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鎖骨骨折
肩部の胸の左右に一対ずつある鎖骨に生じる骨折
鎖骨骨折とは、肩部の胸の左右に一対ずつある鎖骨に生じる骨折。
鎖骨は、体幹の骨である胸骨と肩甲骨をつなぎ、胸と肩を真っすぐに保つ支柱の役目を果たしています。皮膚表面近くにあり、前から見るとほぼ一直線のような形状、頭のほうから見るとS字型の形状をしており、長い外観からもその存在を確認できます。
鎖骨骨折は、転倒して手や肘(ひじ)あるいは肩を地面などに突いた時に、その衝撃による外力が鎖骨に伝わって生じます。また、衝突などによって外力が直接鎖骨に働いて生じます。折れる瞬間、ボキッという音を聞くことも多く、皮膚表面近くにある骨なので、外側からの観察でも容易に骨折を確認できます。
乳幼児では、遊んでいる時に鎖骨骨折を生じることがあります。乳幼児は骨が厚い骨膜で包まれているため、骨の連続性が完全には断たれず、ヒビが入る不全骨折になることが多くみられます。着替えなどで痛がるようであれば、鎖骨骨折を生じていることがあります。小中学生では、遊んでいる時とともにスポーツ中の鎖骨骨折も多くみられます。
大人では、ラグビー、アメリカンフットボール、サッカー、柔道などのコンタクトスポーツ中の鎖骨骨折が多くみられます。また、自転車、バイクなどの転倒事故やそのほかの交通事故によって、大きな外力を受けた際に、鎖骨骨折に至ることもあります。
交通事故の場合、骨が折れるとともに周囲の軟部組織が損傷され、皮膚に傷口が開いた状態の開放骨折(複雑骨折)のことも多く、鎖骨の下にある神経や血管の損傷を合併することがあります。
さらに、外力からの衝撃による以外に、鎖骨骨折は新生児に生じることが多いのが特徴的。新生児が産道を通る時に、両肩に力がかかって鎖骨が折れるもので、骨の形成が不十分なためとされています。特に、逆子で足のほうから生まれる場合、腕を上に上げた状態となって不自然な力が加わるので、鎖骨骨折の危険がより高まることになります。
鎖骨骨折を生じると、骨折はほとんどが鎖骨の中央3分の1の部位で発生します。骨の連続性が完全には断たれると、体の中央寄りの近位骨片は上方へずれ、肩寄りの遠位骨片は下方にずれます。鎖骨の正常なS字型の形状が変形し、さらに両骨片は重なり合って1~2センチ短縮し、肩幅が狭くなり、肩が落ちます。
骨折した部位に皮下出血やはれ、痛みが生じ、腕や肩を動かすと痛みが強まります。痛みで腕を上げることができなかったり、無理に腕を上げようとすると骨が砕けるようなゴリゴリ感があったりします。
鎖骨骨折の検査と診断と治療
整形外科の医師による診断では、鎖骨の変形、はれ、痛み、皮下出血、圧痛、骨折部の異常な動きなどの症状と、X線(レントゲン)検査により鎖骨に骨折が認められることで、容易に確定できます。X線検査で確定できない場合でも、CT(コンピュータ断層撮影)検査により確定できます。
整形外科の医師による治療には、保存療法と手術療法の2つがあり、時間をかけて保存療法を行うことが多く、時に手術療法を行います。
ほとんどの鎖骨骨折の場合、鎖骨の下にある神経や血管が傷害を受けることは少なく、保存療法で完治が可能です。できるだけ発症者の胸を反らせて、重なり合って短縮した骨片を整復します。次いで、包帯を使用する8字帯固定法や、専用の鎖骨バンドなどで患部の安定性を確保して、痛みを軽減し、時間をかけて骨折した部位の骨癒合を図ります。
変形している骨を徐々に矯正し、骨を形成する能力が高い乳幼児では2~3週間、小中学生では4~6週間程度と、長期間の固定が必要となりますので、日常生活、学業、運動の制限があり、大人では仕事の制限もあります。
手術療法は、骨片が多数あるもの、鎖骨の短縮が強い場合、皮膚に損傷がおよぶ開放骨折の場合、腕神経損傷や血管損傷が疑われる場合、骨癒合が難しい遠位の鎖骨骨折、保存治療で癒合しない骨折などが対象となります。
手術では、鎖骨を金属のワイヤーと棒で固定します。手術後に鎖骨骨折が治癒した後に、固定具を除去します。
保存療法であっても、手術療法であっても、早期に治療を受ければ、鎖骨骨折の予後は良好です。
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