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足趾短縮症

足の甲の部分に5本存在する中足骨が先天的に短縮する疾患

足趾(そくし)短縮症とは、先天性足部疾患の一つで、足の甲の部分に5本存在する中足骨(ちゅうそくこつ)が先天的に短縮する原因不明の疾患。先天性足趾短縮症、足趾骨短縮症、中足骨短縮症などとも呼ばれます。

比較的まれな疾患で、女児に多く認められます。先天的に短縮する骨は足の甲の部分の中にあって外観ではわからない中足骨ですが、実際には足指(足趾)が短縮して、引っ込んでいるように見えます。

成長するに従って、中足骨に生じる成長障害が顕著となるために、ほとんどは小学校高学年や中学生のころに自覚します。

 両側性にみられることが多く、特に足指の第4指に多くみられます。第4指以外の足指に生じることもあり、また1つの足指のみならず複数の足指に生じることもあります。

 一般に、短縮が軽度であれば、機能的な障害はほとんどなく、歩行自体が障害されることも、スポーツ活動に支障を来すことも、痛みが生じることもありません。

短縮が顕著であれば、隣接する足指の外反変形や内反変形を引き起こし、隣接する足指が短くなった足指の透き間に倒れ込むような現象がみられます。時には、隣接する足指の中足骨骨頭に一致して、足裏に有痛性のたこができることもあります。

足趾短縮症は、美容上の問題で発症者を悩ませる深刻な疾患といえます。特に、思春期を過ぎた多感な時期の男女において、水泳授業や海水浴などで素足になることの多い季節になると、ついつい人目が気になり行動が消極的になってしまい、有意義な日常生活を送ることに支障を来すという場合は、整形外科、ないし足の外科を受診することが勧められます。

足趾短縮症の検査と診断と治療

整形外科、ないし足の外科の医師による診断では、視診により足指の短縮が明らかで、時に隣接する足指の変形が認められるため、容易に判断できます。

X線(レントゲン)検査を行うと、短縮した足指に相当する中足骨が短縮していること、それによって足指の付け根に位置する中足趾節関節(MTP関節、母趾球)がほかの足指に比べて近位に位置していることを認め、時に隣接する足指が軽度に変形していることを認めます。

整形外科、ないし足の外科の医師による治療では、発症者や家族の希望、学業や仕事の都合を参考にして手術時期を決定し、中足骨を延長する手術を行うことが第1選択となります。

実際に手術している年齢は、5歳前後から30歳前後とかなりの幅があります。

早い時期に手術を行った場合、まだ足が小さいため高度な手術操作が要求される一方、骨の再生のスピードが速いという利点があります。逆に、骨の成長が終了した成人で手術を行った場合、足が大きく手術は比較的容易である一方、骨の再生のスピードがやや緩慢で治療期間が長くなりがちという問題が生じます。

中足骨を延長する手術には、骨移植法(一期的延長法)と骨延長法(仮骨延長法)の2つがあります。

骨移植法は、短縮した中足骨を骨切りし、一期的に骨切り部を延長した後に開いた透き間に、腰の部分などから取った骨を移植する方法です。一期的に延長するため、神経血管障害が生じる恐れがあるので、延長可能な距離が10ミリまでと制限されます。

骨延長法は、5〜6センチ程度の長さの創外固定器というものを用いて、短縮した中足骨をゆっくりと延長させてゆく方法です。骨本来の再生機能を利用して、骨切り部をゆっくりと延長させてゆくことによって、延長された透き間に少しずつ新たな骨(仮骨)が形成されてゆきます。骨移植法と比較すると、創外固定器の装着期間がやや長い面はありますが、別の部分から骨を取る必要がないという長所のため、近年では広く選択されるようになっています。

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