸捻転(ねんてん)とは、腸管が腸間膜または腸管自体の長軸を軸として、ねじれている状態。腸軸捻とも呼ばれます。

潰瘍(かいよう)性大腸炎や腸チフスなどの炎症性の疾患や手術後の癒着、ヘルニアや腸重積症によって起こることが多く、高齢者では腫瘍(しゅよう)などによって腸管が狭くなって起こります。

腸はふだん、腹膜や腸間膜によって固定され、生理的運動の範囲を超えないようになっていますが、この固定されている部分が弛緩(しかん)していたり、腸管の長さが異常に長くなった時に回転し、ねじれて、腸捻転を生じます。腸間膜の主幹動脈の閉塞による虚血に加えて、腸が詰まり、腸の内容物が通らなくなるなど腸閉塞と同じ症状がみられます。

捻転する器官としてはS状結腸が最も多く、小腸、盲腸の順となっています。ごくまれに、腸以外の胃あるいは胆嚢(たんのう)の捻転が生じることもあります。

S状結腸の捻転は、中高年の便秘がちな人に多くみられます。普通、自然なαループを描いてねじれますが、逆にねじれた場合は逆αループといい、糞便が直腸に行く前に交差する個所が腸管内にできてしまい、ひどい便秘になります。S状結腸が異常に長い場合、ループコースターのように二回転することもあります。

ループが完全に360度回ってしまうと、風船のように根元が縛られてS状結腸が袋状になり、便が全く通らなくなります。袋状のS状結腸にガスがたまるために腹部が張り、急に激しい腹痛が起こって、糞便(ふんべん)状の嘔吐(おうと)物を出すこともあります。一般に腹痛が持続し、全身状態が急に悪化し ます。

小腸の捻転の多くは、小腸の一部が炎症やがん、あるいは手術後の癒着などにより固定された場合に、癒着部分を中心に回転することで生じます。急激な嘔吐、持続する腹痛などが症状です。

盲腸の捻転は、移動性盲腸の症例として生じ、腹部手術を受けたことがある人、床に長期間ふせっている人、慢性の便秘がある人、妊娠している人などにみられます。

腸捻転の検査と診断と治療

腸捻転の症状によっては、急いで適切な処置を受けないと危険なケースがありますので、消化器科、外科を受診します。

S状結腸の捻転の場合、大腸内視鏡で検査後に抜去する際、逆αループなどを解除し、整復すると、簡単に便秘が治ります。S状結腸が袋状になった場合も、大腸内視鏡で捻転部よりも上側の腸管内の貯留物を吸引してガスを抜き、ねじれを解除することで、整復できます。

大腸内視鏡による整復率が高率である反面、再発率も高率であるため、肛門(こうもん)から挿入したチューブを24時間留置し、腸内容物を持続的に体外へ除去することもあります。

小腸の捻転の場合、大半は緊急手術により捻転した腸管を元に戻します。腸管がすでに壊死に陥っている時には、その部分を切除します。

盲腸の捻転の多くは、腸閉塞の手術中に発見され、虚血がなければ捻転の解除のみが行われます。捻転の再発が認められるため、盲腸の切除を行うこともあります。

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