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膝蓋大腿関節症
膝蓋骨と大腿骨からなる膝蓋大腿関節に炎症が起こり、膝の痛みを引き起こす疾患
膝蓋大腿(しつがいだいたい)関節症とは、膝(ひざ)の皿に相当する膝蓋骨と、膝から上の骨である大腿骨からなる膝蓋大腿関節で、骨や軟骨が変形して炎症を起こし、膝の痛みを引き起こす疾患。
さまざまな要因により関節の変形がみられる変形性膝関節症が、膝蓋大腿関節に発症したものといえます。変形性膝関節症と同じく、加齢によって骨がもろくなったり、長年にわたって膝を使い続けて骨に負担が蓄積することによって、骨が痛んで変形したり擦り減ったりして、膝蓋大腿関節症を発症します。
そのほか、膝蓋骨の脱臼(だっきゅう)によって、膝蓋大腿関節症を発症することもあります。通常、膝蓋骨と大腿骨はうまくかみ合うようにできていますが、膝蓋骨が本来あるべき部位から外側へずれる脱臼が起こると、ずれによる摩擦で、関節の骨の表面を覆っている厚さ2~7ミリ程度の層である軟骨が擦り減ります。膝蓋骨の脱臼を放置しておくと、どんどん軟骨が痛み、ひどくなると骨にまで影響が出ることもあります。
膝蓋骨の脱臼は、長距離ランニングなどで膝を酷使した時や、ジャンプ系のスポーツでのジャンプの着地時に太腿の筋肉である大腿四頭筋が強く収縮した時に起こるほか、外部から膝の皿に強い衝撃を受けた時、周辺の靭帯(じんたい)が緩んでいる時など、さまざまな原因で起こります。
生まれ付き膝蓋骨や大腿骨の形の異常がみられる人も、脱臼しやすくなります。思春期の女性も、女性ホルモンの関係で関節が緩くなりやすいために、脱臼しやすくなります。
膝蓋大腿関節症を発症した初期は、階段の上り下り、正座や椅子(いす)からの立ち上がりなどで膝を動かした時に、膝の周囲に痛みを感じ、膝を動かすのをやめて安静にしていると次第に痛みが消えます。
症状が進むにつれて、痛みが大きくなり、膝を動かすのをやめて休んでもなかなか痛みが消えなくなってきます。ひどいと、安静時にも痛むことがあります。関節内に水、すなわち増量した関節液がたまってくるようになることもあります。
また、膝蓋骨の脱臼を伴っている場合は、膝の周囲、特に外側を中心に痛みを感じ、膝の皿の違和感、はれ、こわばり、大きく動くよう不安定感を覚えます。
通常は片側の膝に膝蓋大腿関節症が起きますが、両側の膝に起きることもあります。
膝蓋大腿関節症の検査と診断と治療
整形外科の医師による診断では、問診、視診、触診で、膝蓋骨周囲の痛み、膝蓋骨を指で押した時の圧痛、膝蓋骨の動きの違和感、膝蓋骨の位置のずれなどがみられるかどうか確認します。
より詳細な確認が必要な場合は、X線(レントゲン)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査などを行い、撮影画像から骨の変形などの異常を確認して確定します。
整形外科の医師による治療では、症状を悪化させないよう、スポーツなどは極力行わず安静を保った上で、サポーターなどで膝を固定する装具療法、消炎鎮痛剤の塗布・投与やヒアルロン酸の注射などで炎症や痛みを抑える薬物療法、筋力トレーニングやストレッチによって膝の筋肉の緊張をほぐし強化も図る運動療法などを、症状に応じて組み合わせて行います。
症状が強く、日常生活での動作に支障が出る場合には、X線撮影画像による骨の変形の程度と照合した上、手術的治療を行います。
変形が強い場合、人工膝関節置換術が主な治療法となります。変形が軽度の場合は、内側の関節包を縫縮し外側の関節包を切開する外側解離術や、脛骨(けいこつ)粗面を浮上させる脛骨粗面前進術、膝蓋骨の脱臼の補正手術などを行い、体重が膝関節全体に均等にかかるようにします。
予防としては、太腿の筋肉である大腿四頭筋を始めとした膝周囲の筋力トレーニングが有効で、治療にも有効です。特に、内側広筋という太腿の内側の筋肉の強化が有効で、内側広筋は膝蓋骨が外側に引っ張られないように抑え、内側へ引き戻す役目を持つためです。
X脚、O脚(内反膝)、がに股、扁平(へんぺい)足、足首が内側に傾く回内足、不自然な歩き方など、膝蓋大腿関節症を誘発する要因を持っている場合は、その矯正が有効です。
また、ランニングをしている人では、走り方の癖の改善を心掛けることが予防につながります。つま先が内側を向いた内足の状態で着地する、女性にみられがちな走り方は、膝にねじりの作用を加えて膝蓋骨に負担をかけるほか、いろいろな膝障害を招く要因になるためです。
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