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処女膜閉鎖症

先天的な形態異常により、処女膜が完全にふさがっている状態

処女膜閉鎖症とは、腟口(ちつこう)部を取り囲むヒダ状の器官で通常、中央部は開いているはずの処女膜が完全にふさがっている状態。

原因は、先天的な形態異常と見なされます。新生児期に処女膜閉鎖症が疑われる場合もありますが、はっきりした診断は不可能で、成長とともに自然に開口することもあるため、思春期までは特別な処置が行われないのが一般的です。

症状としては、流出路が閉鎖した腟の中に粘液がたまったり、子宮に液体がたまったりします。そのために下腹部痛を起こしたり、下腹部にしこりを生じることがあります。

思春期以降、月経が起こると、月経血が体外に排出されずに腟内や子宮、卵管にたまり、月1回、定期的に下腹部痛や腰痛を訴えたりします。実際には月経が起こっているのに、処女膜閉鎖症の少女では月経血が体外へ流れ出てこないために、無月経と思われてしまいます。この場合は、卵巣や脳下垂体機能は正常なことが多く、ホルモン分泌は正常で二次性徴も認められて乳房などは発達しています。

月経血の貯留が高度になると、下腹部にしこりを感じ、排尿障害、排便障害、持続的な腹痛が起こることもあります。さらに、大量の貯留が長期間放置されると、卵管、卵巣の壊死(えし)や破裂による腹膜炎を来すことがあり、子宮や膣が過伸展、変形して、後に不妊症の原因となることもあります。

現在では、日本人の少女の平均初経年齢はおよそ12歳で、14歳までに98パーセントが初経を経験するといわれています。だいたい15歳くらいになって初経がないと、多くの少女は母親と一緒に婦人科、産婦人科を訪れ、処女膜閉鎖症を発見される例がほとんどとされています。

処女膜閉鎖症の検査と診断と治療

婦人科、産婦人科あるいは小児科の医師による診断は、内診を中心に、超音波検査やCT検査で腟や子宮に液体がたまっていないかどうかを検査します。基礎体温を測り、排卵の有無も確認します。

医師による治療は、手術で閉鎖部の切開を行います。閉鎖した処女膜を十字か輪状に切開し、たまった月経血や液体、粘液を排出した後、切った処女膜が再閉鎖しないように辺縁を縫合するというもので、比較的負担の少ない手術ですみます。

後遺症もなく完治するので、性交渉も可能になります。卵巣や子宮などの機能は正常なことがほとんどなので、その後の月経も含めて問題はなくなり、正常な妊娠、出産も可能になります。

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