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周期性四肢まひ

四肢の筋肉がまひを起こして、全く力が入らない発作が起こる疾患

周期性四肢まひとは、両手、両足の筋肉がまひを起こして、筋肉の脱力や運動不能を生じる疾患。この疾患には、いくつかのタイプがあります。

優性に遺伝する疾患ですが、遺伝がなくても起こることがあります。過労、過飲、過食が誘因となって、手足に全く力が入らないまひ発作が急に起こるのが特徴です。発作中は、通常の神経刺激はもちろん、人工的な電気刺激にさえも筋肉は反応しません。しかし、発症者は覚醒(かくせい)し、意識もはっきりしています。

発作は、短い場合は数時間、長い場合には数日から1週間続きます。発作が消失すれば、全く普通に動けます。

血液中のカリウム濃度と密接な関係があることがわかっており、血中カリウム濃度が低くなることによって起こる低カリウム血性周期性四肢まひ、血中カリウム濃度が高くなることによって起こる高カリウム血性周期性四肢まひ、まれに血中カリウム濃度が正常でも起こる正カリウム血性周期性四肢まひの3種類に分類されています。

実際には、甲状腺(せん)機能高進症(バセドウ病)に伴う低カリウム血性周期性四肢まひが多くなっています。そのほかも、副腎(ふくじん)異常の原発性アルドステロン症、褐色細胞腫(しゅ)、尿細管性アシドーシス、薬剤や下痢などでカリウムイオンの摂取低下や排出増加があると起こります。いずれも発作時の血清カリウムの低下がみられるので、低カリウム血性周期性四肢まひと呼ばれます。

低カリウム血性周期性四肢まひは、通常は16歳までに起こることが多いものの、20歳代で発症することもあり、30歳までには発症します。発作は2~3日と長く続くこともあり、症状も重度です。

多くの場合、炭水化物を多く含んだ食事を取った後に発作を起こします。発作は食後数時間で起こることもあれば、翌日に起こることもあります。運動も発作を誘発します。炭水化物を摂取した後に、激しい運動を行ってエネルギーを消費すると、カリウムが糖と一緒に細胞に取り込まれる結果、血液中のカリウム濃度が低下して起こります。

一方、高カリウム血性周期性四肢まひは、しばしば10歳までに発作を起こします。発作は15分~1時間続きます。空腹時、激しい運動時、寒冷にさらされた時などに発作が起こります。

低カリウム血性周期性四肢まひでも、高カリウム血性周期性四肢まひでも、周期性四肢まひがある人は、起床直後に激しい運動をすると筋力の低下を生じ、手や足のまひを起こします。筋力低下は1~2日続きます。

周期性四肢まひの検査と診断と治療

神経内科、ないし内科の医師による診断では、発作時の血液中のカリウム値の測定を行います。従って、この周期性四肢まひが疑われる場合は、発作誘発試験が行われることがあります。低カリウム血性周期性四肢まひでは、腹いっぱい食べる飽食試験やインシュリンと糖液の点滴が行われ、高カリウム血性周期性四肢まひでは、カリウム液の使用が行われます。

正確に診断できるのは、遺伝子診断です。低カリウム血性周期性四肢まひでは、1番染色体にある細胞のカルシウムチャンネルの遺伝子の異常、高カリウム性周期性四肢まひでは、17番染色体にあるナトリウムチャンネルの遺伝子の異常で起こることが判明しています。しかし、日本ではまだ、遺伝子診断は行われていません。

神経内科、ないし内科の医師による治療では、低カリウム血性周期性四肢まひには、糖を含まない輸液に塩化カリウムを加えたものを点滴します。これで症状は1時間以内にかなり回復します。また、炭水化物を多く含む食事や激しい運動を控えます。

高カリウム血性周期性四肢まひには、炭酸脱水酵素阻害薬のダイアモックス(一般名:アセタゾラミド)が有効です。ダイアモックスは、腎臓に存在する炭酸脱水酵素の働きを阻害して、塩分とともに水分を尿に排出します。また、カリウムが少なく炭水化物を多く含む食事を取ることで発作を予防できます。

甲状腺機能高進症などに伴う周期性四肢まひは、原因となった疾患を治すのが第一です。

発作の予防には、過労、過飲、過食を避け、塩化カリウムと抗アルドステロン剤を内服するのがよく、ダイアモックスを使用すると、すべてのタイプの周期性四肢まひの発作が予防できます。

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