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精巣捻転症
男性の精巣が回転して精索がねじれ、精巣への血流が妨げられる疾患
精巣捻転(ねんてん)症とは、精巣が回転して精索がねじれ、精巣への血流が妨げられる疾患。精索捻転症とも呼ばれます。
男性の精巣、すなわち睾丸(こうがん)と、精巣上体、すなわち副睾丸は、陰嚢(いんのう)の底部の固定にされていて、それにひも状の精索がつながっています。精索には、精巣に出入りする血管と、精液の通り路の精管が入っています。精索がねじれると、精巣に通じる血管がふさがれて血行障害を起こすために、6〜12時間で精巣は壊死(えし)に陥ります。
新生児期と、思春期から25歳ごろまでの間に多く発生しますが、どの年齢でも起こる可能性があります。新生児期では、精巣が陰嚢の中で底部に十分固定されておらず回転しやすいことが原因です。思春期では、第二次性徴といって精巣の重量が増える際に、周囲の支持組織が十分でないことが原因と考えられています。
症状としては、精巣部から下腹部にかけて突然、強い痛みが起こります。吐き気、嘔吐(おうと)、時にはショック症状となることもあります。局所は赤くなり、はれを生じ、触ると強い圧痛を覚えます。その際、精巣は上方へ上がっています。
精巣捻転症の検査と診断と治療
発症者は夜中から明け方に突然、激しい陰嚢部の痛みで目が覚めることが多いようです。足の付け根から下腹部にかけて痛みが響くことがあるので、単なる腹痛や虫垂炎(盲腸炎)と間違われることもあります。少しでも精巣捻転症が疑われる場合は、泌尿器科のある総合病院を一刻も早く受診します。
医師の診断は、発症者の症状説明と臨床所見に基づいて行われますが、血液検査、尿検査で感染症が疑われるような異常がないことが1つのポイントとなります。陰嚢を上方に持ち上げた時に痛みが強まるプレーン徴候があり、反対に痛みの和らぐ精巣上体炎と区別できるといわれていますが、はっきりしないことが多いようです。
精巣の血液の流れを確認するためにドプラー超音波検査を行い、血流が確認できないことで診断がより確実になります。
治療としては、精巣捻転症の可能性が高い、あるいは精巣捻転症が否定できない場合は、緊急手術でできるだけ早期に陰嚢を切開し、捻転症であれば精索のねじれを元に戻します。この時、精巣の血流が再開されてきれいな色に戻れば、そのまま陰嚢の中に戻し、精巣を周囲の組織に縫い付ける処置を行い、二度と捻転が起こらないようにします。反対側の精巣もねじれやすいと考えられるので、予防のため同様に固定します。
精索のねじれが強かったり、時間がたちすぎていて、精巣への血液の流れが回復せず壊死してしまった場合は、そのままだと反対側の精巣にも悪影響を及ぼすため、精巣を摘出せざるを得ません。約1時間の簡単な手術で、新生児では全身麻酔、中学生以上なら下半身麻酔で行われます。
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