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爪甲横溝
つめの甲を横に走る溝状の変化
爪甲横溝(そうこうおうこう)とは、つめの甲を横に走る水平の溝や波打った溝ができる状態。ボーズライン、コルゲーテッドネイルとも呼ばれます。
つめに横溝ができるのは、つめの発育を抑えるような障害がつめを作り出す爪母に作用するためで、その障害の強さや期間によって深さや幅が変わってきます。非常に障害が強く加わると深くなり、期間が長くなると幅が広くなります。
初めに、爪半月(つめはんげつ)の外側の当たりに横溝が現れ、つめの発育とともに先端に移動して行きます。この横溝は爪母に障害が加わってできるものですから、現れるのは障害が加わってから数週間後です。現在できている横溝の位置から、いつごろ障害が起こったのか推測することは簡単です。また、1本のつめに横溝が2~3本同時に見られる場合は、正常な期間をおいて繰り返し障害が加わったと考えらます。
もしも、つめの横溝ができる原因が全身性疾患によるのものであるなら、すべてのつめの同じ場所に変化が見られます。一部のつめの変化の時は、爪母近くの皮膚の病変の影響が考えられます。 また、つめの根元にけがをしたり、マニキュアや薬剤によって爪母を傷付けた時に変化が見られることもあり、この時はつめの甲が凸凹になる場合もあります。
つめの横溝が生じる原因となる全身性疾患としては、急性熱性疾患のほか、尿毒症、糖尿病、ビタミンA欠乏症、低カルシウム血症、亜鉛欠乏症などの慢性疾患が挙げられます。皮膚の疾患としては、湿疹(しっしん)、皮膚炎、円形脱毛症、乾癬(かんせん)などが挙げられます。
さまざま原因がある中で、最も多いのは高熱で発病して、1~2週間で治るチフス、猩紅(しょうこう)熱などの感染症や、中毒の場合です。慢性疾患では代謝異常による疾患が多く、疾患が一時的に悪化した後に現れ、溝は浅く幅が広いのを特徴とします。
皮膚の疾患で最も多いのは、手の湿疹。手の湿疹の大部分は水仕事の多い主婦によくみられて、治りにくい慢性的な湿疹であり、つめの周辺の病変が急激に悪化して爪母にまで広がった場合に、横溝が生じます。これと同様な症状で、化膿(かのう)性爪囲炎(ひょうそう)やカンジタ菌による爪囲炎の時にも生じ、いずれもつめ周辺の疾患が治れば自然に消えて行きます。円形脱毛症や乾癬の時には、点状の凹みと同様に横溝も現れることがあります。
また、レイノー症状に伴って、横溝が現れることもあります。手が冷たい水や風に触れた時に、指が白くなる現象がレイノー症状であり、若い女性に多くみられて、指の小さな動脈が一時的に狭くなって血液が流れにくくなるために起こります。指先に血液が行かなくなると、つめの発育の障害になり、それが強く起こると横溝が現れます。何度も繰り返してレイノー症状が起こると、一枚のつめに何本もの横溝ができることもあります。
爪甲横溝の検査と診断と治療
つめに横向きの溝ができる爪甲横溝は、一時的に爪母が障害されたために起こる場合がほとんどです。つめが形成される時期に体に何か異常があったということを示しているもので、現在の異常な状態を示すものではありません。過去、数週間から数カ月前に起こった異常の結果を見ているというわけなので、あまり気にしなくてもよいと思われます。
すべてのつめに変化がみられる全身性の慢性疾患があれば、その治療を行います。一部のつめの変化がみられる皮膚の疾患があれば、その治療を行います。
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